コーラ白書
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今月のキューバ・リブレ・門司港ホテル バー「間 〜TEMPO」

今月のキューバ・リブレ・門司港ホテル バー「間 〜TEMPO」

仕事のメールを打ちおえて一息ついたら、キューバリブレが飲みたくなった。乾燥した部屋のせいかもしれない。時計は11時を少し回っていたけれど、久々にバーに行ってみることにした。

設計者のアルド・ロッシはこのホテルを「門司の鮫」と呼んだという。その最上階の南の端、ちょうど尾鰭の先端にBar 「間 TEMPO」はある。TEMPOとはイタリア語で時代や季節、天候、チャンス等を意味する言葉で、ロッシはこの言葉に「あらゆる構築行為をつかさどるもの」と特別な愛着を持っていたと伝えられる。

エレベーターを降りると、赤茶色のタイルの壁に「間」と記された真鍮のプレートが迎える。中は決して広くはないが、窓をふんだんに使った開放的な雰囲気は狭さを感じさせない。エントランスの右には西向きに重厚な木製のバーカウンターがあり、その向こうには関門海峡の船の灯かりを臨む。L字に折れた奥の席からは、ネオ・ルネッサンス様式の門司港駅が見えるという。

長居するつもりはなかったので、ダークラムのキューバリブレとオリーブコンフィを頼む。ラムの種類を尋ねられたので、港にちなんでキャプテンモーガンを選んだ。ライムと大きな氷のグラスに濃いアンバーの液体が注がれ、その上からコンツールボトルのコカ・コーラを静かに流し込む。最後にライムジュースを入れて、少し氷を持ち上げてかき混ぜて完成だ。表面が泡だっていたのが新鮮だった。

力強いラムとコーラの中にライムの酸味が一筋の光のようなアクセントで、重くなりがちなこのカクテルに華やかさを添えている。すこし派手な味だが、決してバランスは悪くない。熱いオリーブとクラッカーを肴に自然と飲み進んだ。

コツコツという音に顔を上げると、雨で船の灯かりが滲んでいた。ふと、連れが恋しくなった。

一人で酒を楽しむにはもう少し精進が必要なのかもしれない。


今月のキューバ・リブレ

門司港ホテル
間 〜 BAR TEMPO

(現在の営業時間は20:30まで)

 

参考: 六耀社 「門司港ホテル」 アルド・ロッシ 内田繁