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今月の珍品 / PS版ペプシマン
中本 晋輔

パッケージ

新生ペプシの広告塔として大活躍のPEPSI-MAN。その人気は留まるところを知らず、T-Shirtからデスクトップに至るまで様々なグッズが発売されている。そんな中ついにPEPSI-MANを主人公にしたプレステ用ソフトが発売された。その名も「ペプシマン」!そのままやないけー。これまで彼はFighting Viper の隠れキャラや携帯電子ゲームとしてゲーム化されていたが、32ビットゲーム機にメインキャラとして登場するのは今回が初めて。

まず目を引くのがジャケットだ。いきなりペプシマンが指差しながら"DRINK!"とくる。一体何を?という疑問もあるが、それよりも凄いのがジャケットにゲームのタイトルが書かれていないことである。いまだかつてこんなゲームがあっただろうか?また背帯には「これは、もう全編コマーシャルだ!!」の脱力感たっぷりのコピーが光る。新登場でいきなり2800円で、そのわりにDUAL SHOCK 対応というのも凄い。もう期待は高まるばかりである。

基本はポリゴンの3Dアクションゲームなのだが、このゲームの凄いのは裏の説明に「スピード! アクション! ユーモア! CMの世界をそのままに全米各地をペプシマンが走って走って走りまくる!」とあるようにペプシマンが常に走っているという点である。なにもキーを押さない状態でもキャラが走り続けるのでゲームが勝手にどんどん進むのだ。操作は左右移動、ジャンプ、スライディング、ダッシュのみで、敵を倒すコマンドは無い。つまりこれは迫り来る障害物ひたすらよけていくという猪突猛進なゲームなのである。

画面 このゲームは全4ステージからなり、サンフランシスコ,ニューヨーク,テキサス,ペプシシティ(どこやねん?)でペプシマンが人々を救うため活躍するという設定になっている。特に最終ステージは「ペプシシティのセントラルコンピューター暴走を止めろ」というなかなかシュールな内容。また各ステージは3つのシーンに分かれていて、シーン1は落ちているペプシを拾いながら目的地を目指し、シーン2で目的達成、そしてシーン3は迫り来る巨大な物体(ペプシの看板とかトラックとか)からひたすら逃げる「オチ」の部分に相当する。ここまでパターン化されるともう笑うしかない。まさに形式の美・吉本の世界である。

またこのゲームには達成度によって様々な特典が用意されている。まず全ステージクリアするとFree Play Mode(好きなシーンをプレイできるようになる)が出現し、またペプシマンもオールドタイプ(サントリー提携以前の赤いバージョン) に変更可能になる。この場合落ちている缶も自販機も全て赤いバージョンに変わるのでオールドファンには嬉しいところだ。また各ステージの100個ある缶を全て取るとフレームタイプのペプシマン(ポリゴンの枠だけ)が使用できるようになるのだが、これはあまりうれしくないぞ。また全コースでレコードを更新するとEXPART MODEが出現、それを全てクリアするとペプシマン・ステルスバージョンがプレイ可能になるらしい。いったいどんな姿なのかかなり気になるが残念ながら私にはそこまでの気力は無かった。

ペプシマンの世界を十分過ぎるほど堪能できる"PS版 PEPSI MAN"だが、いかんせん知名度が低すぎて入手が困難なのが痛い。このままでは本品は年間何百と生産されている有象無象のプレステソフトとともに忘れ去られてしまう可能性が非常に高いので、われこそはペプシファンと思う方はがんばって探し出して頂きたい。その苦労に報いるだけのものは十分得られるだろう。ただしペプシマンを知らない人にとってはただのク○ゲーにすぎないだろうが。


[四季報 1999年7月号] [コーラ白書] [HELP] - [English Top]
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