Coke vs PEPSI 第5弾
キャンペーン対決
中本晋輔

Coca-ColaとPEPSIの熱い戦いにスポットを当てる企画 Coke vs PEPSI もついに最終回。 最後の対決は両者のマーケティング戦略を分析する「キャンペーン対決」だ!
ーラ業界の双璧、 コカ・コーラとペプシの味以外での様々な戦いを取り上げてきたこのコーナー、 最終回の今回は「キャンペーン対決」である。 キャンペーンは消費者に存在をアピールし、 時にはシェアを大きく動かす重要な戦略。 コカ・コーラとペプシはその100年戦争の間様々なキャンペーンを実施し、 音楽やオリジナルグッズを武器に凌ぎを削って来たのである。 今回はそんな戦いにスポットを当ててみた。

コカ・コーラのキャンペーン文句とを挙げてみると 「Delicious and Refreshing」 「I Feel Coke」 「Coke is it!」 「さわやかになる、ひととき。」、 1994年から世界同時スタートした「Always Coca Cola」などきりがない。 どれも洗練された名句ばかりである。 彼らのキャンペーンの対象はすべての人であり、 そのテーマはコカ・コーラの美味しさの普遍性を知らしめるである事が多い。 またオリンピックを始め様々なイベントのスポンサーとして 「愛されるコカ・コーラ」を演出し、 コーラという具体的な飲み物よりむしろ抽象的な 「コーク」というイメージを消費者にアピール事に関しても非常に巧みである。 コカ・コーラの経営方針はあくまで「コークが主役」であり、 マスコットキャラを作らないのもその戦略の一環であると言われる。 そのためかコカ・コーラのキャンペーンの中には景品の当たる物が比較的少ない。 最近のものでも現金が当たる「お年玉コーク」や 今年の夏の「Enjoy Summer '97」の夏組グッズなど、いまいちインパクトに欠ける。 これには景品キャンペーンを得意とする同社製品 Georgia とのシェアの共食いを避ける目的もあるだろう。 しかしそこにコカ・コーラ社の「景品など必要ない」 という王者の余裕のようなものを感じるのは私だけだろうか?

するペプシは「挑戦者」であり、 常に王者コカ・コーラの存在を意識した戦略を立てる必要があった。 いかにコカ・コーラの牙城を崩すかが彼らの課題であり、 キャンペーンはその為の武器として多用された。 1970年代に展開した「Pepsi Generation」 は若い世代をターゲットにしたキャンペーンで、 アメリカでのペプシの一代躍進のきっかけとなった。 またその後の「Pepsi Challenge」ではコカ・コーラの失策を誘い 一時的にではあるがシェアの逆転に成功している。 このようにペプシのキャンペーンは非常に戦略的で、 ターゲットをある特定の層に絞った物が多く見受けられる。 この傾向はペプシコ・ジャパンにも共通して見られる。 95年突如登場したイメージキャラ「Pepsi-Man」は レベルの高いCMと共に日本中を席巻したことは記憶に新しい。 また規制緩和により景品の上限額が1000万円に引き上げられるとすぐに 高級スポーツカー「Corvet」をキャンペーンに投入し話題になったし、 最近ではプレミア腕時計の流行をうけてPepsiman watchを景品に取り入れた。 このようにターゲットを絞り、 流行を「機を見るに敏」に察知して取り入れる柔軟な姿勢が ペプシのキャンペーンを成功させていると言えるだろう。 コカ・コーラにとって真に驚異なのはペプシコーラの味ではなく、 その巧みな戦略なのかも知れない。

べての人に広く受け入れられるコカ・コーラと、 特定の層に熱狂的に受け入れられるペプシ。 キャンペーンに関して言えばペプシの方が一枚も二枚も上手である。 この夏ペプシはStarWars旋風に乗ってますます勢いづく事だろう。 コカ・コーラは「Always」のキャンペーンを継続するだけで、 特に変わった動きは見せないようだ。 王者には奇をてらって注意を引く必要など無いのかもしれない。


[7月号表紙]
コーラ月報7月号

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