本品はサントリーが2022年から展開する季節限定の特定食材専用コーラシリーズの第4弾にあたるが、コンセプトは従来と大きく異なる。これまでの「からあげ専用」「フライドチキン専用」「ザンギ専用（北海道限定）」はスーパーの販売データからコーラと相性の良い総菜を割り出し、クロスセルを狙うことで新たな市場と売り場を確保するというスマートかつ野心的な試みであった（少なくともその初期のコンセプトとしては）。しかし今回のヤキソバ専用はSNSを意識した短期的インパクトを重視した商品設計になっている。
その変化はサントリーのプレスリリースにも表れている。6月7日に掲載された新商品発表のタイトルは「ペプシの次回作は「ヤキソバ専用コーラ」！」と、堅めの同社のリリースの中では異例の軽さ。また「屋台の定番メニューとも言えるヤキソバを食べる機会も増えるのではないかと考え、今回“ヤキソバ専用コーラ”の発売に至りました」や「商品開発担当者は語ります。」など、どこか第三者的な目線の軽いノリが目立つ。
フレーバーにはまさかのミントを採用。ミントは風味のクセが強く、これまではコーラで成功していないフレーバーの一つだ（そしてヤキソバとも成功していない）。これについて「個人的には（中略）ミントフレーバーで後口がサッパリとなり、最も合います」という商品設計者のコメントをニュースリリースに引用するのも新機軸。ベースのフレーバーには＜生＞ペプシの生コーラスパイスと非加熱製法を使用、甘味料は3種を併用する。
ミントのフレーバーは思ったよりも控えめで、涼しげな存在感を保ちながらも歯磨き粉感をギリギリで回避している。コーラのフレーバーにスパイス感があり、風味に奥行きがある。酸味、甘さともにしっかりしていて、飲みごたえのあるコーラだ。個人的にはヤキソバの後に求めるさっぱり感はミントではないのだが、そこは確信犯であろう。
夏祭りのヤキソバをターゲットにした時点で、もともとのコンセプトから方向転換を余儀なくされたヤキソバ専用ペプシ。クロスセルが期待できない分スーパーでの取り扱いも限定的だが、入手困難で話題になるのも想定内だろう。今後サントリーの「専用コーラシリーズ」がどこに向かうのか、注目したい。
ペプシの次回作は「ヤキソバ専用コーラ」！ サントリーの公式ニュースリリース。楽しそう・・
