今月の一冊「アメリカ製品の本」

なかはしいちろう

その名の通り、アメリカ製品についての本である。ページをめくると、美しいカラーページに、ナイフや、煙草や、ZIPPOや、ジーンズや、スポーツウェアや、ハンバーガーの写真と、その蘊蓄が並んでいる。もちろんコカ・コーラも。

奥付によると発行は昭和56年(1981年)。僕がまだピカピカの一年生だった頃だろうか。確かにその時分、米国は特別な国だったかもしれない。テレビで見るアメリカ人はいつも金持ちで、楽しそうで、それに正義だった(もちろん、悪者は寒い国の人々だった)。

しかし、21世紀の視点で改めて眺めるとすれば、これは相当居心地の悪い本である。アメリカが夢の楽園なんかじゃないことは今では子供だって知っている。ファストフードは健康の敵だし、煙草は自殺行為と見なされ、米国で流通する工業製品の多くは中国や南米からの輸入品となってしまった。「アメリカ製品」という概念自体、たぶんもう不成立なのだ。

コカ・コーラについての記事「THE TASTE OF AMERICA」はカラー4Pと1色1Pで、間に日本コカ・コーラ社の広告(カラー1P)を挟んでいる。コカ・コーラ誕生譚から7X、ホブルスカート瓶など、主要な話題は手堅く押さえてあり、短いながらも読みごたえはある(コカ・コーラ社にとって都合の悪い部分は幾分割愛されているが)。ポスターやノベルティーグッズの写真も豊富で、コレクターなら楽しめると思う。

[カバー]

アメリカ製品の本(ワイルドムック50)

KKワールドフォトプレス、1981年5月


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