コーラ白書
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Dデイ

収録当日。東京へと向かう新幹線の中で、私はコーラの文献を何度も読み返した。なんだか大学受験直前みたいで、ちょっと懐かしい気分。

赤坂BIZで知り合いと昼食を取った後、赤坂のTBSに入る。受付で名乗るとすぐにパスを渡してくれて、案内通りに楽屋へと向かう。

そう。楽屋があるのだ。4畳半の畳の部屋には、テレビでよく見るような大きな鏡と照明が並ぶ。トイレや洗面所もあり、ちょっとした旅館の部屋みたいな雰囲気だ。

しばらく待っていると、ディレクターさんが大量の白い板を持って登場。この白い板はワイドショーなんかでよく見るフリップで、これを紙芝居のように使ってプレゼンを進める。「ため」が必要な部分はシールで隠されていて、「ジャジャーン」とか言いながら剥がすわけだ。このシールは付箋みたいな感じになっていて、何度でも貼り直しができる。

「発泡スチロールですから、落としたら割れるので注意してください」というのがちょっと意外だった。

その場でフリップの内容と最終バージョンの台本を確認。一度通して流れを確認しながら、平行してフリップの間違いの修正作業を進める。全ての準備が整ったのは、リハーサル開始の10分前だった。


この番組で収録前にマツコさんが知っているのは「今日は中本という人がコーラについて話す」ということだけだ。フリップや台本はあるものの、どんな流れになるかは始まってみないと分からない。

ディレクターさんから言われたのは、マツコさんと会話を楽しんでほしいうこと。話題が脱線しても問題なし。無理に台本どおり進めようとせず、マツコさんの話を聞いて自然に会話をするのが理想だという。これは思ったよりガチだ。

スタジオにはセットが組まれ、テーブルの後ろには年代物の冷蔵庫が3台も用意されている。その周りには日本で手に入る様々なコーラが準備されていて、中には翌月発売予定の試作品まで・・・テレビのパワーを垣間見た気がした。

 

ハンドキャリーの悲劇

実際の収録の様子は、テレビの放送内容を見ていただくのが一番だろう。はじめは勝手が分からずかなり緊張したが、編集で後からなんとでもなることを理解してからは素直に会話を楽しむことができた。

収録時間は結構長くて、時にはグダグダになることもあったが、放送で実にテンポよく仕上がっていたのは編集の妙である。

今回の収録では、自分が正しいと思うことしか話していない。ただ構成上どうしても「自分があまり専門でない分野」についても語らなければならない部分があり、これは正直ちょっとしんどかった。どこなのかは私のテンションを見ればご理解いただけると思う。

また困ったのが海外コーラの手配だ。番組の特色上マツコさんに色々なコーラを実際に飲んでもらわないといけないのだが、準備期間が1週間では海外からコーラを取り寄せることができなかった。結局afri colaはその存在を紹介するだけになってしまったし、また砂糖100%のアフリカのコーラもモロッコやマラウイのものを飲んで欲しかったのが正直なところだ。

放送で派手に爆発した広島コーラは、製作側の手配が間に合わず私が当日持参したものだった。キャスターバッグに揺られ、十分に冷やす時間のなかったコーラがあのような暴挙に出るのも無理はない。スタッフの方には随分とお手数をかけてしまい、反省しきりである。

しかしそれら「うまくいかない部分」が、結局一番面白かった。それがこの番組の最大の魅力なのかもしれない。


11月30日の放送後多くの反応を頂いたが、そのほとんどが「面白かった」というものだった。特に「こんなにコーラがあるとは知らなかった」というコメントは、コーラの多様性を少しでも伝えることができたと嬉しくなった。中には私の勉強不足を指摘するものもあり、それは真摯に受け止めねばならない。

それにしても、関西の放送はまだなのかなぁ・・・

番組を作るということ

今回テレビ番組作成の一端を見て強く感じたのが、作り手の真剣さだった。ディレクターの方はたった1回の収録のためにコーラの書籍に目を通し、メーカーと折衝し、視聴者を惹きつける構成を練る。私のような素人相手に同じ目線まで降りてきて、理解するまで粘り強く説明してくれる。良い番組を作るために手間を惜しまないその姿に、気持ちの良いプロ意識を感じた。

今回のテレビ出演は、私にとってとても楽しい時間だった。準備やタレントの方との収録も貴重な経験であったが、何よりコーラ白書の目的を再認識できたことが最も大きな収穫だった。

帰りの新幹線の中、マツコさんが「私は絶対に無理」と話していたコーラ&お弁当を食べながら、この組み合わせもオツなんだけどなーと思った。

【参考】

マツコの知らない世界|TBS