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ODMにかける想い
ODMとはOriginal Design Manufacturingの略称で、受託メーカーが開発から製造までを一貫して担当する生産形態のことだ。友桝飲料が受託生産のOEMではなく、敢えてODMを掲げる意味について聞いた。 友田社長によると、国内には指定されたレシピの製品を生産する「パッカー」や、委託先からの価格や仕様指示に基づいて製品開発を行うOEMメーカーは数多くあるという。これらのメーカーはスーパーなどの大手小売業や大手飲料メーカーからの委託を受け製品を作り、委託先への納品までを担当する。我々がスーパーで見かけるプライベートブランドのコーラなどがそうだ。 しかし地コーラや地サイダーでは上述の手法は通用しないと友田社長は話す。販売規模が小さく、また委託者が必ずしも清涼飲料の流通や販売のプロではないため、1ロット分を売り切ることすら難しいことが多いという。それではせっかく製品を開発しても、2回目の注文が来ないということになる。 そこで友桝飲料では自社の商流網を活用し、マーケティングや販売にまで踏み込むことで製品の継続的な販売を目指している。これこそ友田社長の掲げる「オリジナルODM事業」なのだ。 販売まで責任を持つということは、商品が売れなければ自分たちに跳ね返ってくることを意味する。このためODM事業は委託生産でありながら、自社ブランドと同等以上の製品の作り込みが要求される。おのずと製品の完成度が上がったと、友田社長は笑う。 このODM事業の最大の難点は、全ての案件が個別対応である点だという。観光協会や地元のホテル協会など、依頼者は千差万別。それぞれの能力や規模を見極め、どこまで友桝飲料として入っていく必要があるのかを見極めなければならない。自社で対応できなければ外部の協力が必要になる。システム化できずコストが読めないため、事業として成立させるのは難しい。 友桝飲料がこれを事業化できるのは、この10年で同社が培ったノウハウとネットワークがあるからだ。隣で相槌をうつウィローの浅羽さんをはじめシロップメーカーやバイヤーなど、こどもびいるや地サイダーの開発の中で築かれた強固なネットワークが、それぞれの案件に合ったフレキシブルな対応を可能にしている。
そしてこの事業にもうひとつ必要なのが依頼側の熱意である、と友田社長は語る。地元の良さを伝えたい、オリジナルの商品を作りたいという熱意こそが、良い製品を生み出すうえで不可欠なのだという。だからこの事業では決して売り込みをしないし、場合によっては依頼されても断るケースもあるという。 沈殿するコーラ 〜友桝の真骨頂〜
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沈殿のできる炭酸飲料というのは、飲料業界ではかなり常識外れなこと。普通炭酸飲料には「振らないでください」と書いてある。
「これは、うちだからできることです。大手の飲料メーカーの常識ではまず真似はできないでしょう」
と友田社長は笑う。常識にとらわれず尖った商品を作り出す、友桝飲料の面目躍如である。
誤解を恐れずに言えば、友田社長個人にとってはいまだに「コーラは敵」なのだと思う(むしろコーラが好きなのは浅羽さんのほうだろう)。しかし依頼者の熱意や周りの意見を取り入れて商品を練り上げていく中で、コーラで勝てると思えば躊躇なく製品化する。そうして生まれたのが南の島の香りのするコーラであり、苦味の効いた大人のコーラなのだ。
ある経営者は「最高の経営とは衆知の経営である」と言った。今回のインタビューを通じて、友田社長が周りの色々な意見に耳を傾け、謙虚にそして冷静に製品と向き合っているという印象を強くした。その周りには自然に人が集まり、知恵を出し合って他社には真似できない尖った製品を生み出す。これこそが友桝飲料の強さの根幹であるように思えた。
インタビュー後、工場を見学させて頂けるとのことで社長に続いて階段を下りた。ふと、どこからかラムネの香りがした。
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株式会社 友桝飲料 住所 佐賀県小城市牛津町牛津834番地 URL http://www.tomomasu.co.jp/main/ |