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今年に入って清涼飲料界隈でギルティという言葉をやたらと耳にするようになった。 ギルティ(Guilty) とは「有罪の」や「罪悪感のある」という意味の単語だ。清涼飲料で使われるのは後者で、コーラのような高糖度で体に悪そうな炭酸飲料を飲むときの罪悪感や背徳感を指すらしい。 セブンイレブンジャパンは3月発売の「セブンプレミアム ゼロコーラトリプル」のプレスリリースの中で「罪悪感なく、リフレッシュとケアを同時に叶える新しい選択肢」という表現を使用。またアサヒ飲料が5月に首都圏限定で発売したGreen Colaはカロリーゼロ&植物由来の甘味料やカフェインを使うことでノーギルティを謳う。 その一方でサントリーは3月24日に新製品 NOPE (ノープ)を発売。サントリーらしいエッジの効いたマーケティングで、「背徳消費」を全力で肯定したこの高糖度フレーバー炭酸飲料は発売50日で累計5000万本以上を出荷する大ヒットとなった。 今回は清涼飲料の消費を左右する「ギルティ」という概念について考えてみたい。
コーラの2つの罪コーラには二つの罪がある。 まずひとつめはなんと言ってもその高いカロリーだ。コカ・コーラ 350mlには成人男性の1日に必要なエネルギーの約5%にあたる約140kcaのカロリーが含まれる。そしてそのほぼすべてが砂糖やコーンシロップなどの糖類由来なので、コーラを飲むと短時間で大量のエネルギーを摂取してしまう。いわゆるファストカロリー食品だ。コーラを自作し、その砂糖の量の多さに戦慄した向きも多いことだろう。 では糖類を含まないゼロカロリーコーラは大丈夫かというと、そうでもないらしい。ゼロカロリーのコーラの多くには砂糖の数百倍の甘味を持つ人工の甘味料が使用されている。アセスルファムK、スクラロースやアスパルテームがその代表格だ。これに加えてリン酸やカラメル色素、合成香料など工業的に作られた原材料が使われていることが、コーラの罪悪感の2つ目の原因になっている。 この2つのコーラの「罪」を滅ぼすには、ゼロカロリーかつ自然由来成分だけを使ったコーラを作ればよい。簡単なようだが、ここには技術的に高い壁がある。自然由来かつゼロカロリーを達成できるほど甘味の強い水溶性の認可甘味料は限られる。その数少ない選択肢の一つであるステビア抽出物は独特の後味がありコーラとの相性が悪い。つまりステビアだけを使ったゼロカロリーのコーラはあまり美味しくないのだ。 この「自然素材のゼロコーラ」にストイックに挑むのはギリシャ発祥のgreen Cola(日本除く)など限られたメーカーだけで、今のところニッチな市場にとどまっている。コーラは嗜好品なので、美味しくないとマーケットが広がらないのだ。 罪悪感の優先順位完全無罪なコーラを作ることが技術的に難しいため、各社は美味いことを前提に罪悪感の優先順位をつけるのだが、この順位付けが地域やメーカーによって異なる。 第一のグループは人工甘味料NGで、カロリーで妥協するもの。代表的なのは2013年に発売されたCoca-Colal lifeだ。モスグリーンのパッケージが印象的なこのコーラには、 ステビア抽出物と砂糖が併用されている。果糖ブドウ糖液糖や他の人工甘味料を使わず、天然由来の甘味料のみでカロリーを従来品の約半分に減らしている。 米ペプシコが2026年に発売したPEPSI PREBIOTIC COLAもこれに近い設計コンセプトの商品だ。こちらも砂糖(Cane Sugar)とステビアを組み合わせ、人工甘味料不使用で低カロリーを謳う。ロゴの上には「Sugar 5g, No artificial sweetner (砂糖5g, 人工甘味料不使用)の記載がある。さらにこちらは食物繊維(Corn Fiber)も入っていて、 健康志向が高いがコーラを飲みたい消費者への魅力的な提案となっている。 第二のグループはカロリーNGで、人工甘味料を一部許容するもの。代表的なのは2026年にアサヒ飲料が発売したgreen Cola (日本版)で、こちらはステビアと一緒に人工甘味料のスクラロースが使用されている。ステビアの後味は大幅に改善されているが、本家green colaの掲げる「人工甘味料不使用」の看板は降ろしている。 第三のグループはカロリーNGで、人工甘味料も許容しつつ「体によさげな成分」を入れることで罪悪感を軽くするものだ。免罪符として添加されるのは脂肪の吸収を抑える食物繊維(難溶性デキストリン)や疲労回復に効果があると言われるGABAなどだ。日本のトクホコーラや中国の可口可楽繊維+、セブンイレブンのコーラトリプルゼロがこれにあたる。
*100mlあたり5kcal未満のエネルギー
19世紀後半に薬として誕生したとき、実際の効能はともかくコーラは「体に良い」飲み物だった。しかし時代とともに配合や価値観が変化し、いまやコーラは代表的なギルティ食品になってしまった。罪悪感という概念が今後のコーラにどう影響していくのか、これからも追いかけていきたい。
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