|
中本 晋輔 & 中橋 一朗 |
何やら意味深なタイトルであるが、何のことはない。今回は好評だった月報6月号の特集「コーラ改造学」の第二弾、カクテル編である。タイトルから18禁を連想して来た諸君は残念でした(そんな奴いねーか)。コーラとアルコールの組み合わせは実はそれほど奇抜な物ではない。97年にサントリーの人気シリーズ「COCKTAIL BAR」からコーラ&ラムが発売されたのは記憶に新しいし、アルコール系コーラの本場オーストラリアでは様々な銘柄と種類の酒と合わしたコーラが販売されている(詳しくはコーラ白書を参照)。そこで今回はコーラの新しい可能性を探るべく、カクテル作りに挑戦してみた。今回用意したコーラはCoca Cola(日本)、Pepsi Cola(日本)、Jolt(CANADA)、やわらかカルピスコーラ、それにINCA KOLAの5種類。また使用したリキュールは次の9種類(写真左から順に紹介)。
名称 備考 LUXARDO IL MARASCHINO チェリーリキュール PAGES (BANANA) オレンジリキュール JIM BEAM 今なら車が当たる。バーボン BOMBAY SAPPHIRE DRY GIN ジン。瓶が奇麗 MYERS'S RUM ラム CAMUS V.S.O.P ブランデー SUNTRY OLD ご存じウイスキー PAGES (ORANGE) オレンジリキュール 宝酒造 紹興酒<花彫> シュウエップス ジンジャーエール 酒ではないけど香り付けに使用 SUNTRY Lime sweetened これも酒ではない まず初めに「正統な」コーラカクテルを紹介しよう。
No.1 キューバ・リバー
ではここでキューバリバーを不法改造してみよう。
- 作り方
ラム 3/12 ライムジュース 1/12 コカ・コーラ 8/12
- 短評
- キューバ独立戦争の勝利を記念して作られたカクテル。これについてはコーラ白書で何度か触れているが、重要なのが使うコーラが「Coca Cola」であることだ。当時コーラといえばコカ・コーラしかなかった。よってコカ・コーラ以外のコーラを使ったキューバリバーは「偽物」ということになってしまう。このカクテル、本気で旨い。ラムとコカ・コーラが味に深みを出し、コーラに相性の良いライムの味と香りが全体をまとめあげている。このカクテルで重要な はラムとライムジュースの比が3:1であることで、コーラの量は「適量」でよさそうだ。どちらにしろコーラ好きにはたまらない逸品。
- 評価
- A
No.2 やわらかキューバリバー (ORIGINAL)
気をとり直して再度改造を試みた。
- 作り方
ラム 3/12 ライムジュース 1/12 やわらかカルピスコーラ 8/12- 短評
- いきなり濁ったエグい色のカクテルになってしまった。昔飲んだチェリオの Cobraを思い出して嫌な気分になったが、飲んでみても不味かった。乳酸飲料の味はす るのだけど、妙に苦い。同じ比で作っているにもかかわらず、ライムの味がきつすぎる。コカ・コーラの偉大さを再認識させられる。失敗。
- 評価
- C
No.3 カストロ大爆発 (ORIGINAL)
Joltとリキュールは予想外に相性が良い事が判明した。これを使わない手はない、という事で今度はジンと組み合わせてシャープさを追求したカクテルを作ってみた。
- 作り方
ラム 3/12 ライムジュース 1/12 Jolt Cola(CANADA) 8/12- 短評
- コカ・コーラの代わりに強炭酸、ダブルカフェイン、味の硬いカナダのJoltを投入してみた。これでカストロもびっくりの凄いものが出来る・・・と思ったら、意外にも美味しいぞ、これは。ベースがコカ・コーラからジョルトに代わったため味に深みはなくなったが、その分軽くてシャープなカクテルに仕上がった。ライムとの相性も良い。恋人と一緒に飲みたいお洒落なカクテルである。
- 評価
- A
No.4 極光 (ORIGINAL)
中国の酒「紹興酒」は独特の癖と香りがあり、砂糖を入れて飲む事もあるという。砂糖がOKならコーラでも、と短絡的思考で作ったのがこのカクテル。
- 作り方
Bombay Sapphire(ジン) 5/9 Suntory Ginger ale 2/9 Jolt Cola(CANADA) 2/9- 短評
- 我々が「標準的なジン」と思って購入したBombay Sapphireは実は少し香り付けがしてあったのだが、これが却って良かった。全体的には硬くシャープなカクテルなのだがほのかな甘みと苦みがあり、それが口の中です・・っと消えてとても心地よい。 Bombay Sapphireの香りも絶妙で、いくらでも飲めそうな軽いカクテルとなった。これは美味。ジンは普通のものでも代用可だが、やはりBombay Sapphireを薦めておきたい。でも銘柄指定のカクテルっていうのもなんだかなぁ。
- 評価
- A+
No.5 台湾軍事演習 (ORIGINAL)
