コーラ津々浦々 第2回

PEPSI MAN 回収計画@
入谷酒店

中橋 一朗

PEPSI MAN 回収計画

「PEPSI MANの看板欲しい?」

大阪市内の某ネットワーク屋で客をおちょくるバイトをしている私に, そう声をかけたのは入谷酒店のいっちゃん氏であった。 いっちゃん氏は店の常連であるだけでなく, 一部従業員の主燃料であるウィルキンソン・ジンジャーエールと Dr Pepper の供給元でもある。 聞いてみればこの看板,等身大の立派な看板とのこと。

しかしそんな値打ち物,本当に頂いても良いんですか? いっちゃん氏からは,以前にも PEPSI MAN の全紙ポスターを頂いているし, ちなみに最近に至っては,米国 Dr Pepper 社のカレンダーまで・・・。 そんな,もらってばかりでは申し訳ないです。

「かまへん,かまへん」

へへーっ。さすがは太っ腹ないっちゃん先生! 恩にきります。 こうなったら思いっきり尻尾振っちゃうもんね。

「わん,わん。ほしいわん。頂戴わん!」

かくして犬に成り下がった私は,入谷酒店まで看板を引き取りにいくことと相成った。 2月のはじめのことだ。

しるびあ君(仮名)小破!

そんな大きな看板を電車で持ってかえるのはちょっと恥ずかしいということで, 友人Kに車を出してもらうことになった。 ちなみにKというと漱石の小説で自殺してしまう悲惨な役回りで有名だが, 今回の友人Kもそれと同じくらい悲惨な役を演じることになるので, 人権思想に鑑みて名前を伏せさせていただく。


入谷酒店の全容(?)
入谷酒店は京都は伏見,京阪電車とJR奈良線が並走するあたりにある。 そういえば最近JRの新しい駅ができたとか・・・。 私は大阪市内,Kは滋賀県に住んでいるので, 私が電車で最寄りの駅まで行き, そこで愛車しるびあ君(仮名)に乗ったKと待ち合わせた。 ここからは教えてもらった通りに行くだけだ。 まっすぐ行くだけだから簡単だぞ。

しかし都会育ちの我々は,京都の道路事情を甘く見ていた。 とにかく道が狭い。なのに車は多い。 実質初心運転者のKの血圧が上昇する。 ちなみに私は正真正銘の若葉マークだから,一層役に立たない。 進めど進めど,入谷酒店は見つからない。

「うーん,そろそろのはずなんだけどなぁ。・・・あ,あの踏み切りよりは手前だよ!」

あ,あった,あった,ありました。 踏み切りのほんとにすぐ手前。 しかしなんだ,道が狭くて車が止められんぞ。 けれどもだな,この辺に住んでる人はみんな車なんだ,止められないはずはない! などと,混乱し始める二人。 とりあえず左に寄せて止めますか・・・ と平静を装ってみるも,思いっきり通行の邪魔らしく, 後ろから前からクラクションの嵐を呼んでしまった。 うーん,困ったぞ(笑)

そんなこんなで周囲を見回すと,なんと,右側に駐車場があるではないか! よっしゃー,バックじゃー,止めろ止めろー。 二人の視線は右後方に釘付けである。 いやはや,ご通行の皆さん,どうもご迷惑をおかけいたしました。 もうすぐ通れますよ・・・


柱。傷つけてしまいました。すみません。
べきっ!

「あれ,いま変な音しなかった・・・?」

「うおっ,こんなところに柱がっっっ!」

右後方にバックするのに,左前のフェンダーを柱にぶつけてしまったようである。 しかしまあ,ゆっくりバックしてたし,大したことないよね。 ・・・と,とりあえず無事(?)大きな駐車場に車を放り込んで, 車を降りてみてびっくり!

「お,おもいっきりへこんどるがなー!」


しるびあ君の痛々しい姿

こちらは拡大

入谷酒店


寝起きのいっちゃん氏。お休みのところ大変お騒がせいたしました。
というわけで,入谷家の方々にはのっけからいきなり大迷惑をかけてしまったわけである。 おかあさま,おうどんおいしゅうございました。 いっちゃんさま,ウインカーの電球,ありがとうございました。 あと,柱の傷,どうもすみませんでした。

で,なんぼ謝っても謝り足りることはないので謝るのはこのへんにして, 入谷酒店の紹介をしよう。

入谷酒店では通常の種類のほかに,各地方の地酒も取り扱っているそうである。 しかしなんといっても我々にとって嬉しいのは Dr Pepper と Schweppes Cola が 常備されていることであろう。


自販機の様子

日本橋でこの車をみかけたら...

PEPSI MAN と一緒

というわけで,大破したしるびあ君(仮称)を修理するために, 我々は奈良にあるKの実家へと向かった。 ガムテープ姿で頑張る我等がしるびあ君(仮称)の勇姿は, さぞかし多くの人に感動を与えたことだろう。

で,問題は奈良から大阪まで, この忌々しい(笑) PEPSI MAN の看板をどうやって持ってかえるか,である。

結局どうしたのかというと, 看板を2つ折りにして,ひもでくくって電車で帰ったのである。 なんだ,それなら最初から電車で行けば良かったね。


[4月号表紙]
コーラ月報4月号

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