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中本 晋輔 製造業の世界に「オーバースペック」という言葉がある。これは要求されるスペックに対して部材が過剰品質であることを指す言葉で、コストの厳しいこの業界ではマイナスの意味に使われることが多い。今回紹介するSOL & LUNAの缶ホルダーは、その意味ではゲージが振り切れるくらいの見事なオーバースペック品である。
本品が他のカンホルダーと一線を画するのはその素材。手の触れる部分がすべて上質な薄手のなめし牛革でカバーされているのだ。実際に缶を入れて握ってみると、なんともいえない柔らかでしっとりとした質感が掌に残る。縫合部も丁寧にステッチされており、ちょっとしたアート作品のような存在感だ。 カンホルダーとしての性能も申し分ない。実はこのアイテム、アウトドア用品メーカーColemanのカンホルダー「クーラー・ジャグ」を革で包んだものなのだ(註1)。内側はTufFormという硬質発泡ポリウレタンでできていて、断熱性・ホールド性などカンホルダーとしての性能も折り紙つき。内側にColemanのロゴが残っているのはご愛嬌。 シンプルなライトブラウンから鮮やかなイエローまで6色のバリエーションが楽しめる。 過剰なまでの品質は、当然価格に反映される。6色セットで18900円(税込み)、ひとつあたり3150円はカンホルダーとしては桁外れだ。うっかりスーパーのプライベートブランドでも入れようものなら内外価格差100倍。中のコーラの居心地の悪さは察するに余りある。 いくら革製品だといって、カンホルダーを使わずに飾っておいたのでは本末転倒というものだ。アウトドアでガシガシ使い込めば、エイジングで更なる革の魅力を引き出せるだろう。オーバースペックだからこそ徹底的に使い倒したい逸品である。
(註1) SOL And Lunaは他にもColeman製品をレザーでカバーしたアイテムを発表しており、クーラーボックスや飲料タンクなどのラインナップがある。 |
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