コーラ津々浦々 「VANCOUVER編」
中本 晋輔
皆さんがこれを目にされるのはすっかり涼しくなった秋の長夜(昼間っぱらから ネットで遊んでいる人は減点)なのではないだろうか。秋の夜にコーラを飲みな がらネットサーフィンをするのは趣深いものだ、と紫式部も書いているほどだ。 そんな気分に水を差して申し訳ないのだが、今回は「夏休み特別編・第二弾」で ある。これというのもコーラ白書のリニューアルの為本来この記事が載るべき月 報9月号が出なかったためである。少々我慢してお付き合いの程を。

7月の終わりから二週間、私はカナダのバンクーバーに行く事になった。といっ ても遊びではなく、ホームステイプログラムの引率のお兄さんとしてお仕事で行 ったのだ。基本的に仕事は連れてきて連れて帰るだけなので、幸い時間はたくさ んあった。と言う事で今回はカナダまで行ってこんなことしてきました! の 「コーラ津々浦々・VANCOUVER編」である。

私の滞在していた所はバンクーバー市の南側、ダウンタウンより空港に近い辺り であった。周りは閑静な住宅街で、香港の富豪の建てた巨大な豪邸の立ち並ぶ日 本でいう芦屋のような所である。中にはスコットランドから石を取りよせて造っ た家なんかもあり、ただただ圧倒されるばかりだった。でも最近、香港が返還さ れても安全だという事がわかったせいで豪邸を売り払って母国に帰る香港人が増 えていて、地価が急に下がっているそうだ。下がったといっても大阪とたいして 変わらないんだけど。

そこから東へ5分ほど歩いてGRANVILLE通りへ。このGRANVILLE STREETは南北に 走る道路の中でも大きく、湾を超えてダウンタウンに直結している通りの一つ。 バンクーバー市の主要道路のだけあって両側に店が並びなかなか賑やかだ。特に この辺はアンティークショップや輸入雑貨店が多くて独特の雰囲気がある。その 中にセブンイレブンがあったのでちょっと覗いてみた。

日本のセブンイレブンとまず大きく違うのは店のレイアウトである。日本の物の ようにレジが端にあるのではなく、ど真ん中にある。そのレジの左には本や雑 貨、菓子類などが並んでいて、奥は一面ジュース類の棚になっていた。そしてレ ジの右側はパンやサンドイッチと「セルフサービスコーナー」があった。つまり ここで客が紙コップに自分の好きなジュースやフローズン(液状のシャーベット みたいなやつ)をいれてレジで清算してもらう、と言うシステムらしい。慣れた 客などはジュースを飲みながらレジに向かっていた。おいおい、まだ金はろてな いやろ。せっかくだし私もチャレンジしようとカップを見ると、これがデカイ! カップは全部で4つの大きさがあり、下からそれぞれ Gulp, Big Gulp, Super Gulp, Double Gulpとなっているのだが、一番小さいGulpでさえ740mlであ る。Double Gulpに至っては2リットル!日本のペットボトルよりデカい紙コッ プである。そんなに飲めるかーっ!! ・・と思っていたら不意に巨大な外人さ ん(推定体重135kg)がDouble Gulpになみなみとコカ・コーラを入れて去ってい った。成る程、ああいう人が飲むのか。

もう一つ興味を引かれたのがセルフサービスのフローズン。日本でも「コーラ 味」というのはよく見るけど、こちらは「Coca Cola Classic味」と「Pepsi Cola味」の2種類があるのだ。おまえら、凍ってまでライバルなのか・・・。頑 張って飲み比べようと思ったんだけど、すでに手にGulpのコカ・コーラがあったの とちょうどその頃腹の調子が悪かったのとで泣く泣く断念した。ちなみにペプシ コーラは"PepsiGenerationNext"のキャンペーン中だった。

それから20系統のバスに乗ってダウンタウンへ。基本的にこちらのバスには時刻 表がないのだが、便数が多いのでそれほど問題はなかった。料金は一律$1.5 0(カナダ$)で、乗るときに運転手に払うシステムである。この時2時間有効の TRANSIT(乗り換え券)をくれるので、事実上バンクーバー市内ならどこでも $1.50で行ける事になる。慣れてくると非常に便利なシステムだ。椅子が硬 いのは不満だけど。そのバス停で待つ事5分、20系統のトロリーバスが BROADWAY STREETを曲がってやってきた。早速運賃を払って乗り込んで、バンク ーバーのDOWNTOWNを目指す。

このバスはDOWNTOWNのど真ん中まで行くのだけれど、少し手前で下車。この辺り は比較的治安が悪い(といってもアメリカよりよっぽどマシだけど)地域で、周り にはアダルトショップや、ゲームセンター、質屋(殆ど盗品らしい)等が軒を連ね る所だ。何故こんな場所で降りたかといえば、私の「コーラ探索センサー」(註 1)が突如作動したからに他ならない。ああ、おれは海を越えてまでいったい何 を・・・、と思う前に体が食料品店に向かう。カナダはコカ・コーラとペプシがシ ェアをほぼ独占していて他のコーラの発見は難しいのだが、5件目の怪しい店で ついに発見!ドラフトスタイルコーラ「MOXIE DRAFT COLA」である。瓶といい赤 い背広を着た謎のおっさんのイラストといい、薄暗い店内でひときわ目を引い た。その上ロゴの下には「Since 1884」の表示が・・・。1884年というのは、現 在最も古いコーラと認識されているコカ・コーラが生まれる2年前である。これが 本当なら凄い発見だが・・・・。何か胡散臭いんだよなぁ、このコーラ。

結局この日の収穫はこのコーラ一本だけであったが、これだけインパクトのある 物なら十分である。コーラを鞄に詰め込んで、20系統のバスで帰途についた。帰 ってコーラを冷蔵庫に冷やしながら「ちょっとは観光すればよかった」と少し後 悔した。(MOXIE DRAFT COLAについてはコーラ白書本編参照)

(註1)コーラ探索センサー:中本晋輔の間脳視床下部にある器官。変なコーラの 発する電波を感知し、その接近を知らせる役割を持つ。大丈夫かよ。


[11月号表紙]
コーラ月報11月号

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