この辺で時刻は午前0時。私(中本)の終電はすでに出てしまい、寝る場所もない状態である。夜にもなると会場である中橋氏の家の屋上はかなり冷え、その上雨まで降り始めた。同席した丹原氏は風気味で調子が悪く、酒も量がないので酔えない。そういうテンションが急降下しだした時間帯に考え出されたカクテルを紹介しよう。
- 作り方
紹興酒 1/2 コカ・コーラ 1/2- 短評
- 死ぬほど甘い。何か「黒飴ドリンク」の様になってしまった。その上臭い。コカ・コーラと紹興酒の比を変えていろいろ試してみたが、どれも失敗。どうもアメリカと中国は相性が悪いようだ。だからそういう発言は避けろって。
- 評価
- C−
No.6 グレープフルーツコーラ (ORIGINAL)
- 作り方
Suntory Old(ウィスキー) 1/4 100%グレープフルーツ 1/4 コカ・コーラ 2/4- 短評
- 苦い。どう頑張っても「ウイスキーのコカ・コーラとグレープフルーツジュース割り」の域を出なかった。飲み会なんかで余った飲み物を混ぜてできそうなカクテルだ。そういうのをカクテルと呼ばないという説もあるが。名前もかなりやる気無し。
- 評価
- C
No.6 ワイルドチェリー (ORIGINAL)
- 作り方
チェリーリキュール 1/6 ペプシコーラ 3/6 Bombay Sapphire(ジン) 2/6- 短評
- 貴重なBombay Sapphireを使ってアルコールチェリーコーラを目指したのだが、思っていたものとは別のものができてしまった。兎に角甘い。その上チェリーとジンの香りが混ざって何か良く分からない。その上妙に喉に残る。良いとこなしのカクテルである。
- 評価
- C
No.7 Jim Beam & Pepsi (ORIGINAL)
とめどもなくテンションが下がり続けるかと思われた今回の企画だが、午前1時半を周った頃から私と中橋氏が妙にハイになりだした。気分はもうリミット解除状態(c.FF七)である。こうなると不思議にインスピレーションが湧くもので、2人で嬉々としてカクテル作りをはじめた(ちなみに丹原氏と新田氏は死亡)。先ほどとは趣向ががらりと変わったハイテンション・カクテルをご覧いただきたい。
- 作り方
Jim Beam(バーボン) 1/3 ペプシコーラ 2/3- 短評
- Jim Beamとコーラの組み合わせは結構メジャーで、オーストラリアと日本でアルコールコーラとして販売されていたことがある。それをペプシコーラで再現してみたのだが・・・うーん、確かにJim Beam独特の風味の生きた面白いカクテルになったけど、どこか決定打不足。それにやっぱり甘い。国産のJim Beam & Cola(ニッカウヰスキー)は砂糖を使っていなかったのですっきりしていたが、市販のコーラとでは重くなりすぎた。でもコカ・コーラなんか使ったらもっと重い物が出来上がったのではないかと思うぞ。まあ、それなりに美味しいけど。
- 評価
- B
No.8 ラテンドリーム(ORIGINAL)
- 作り方
BEEFEATER(ジン) 1/3 INCA KOLA 2/3 PAGES(バナナリキュール) 少々- 短評
- コーラという概念から離れて「見栄えの良い」ものを目指したカクテル。黄色が映える。独特の甘みのあるインカコーラがベースなので、ジンを加えても結構甘い。バナナリキュールはあくまでも香り付け程度だが、これがインカコーラの癖を消してくれる。なかなか面白い味だがぬるくなると甘さが強くなってしまうので、キンキンに冷やすかフローズンにするのが良い。ジンとコーラの比で味がかなり変わるので、いろいろ試してみても面白いだろう。
- 評価
- B+
No.8 南北戦争 (ORIGINAL)
午前2時、宴は終わった。
- 作り方
Coca Cola 5/11 Pepsi Cola 5/11 ブランデー 1/11- 短評
- Atlantaを拠点とするコカ・コーラとNew Yorkに本社を持つペプシコーラ。両者の戦いはよく南北戦争に喩えられる。実際カンザス計画のコカ・コーラへの激しい批判は南部の人の「北の人間にまた負けるのか」という意識の現れだと言われる程だ。この100年以上も続く戦いをカクテルで表現してみたのがこれ。
当初「名前に酔う」タイプと思われていたこのカクテル、味もなかなか。ストレートなペプシがブランデーとコカ・コーラの深みのある味とマッチしたちょっと渋めのカクテルである。ブランデーの量はお好みだが、両コーラの量を同じにするのがポイント。コカ・コーラとペプシって、意外と相性良いのかも。かっこいいカクテルである。
- 評価
- A
お茶やサイダーと違い、コーラは「自己主張」を持った飲み物である。今回はカクテルという手段で色々なコーラの自己主張を引き出してみたのだが、カクテルの中でコーラは立派に主役を演じてくれた。今回の特集で「コーラのカクテル」と「酒のソーダ割り」が全く次元が違うものである事に気づき、コーラについて少しでも考えて頂けたのなら幸いである。
コーラとは、楽しむものなのだから。
Copyright (C) 1997-2014 Shinsuke Nakamoto, Ichiro Nakahashi.
当ウェブサイトに記載されている会社名・商品名などは、各社の登録商標、もしくは商標です