特集 コーラ改造学 | |
30円コーラを 美味しく飲む方法 |
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中本晋輔&中橋一朗 |
最近スーパーですっかりお馴染みになった30円台の輸入コーラ。 そう、飲料売り場でコカ・コーラの横に申し訳なさそうに並んでいるあいつらの事である。 価格はコークの1/3と大変お得だが、 「家の子コーラ好きやけどコカ・コーラ高いし・・」と言うおばちゃん以外 あまり好んで買う人はいない。 理由は単純、味がいまいちなのだ。 しかーし、「安い分マズイのは当然」とあきらめるのはまだ早い。 ほとんど何も入っていない安物(失礼!)コーラはちょっとした工夫で美味しくなるのだ。 安くて旨ければ文句なし!と言う事で 今回の特集は廉価コーラ改造学「30円コーラをおいしく飲む方法」である。
スーパーマーケットやディスカウントストアで売られている輸入コーラ。 安いからといってまとめ買いしてがっかりしたことはないだろうか? そんな30円コーラをもっとおいしく飲めるひと工夫を研究してみた。
今回試料として選ばれたのはダイエーのSaving Cola from U.S.A.。 このコーラは味がシンプルで癖が無く、価格も一缶¥38と安価であるからである。 また比較的入手が容易なのも理想的である。 今回の「コーラ改造学」は 身近にあるものをコーラに加える事によってどれだけ美味しくできるかをテーマに進めていきたい。 今回の実験でコーラに加えるもの(添加試料)は次の10品目とした。
No. 添加試料名 予想 短評 1 チェリーブランデーオイル × 製菓用オイル 2 レモンエッセンス ▲ 製菓用。7X成分の1つ 3 ペパーミントオイル 製菓用。 4 バニラエッセンス × 製菓用。7X成分の1つ 5 ウスターソース イカリのウスターソース 6 アミノ酸系調味料 ハイミー 7 おろし生姜 △ その場で摩り下ろした 8 ナツメグパウダー × 香辛料。黄色粉末 9 レモン果汁 ◎ 果実をその場で搾る 10 ライム果汁 ○ 果実をその場で搾る 11 3・8・10複合 ? (予想:中本晋輔)本命は(9)レモン果汁である。 気の利いた喫茶店なんかではコーラの中に浮かべてあるし、レモンコーラなんてのもあった。 対抗は同じ柑橘系の十ライム果汁。コカ・コーラにも入っている実力派だ。 またウィルキンソン・ジンジャエールの経験からおろし生姜を単穴に。 何か「競馬○ック」みたいになってきたぞ。各改造コーラの評価は A(旨い!)、B(あまり変わらず)、C(やるんじゃなかった) の3段階評価とし、中橋氏と私中本が審査した。 また出来るだけ再現しやすように測量にメスシリンダーを使用しようと思ったが、 予算の関係上200mlビーカーになってしまった (メスシリンダーって高いのね・・・。 ビーカーの目盛りは不正確なので良い子のみんなは真似しないでね)。 添加試料は液体の物は駒込ピペットで滴下し、 粉末状の物はスプーンの先に約0.1gを目分量で取り使用した。 またコーラの量は一律50mlとした。 実験操作は理学部化学系所属の中本晋輔が行った。(左図)
実験結果
大本命と思われていたレモン果汁がまさかの敗北。 かわってライム果汁がコーラの最高添加物の座に就いた。 2位にはおろし生姜が入ってやや波乱に。 (だから「競馬ブッ○」じゃないって) とにかくライムとコーラの相性の良さには驚いた。 爽やかさの点では群を抜いている。 またおろし生姜はこれから夏に向けて美味しくなりそうな味だった。 どこかメーカーさん「ジンジャーコーラ」って作ってくれないかな。 またオリンピック精神で参加したハイミーやウスターソースは期待どおり 見せ場無く敗退。「コーラってここまで不味くなるのか」と私たちに 知らしめてくれた。ご苦労さん。1. チェリーブランデーオイル
評価:A 操作:コーラ50mlにチェリーブランデーオイルを2滴滴下した。 表面に油が浮くので出来るだけ撹拌しすばやく飲んだ。 感想:予想に違わずチェリーコーラになってしまった。 香りが良く、非常に飲みやすかった。 私も中橋もチェリーコーク大好き人間なので、文句無しでA評価となった。3. レモンエッセンス
評価:A 操作:コーラ50mlにレモンエッセンスを2滴滴下した。 表面に油が浮くので出来るだけ撹拌しすばやく飲んだ。 感想:当然ながら味に変化は見られなかったが、香りがよく驚くほど飲みやすくなった。 これはかなり実用的。是非試してみてほしい。3. ペパーミントオイル
