Cola Collectibles - Erzi社 木製玩具「コーラ」

中本晋輔

私が子供の頃、玩具と言えばほとんどがプラスチック製だった。木製のものも存在はしたがそれは伝統的なもが多く(即ち全時代的で)、子供にとって魅力的なものは少なかったように記憶している。しかし教育や環境に関心の高いヨーロッパでは木製玩具はもう少しポピュラーな存在のようだ。

Erzi社は1789年創業のドイツ老舗木製玩具メーカー。伝統に囚われず現代の流行を取り入れた玩具に定評があり、ミニパズルからロッキングチェアまで幅広いラインナップを誇る。そのママゴトセットの中に、コーラの缶が含まれているのだ。

本品は高さ6cmほどの手にすっぽり収まるサイズ。危なくないように表面は磨かれ角もすべて丸められていて、手にとると木独特の暖かさが伝わってくる。赤く塗られた胴の上には上蓋に見立てた無垢の木板が乗っていて、色と木目がデザイン上のワンポイントになっている。

上面の穴にストローに見立てた棒を差し込むようになっているが、これはストローで缶飲料を飲むヨーロッパの習慣を反映したものだろう。

胴体に貼られたラベルには社名を文字った「Erzola」のロゴ。スペンサー調の書式は明らかにコカ・コーラを意識したものだ。またロゴの下にはカフェイン入り飲料を示すドイツ特有の「Koffeinhaltige Limonade」の表記がある。コーラと書かずとも万人が見てすぐにコーラと認識できるデザインは流石である。

同社のママゴトシリーズはやや大きめの縮尺で統一されている。この他にも写真のパン(X-boxのロゴにも見える)やチーズ&カッティングボードなど、ヨーロッパの食生活の必需品がずらりと並ぶ。木製がゆえ樹脂にくらべディテールが簡略化されているが、それが却ってミニマルな美しさとなって現れている。ディスプレイに使っても違和感のないほどの仕上がりである。

ドイツの一人あたりのコーラ消費量はアメリカにつぐ2位。日本ではママゴトにコーラというのはあまり聞かないが、ドイツ人は案外子供の頃から慣れ親しんでいるのかもしれない。


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