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今月の珍品 / Coca-Cola/PEPSI 缶型ライター
中本 晋輔

コーラグッズを販売する場合、メーカーはコーラ会社に商標の利用を許可されなければならない。しかし世の中にはメーカーが使用許可を取らずに勝手に作ってしまったもの、俗に言う「バッタもん」が結構多く出回っている。これらはもちろん違法ではあるが、よほど大々的に販売でもしない限り訴えられることは少ないようでコーラに限らず有名ブランドのものは跡を絶たない。とくに品足の早いアーケードのプライズ(景品)などはまさに無法地帯と化している。今回紹介するのはそんなゲーセンで見つけたコカ・コーラとペプシのライターである。

Coke lighter まず初めに紹介するのはコカ・コーラのライターである。高さ約7cmとそれほど大きくはないが(携帯用としては十分大きいけど)、ボディが真鍮製でかなりずっしりとくる。着火部はプルタブ方式で使い勝手もなかなかよろしい。また本体のほとんどが燃料タンクとかなりの大容量で、ガスの再注入も可能。

しかし、このライターの最大の特徴はそのロゴである。一瞬誰の目にもコカ・コーラにみえるだろうが、よく見ると・・・そう、「Ccoa Ccla」なのだ! 一体どう発音するんだ? これはよく修学旅行生相手の京都の土産物屋にある「確信犯的」バッタもんとちがって、演出がさりげなさすぎてそう簡単には気付かないぞ。知らずに取っちゃったじゃないか!

ペプシはこの夏6種類のスターウォーズ缶をリリースして話題を呼んだが、こちらはその缶のデザインをそのままコピーしてしまった強者。高さ11cmとかなり大型で、本物の缶と見間違ってしまいそうだ。上蓋部と本体が取り外し可能で、内部を灰皿として使用できるのが斬新。タンクも大きく再注入ももちろん可能で、卓上ライターとしては使いやすそうだ。


PEPSI lighter 裏面の表示を見てみると「販殻者:サソトリー株式会社」。おお、厳しい憲兵の目を掻い潜るバッタもん戦略か、と思いきやその上には「カフェイソ」の文字が!そしてその横の「ユレクツヨソステヅをペレゼント」に至ってはもはや原形さえ止めていない。どうやらこの缶、べつにウケを狙っているのではなく、素で間違っているらしい。おそらく文字の部分だけアジアの海外(多分アジアのどこか)打ち直したらしく、「ン − ソ」「で − ご」といったお約束の誤植が随所にちりばめられている。きっとサントリーも怒る気にもならないだろう。

大阪・ミナミのゲームセンターは、まさに謎アイテムのパラダイスである。機会があれば是非一度立ち寄ってみて欲しい。「何じゃこら」としか言いようのない景品達が君に取られるのを待っているのだから。


[四季報 1999年10月号] [コーラ白書] [HELP] - [English Top]
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