コーラ津々浦々 UCCコーヒー博物館編
中橋 一朗

建物風景

我々が神戸ポートアイランドへとやってきたのは、 小雨降る1月15日のことだった。 神戸の中心地三宮とこの埋立地とを結ぶ新交通システム・ポートライナーは、 なぜか初めて経験する大混雑で、 しまいには晴れ着のおねーちゃんたちがわぁわぁ騒ぎはじめる始末。 一体なんだろうと思ったら、この日は全国的に成人の日であったことに気づいた。 成人式の大群がなんとか公園で一斉に降りた後は、 車内はむしろ寂しげだ。 今日の目的地は、UCCコーヒー博物館である。 コーラとどういう関係があるかというのは、行ってから考えることにしよう(笑)

予定通り南公園駅で下車。 一風変わったコーヒー博物館の姿が駅の窓ガラス越しに見える。 普通なら周囲から浮いてしまいそうなこの建物であるが、 さすがはバブル景気の街ポートアイランド。 周辺もどこか奇妙な建物と、さもなくば広大な更地だったりするので、 さほど違和感は感じられない。 むしろ街全体に違和感が感じられるのは、 AsiaBevで訪れた幕張に似通ったものがあると言えるだろう。 ちなみにこのデザイン、イスラム教のモスクをイメージしたものらしい。

銅像

博物館内部は、なだらかな螺旋を描く3階建てで、 見学者が一番上から順番に展示を見ていくと、 いつの間にか1階まで降りてくるような仕組みになっている。 巨大な年表や統計資料がそびえ立つエントランスホールから長いエスカレーターを登ると、 トルコの英雄コルシツキーの銅像のレプリカが我々を出迎えてくれる、 とまあ、そういうよくできた演出がなされているわけである。

展示内容は大きく6つに分かれている。 コーヒーの起源と歴史について解説する「起源」、 原産国の風土やコーヒーの栽培方法について解説する「栽培」、 格付けや取り引きの仕組みについて解説する「流通」、 焙煎や缶コーヒーなどへの加工について解説する「加工」、 コーヒーを取り巻く各国の文化を紹介する「文化」、 そしてコーヒー博士認定クイズを体験できる「情報」である。

口ひげ用カップ

なかでも「文化」のコーナーでは各国の種々さまざまなコーヒーカップなどが展示されていて非常に興味深かった。 右の写真はイスラム圏で使用されている「口ひげのある人用のカップ」である。写真が見にくくて申し訳ないが、 口ひげをカバーする蓋のようなものがついているのがわかっていただけるだろうか。

また、情報コーナーではコンピューターを使ったクイズに挑戦できる。 参加者には正解率に応じて 「コーヒー大博士認定証」 「コーヒー博士認定証」「来館記念証」が自動的に発行される。 1人5回まで挑戦できるので、ぜひコーヒー大博士を目指してほしい。 ちなみにこのシステム、 タッチパネル付き液晶モニタ + Windows 95(NT?) + IE で動作していた。 最近この組み合わせが随分と流行のようだ。関係ないけど。

コーヒーロード

このコーヒー博物館には、世界のコーヒーが楽しめるコーヒーショップ 「コーヒーロード」が併設されている。 ここで生まれて始めてターキッシュコーヒー(トルココーヒー)というものを味わってみた。 細かく挽いたコーヒー豆に直接熱湯を注ぎ、 粉が沈殿した後の上澄みだけを飲むというディープなやりかたなのだが、 これがうまい。正直言ってかなり驚いてしまった。 普段インスタントばかり飲んでいる自分を深く反省させられる1日であった。

UCCコーヒー博物館は、入館料大人210円。小中学生100円。 我々のように普段コーヒーなんかに全然興味のない人間でも十二分に楽しめる。 詳しくは UCCのホームページ内の UCC コーヒー博物館 のページをご覧いただきたい。



[コーラ四季報98年4月号]
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