コーラ白書
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ミリエンダはコーラとバナナで 第3回「コーラもビニール袋」

なかはしいちろう

所変わればコーラも変わる?

前回の記事を読んだある読者から、「フィリピンでペプシのシェアが低いというのは意外だ」という意見をもらいました。なんでも彼(もちろんフィリピン在住です)のところでは毎日ミリエンダ(註1)に1リットルのペプシ(当然ガラス瓶)を飲んでいるのだそうです。

私が前回PEPSIのシェアは低そうと言ったのはあくまで個人的な印象からだったのですが、Asiaweek.comの(若干古い)記事によれば、2001年のPEPSIのマーケットシェアは11%(業界第3位)ですし、その後フィリピンにおいてPEPSIが急成長したというような記事は見つからないので、おそらく状況はあまり大きくは変わっていないのではないでしょうか。

ルソン/ビサヤ地図
ルソンとビサヤ。

しかしながら、思い当たることもあります。わたしの任地の周辺(北ルソン)では、宴会の友といえばブランデー。日本人にはブランデーといえば高級品という思い込みがありますが、フィリピンでは極めて安価なブランデーが多数売られています。もっとも馴染があるのはGrand Matador(通称「マタドール」)という銘柄で、アルコール度数は36%。750ミリリットルのボトルが62ペソ(150円弱)です。1リットルのビールがだいたい50ペソだということを考えると、人気の理由も良く分かります。(註2)

ところが、ビサヤ地方(中部の島嶼部)ではブランデーではなく、ラムが好んで飲まれているのだそうです。こちらもTanduhayという安価な銘柄があって、「安上がりに酔う」ことができます。

実はフィリピンの(北ルソンの?)ブランデーブームはここ数年に興ったもので、それ以前はジンが一般的だったのだそうです(それ以前の伝統的な種類についてはここでは触れません)。フィリピンはサトウキビの生産国ですから、それらを直接・間接に原料とするジン、ラムが庶民の酒だったことは納得がいきます。

少し話が逸れました。ここで言いたかったのは、酒と同様にコーラにおいても嗜好の地域的偏りが見られるかもしれないということです。このあたりについては今後もウォッチしてみようと思います。

フィリピン流テイクアウト術

トロトロの写真
日常的なトロトロの風景。
テイクアウト写真
テイクアウトするとこうなる。

フィリピン人は日本人に比べるとあまり外食を好まず、家で家族揃って食事をすることを大切にします。とはいえ、下宿中の学生などは街頭の食堂で食事を済ませることも少なくないようです。いわゆる「お持ち帰り(テイクアウト)」をする姿も多く見られます。

turu-turo(トロトロ)(註3)と呼ばれる庶民的な食堂の光景を見てみましょう。店の前に調理済みの料理が並べられています。客がその中から好きなものを選んで注文すると、その料理を小皿に取って、皿に盛ったご飯と一緒に席まで持ってきてくれます。大抵はおまけのスープ(具がない)も持ってきてくれます。

ここでテイクアウトを頼むと、プラスチックの弁当箱、ではなく、ビニール袋が登場します。何の変哲もない、透明で四角いビニール袋です。小皿に取った料理を、そのままビニール袋に入れます。ご飯も別のビニール袋に入れます。それを家に持って帰って、自分の皿に移して食べるわけです。最初はちょっとビックリしましたが、レトルトパウチ食品だって大して変わらないわけですし、ゴミも少なくて助かります。

私が今住んでいるアパートの近くには、夜になると粥(arroz caldo)(註4)と中華麺(mami)の屋台が出ますが、ここでもテイクアウトは可能。もちろん期待どおり、生ビニール袋にそのまま取り分けてくれます。中華麺の場合には麺とスープを別々の袋に入れてくれるのが嬉しいところです。スープをこぼさずに鉢に移すのにはちょっとしたコツが必要ですが。(註5)

コーラもビニール袋!?

と来て、ようやく本題に入るわけですが、コーラをテイクアウトする場合にはどうなるんでしょう? もちろん缶、ペットボトルで買えることもありますが、前回お話したように、ここではガラス瓶での流通量が圧倒的に多いのです。

ビニール袋コーラ
ビニール袋にコーラ。思ったより持ちやすい。

そうすると、やはり登場するのはビニール袋! 飲物専用の細長いビニール袋がちゃんと用意されていて、そこにストローを指して手渡してくれます。扱いにはやや注意が必要ですが、携帯性は決して悪くありません。所詮8オンス(約250ミリリットル)しかないので、いざとなれば飲み切ってしまえばいいですし。

初めて目撃したときは相当に衝撃を受けたこの習慣ですが、少なくとも東南アジアではあまり珍しいものではないらしく、「コーラ津々浦々 タイ・バンコク編」でも取り上げられています(こちらの「紐付きビニール袋」の方がより便利そうです)。また、ネタ元は忘れてしまいましたが、インドでも同様の売られかたをしていると聞いたことがあります。

次回のフィリピン訪問の際には、是非 "Isang Coke/PEPSI/Pop sa plastic!"(イサン コーク/ペプシ/ポップ サ プラスティック!)と注文してみましょう。フィリピン気分が盛り上がることひとしおです。

では、今回はこの辺で。Sige ba-bye!

(註1)ミリエンダというのは10時と3時のおやつのことです。フィリピン人は毎日ミリエンダを欠かしません。

(註2)ちなみに、もう少しリッチな気分を味わいたい時にはFundador(「フンタドール」)を選ぶことが多いようです。値段は300ペソ強(約750円)。

(註3)"turo"というのは「指さす」という意味だそうです。

(註4)arroz caldoはスペイン語で米のスープという意味らしいです。もっとも、味は鶏の出汁が効いた中華風ですが。

(註5)ちなみに、ファーストフード店や高級レストランでは、日本と同じようなプラスチック製のトレイに入れてくれます。何だか勿体ないと思っちゃいますが。