コーラ白書
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静かに広がる「反米の証」メッカ・コーラ

Topics! 2003/02/27

アメリカとイラクの対立で中東情勢の緊張が高まる中、ヨーロッパと中東であるコーラが話題になっている。コカ・コーラに酷似した赤と白のデザイン、しかしその裏にはアメリカに対する怒りと批判が満ちている。そのコーラは「Mecca Cola(メッカ・コーラ)」という。

メッカ・コーラを考案したのはフランス在住のチュニジア人事業家Tawfik Mathlouthi氏。氏は昨年11月にフランスでこのコーラの販売を開始。これがイスラム系住民を中心にヒットし、予想を越える売り上げを記録したという(註1)。現在はフランス・イギリス・ドイツ・ベルギーで発売されている。

このコーラの最大の特徴は政治色が極めて強いこと。あきらかにコカ・コーラをイミテートしたデザインながら、そのキャッチは"Don't Drink Stupid"とかなり辛辣。また利益の10%はパレスチナ人への慈善事業と欧州のNGOにそれぞれ寄付されるとしている。これは消費者がこのコーラを買うことによって政治的なアクションが取れるという、これまでになかった興味深いシステムである。

コカ・コーラより30ユーロも高いこのコーラがそれなりに売れている裏には、イスラム系の人々のアメリカに対する反発がある。アメリカの象徴ともいえるコカ・コーラは不買運動の対象となり、その代用品として「イスラム圏の」コーラの需要が相対的に高まっている(註2)。今後はベトナムやカナダ、オーストラリアなど、イスラム人口の多い国へ展開していくという。

またメッカ・コーラには公式ホームページが存在する。言語はアラブ語とフランス語のみだが、サイトの右端に「弾圧されるイスラム系住民」の写真が次々とフラッシュされており言葉がわからなくても強烈にメッセージが伝わってくる。凄いインパクトだ。

これまでプロモーションにコーラが使われることはあったが、政治的なアピールの道具となるのは世界的に見ても非常に稀なケース。非常に興味深いコーラであるが、現在海外のオークションなどにもほとんど出回っておらず入手は非常に困難である。今後の展開も含め、調査を継続したい。

(註1)フランスには約500万人のイスラム系住民がいるといわれる。
(註2)中東情勢が緊迫しはじめた昨年あたりからイランの地コーラ「Zam Zam Cola」が中東で大きく売り上げを伸ばしている。 本品もこの成功に触発されたものらしい。

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(中本)