第2特集 ウィンター缶コレクション '97
中本 晋輔
12月というのはいつも何気なく目にしている物が姿を変える不思議な月である。街はクリスマス一色に染まり、そして大急ぎで新年の準備に入る。そしてコーラにとっても12月は変身の時、つまり様々なウィンター缶が発売される季節なのである。97年の最後に今年登場したウィンター缶を紹介する事にしよう。

Coke '97 Japan まずは恒例、コカ・コーラのクリスマス缶。このシリーズは世界中にコレクターがいる事で有名で、各国で様々なバージョンが販売される。絵柄はサンタがコカ・コーラの瓶を手にしているというお決まりの構図だが、この絵は全て画家Haddon H. Sundblomによって1931年から1966年にかけて描かれたものである。最近では発行年度が記載されるようになり、アニバーサリーディッシュのような趣を持つようになった。いやぁ、上手だね、コカ・コーラも。

今年の日本は長野オリンピック缶が大規模に販売されているためクリスマス缶の発売が懸念されたが、ちゃんと12月1日に発売開始(ただ例年に比べて発行数は少ないような気がするが・・・・)。缶の絵には1942年に描かれたHaddonの "They Remember Me" という作品が採用されている。コカ・コーラの瓶を片手に笑うサンタがいかにもクリスマス缶らしい。しかし1942年といえば太平洋戦争の真っ只中。当時のアメリカにはクリスマスを祝う余裕があったということか。こら負けるわ。

アメリカのThe Coca-Cola社は1962年の作品を掲載。この"Season's Greetings"と題された作品はコカ・コーラの瓶を持ったサンタが玩具の汽車をみて喜ぶ(?)という内容のHaddon晩年の作。日本では1996年のクリスマス缶に使われたものなのでご存知の方も多いのでは。いまいち絵と題名のつながりが良く分からないのだが・・・・。香港の1997年クリスマス缶も同じ絵柄を採用しているが、印刷方法の違いか絵のイメージに若干の差があった。アメリカ版の方が顔がリアルで、下から懐中電灯で照らしているようでなんだか不気味だ。やはり元絵はこっちなんだろうか。

Coke '97 US
アメリカ 97年
Coke '97 HongKong
香港 97年

PEPSI 1 これに対してペプシはペプシマン・スノボバージョンである。去年のように「クリスマスなんかに浮かれてんじゃねーよ」的なクールなデザインの缶かと思いきや何と今年はマンガ絵2頭身のペプシマン!その上歯むき出しで笑ってる!!ひーっ、年末何があったんだペプシマン?その横には頭から雪に突っ込むイラストがあり、オチまで完備している。来年は三枚目に徹するという意思表示か?(いままでも2枚目路線とは言い難かったケド)とにかく凄いインパクトで、初めて見たとき思わず止まってしまったぞ。やるじゃないか、ペプシ。

このように様々な趣向を凝らしたウィンター缶が世界各地で発売されている。残念ながら去年X’mas缶をリリースしたダイエーのSaving Colaからは97年版は発売されなかったが、大手2社から発売された事は大変喜ばしい。冬場はコーラの数が減る寂しい季節だけに、これぐらいの楽しみがあってもいいんじゃないかな。皆さんも忙しい手を少し止めて、いつも飲んでいるコーラの少しおめかしした姿に目を留めてみてはいかがだろうか?


[12月号表紙]
コーラ月報12月号

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