評価:B 操作:コーラ50mlにペパーミントオイルを2滴滴下した。 表面に油が浮くので出来るだけ撹拌しすばやく飲んだ。 感想:「爽やかな組み合わせ」と少し期待していたのだが、 いきなり薬臭くなってしまった。 ルートビアの好きな人には美味しいかもしれない。 私も中橋もルートビアは嫌いではないが、 このコーラはA評価を下すほど旨くはなかった。4. バニラエッセンス
評価:C 操作:コーラ50mlにバニラエッセンスを1滴滴下した。 表面に油が浮くので出来るだけ撹拌しすばやく飲んだ。 感想:瓶を開けるなり強烈な匂いのするバニラエッセンス。 加える量を他のオイルの半分にしたんだけど、やっぱりだめだった(笑)。 くどくなりすぎたのはかなりの減点材料である。5. ウスターソース
評価:C 操作:コーラ50mlにウスターソースを2滴滴下した。 撹拌すると完全に混じりあった。 感想:ほとんど変化が見られなかったので、加える量を倍にしてみた。 味に深みが出て複雑な物になったが、どう考えても美味いとは思えない。 コクがあっても不味い物はマズイ!の好例である。6. アミノ酸系調味料
評価:C- 操作:コーラ50mlにハイミー約0.1gを加えた。 激しい発泡(ひーっ!)が見られたので、気体の発生がおさまってから試飲した。 感想:絶対駄目だろうと思っていたが、本当にダメだった。 後味にグルタミン酸ナトリウムの味が残り、辛(つら)かった。 あまりの不味さに実験の一時中断を余儀なくされたほどだ。 評価はCのまだ下である。良い子のみんなはぜったい真似しちゃだめだぞ。 しないと思うけど(笑)。7. おろし生姜
評価:A 操作:コーラ50mlに新鮮なおろした生姜を0.5g程度加えた。 混ざりにくいのでガラス棒でよく撹拌した。 感想:中橋は半信半疑だったが、やってみれば大当たり。 生姜のぴりっとした辛さと炭酸が爽やかで、「炭酸冷やし飴」といったところか。 夏に水羊羹なんかと一緒に食べるとかなり美味しい筈。 評価は文句無しのAであった。皆さんも勇気を出して是非試してみてほしい。8. ナツメグパウダー
評価:B 操作:コーラ50mlにナツメグパウダー約0.1gを加えた。 混ざりにくいのでガラス棒でよく撹拌した。 感想:独特の香りと風味を持つ香辛料ナツメグでおろし生姜と同じような効果を 期待して投入。味にスパイスの深みが出たが、残念ながら評価Aを下すほどの劇 的変化は見られなかった。いまいちっす。9. レモン果汁
評価:B 操作:コーラ50mlに搾りたてのレモン果汁を2滴滴下した。 感想:いよいよ大本命の登場。さぞかし爽やかで美味いだろうと思ったら、意 外にもいまいち。レモンの酸味と渋味が強すぎるのか全体が硬くなって 口当たりが宜しくない。香りだけのレモンオイルの方がレベルは高かっ た。ちぇ。10. ライム果汁
評価:A+ 操作:コーラ50mlに搾りたてのライム果汁を2滴滴下した。 感想:取りをつとめるのはライム果汁、コカ・コーラに一番多く含まれるといわれ ている成分である。ライム特有の苦みが味に奥行きを出し、それでいて爽 やかで飲みやすかった。文句無しで最高評価のA+。最近ライム高いけど、 これはやってみる価値有りだ。
追加実験
先の実験で使った材料のうち「レモンオイル」「ライム果汁」「ナツメグパウダ ー」の3つを複合して加えたらどうなるか、これを追加実験してみた。何故この 3つを選んでかについては後述する。でも、何となく美味しそうでしょ?今月の特集、いかがだっただろうか。最後にコカ・コーラの凄さみたいなのを実感 してしまって何となく面白く無いのだが、この「コーラに何か入れる」という発 想は間違ってはいないようだ。組み合わせによって30円コーラはもっと美味し くなる筈。皆さんもいろいろ試してみて、美味しいもの(もしくは物凄く不味い もの)が出来たら教えてほしい。それでは今月の「暮らしに役立つ知恵100 選」はこのへんで(←おい、そんな題名だったのかよ)。
12. レモンオイル・ライム果汁・ナツメグパウダー
評価:A+ 操作:50mlのコーラにライム果汁2滴、レモンオイル1滴、ナツメグパウダ ー約0.1g加えた。 感想:ライム果汁はともかく、レモンオイルとナツメグが水面に浮いて、混ぜて もなかなか混ざらない。その上見た目が汚い。なんかいやな感じがしたが、 飲んでみるとかなり美味しい。レモンオイルとライムの爽やかさに加え単 品では存在感のなかったナツメグが味に深みを持たせて、どこかコカコー ラを彷彿とさせる味になった。 それもそのはず、実はこの3種類の組み合わせはコカ・コーラの調合「7x」 の一部を再現したものなのだ(多分・・・)。無論コカ・コーラには遠く及ば ないが、方向性は正しいような気がした。評価はA+。
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