コーラ白書
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中本 晋輔

 

驚くべき成長

ついに芽を出したコラノキの種。とりあえず「発芽しない」という最悪の事態は回避したものの、相変わらず手探り状態での育成が続く。

発芽を確認した翌日、とりあえず窓辺に鉢を置いて会社に行って帰ってくると、芽が倍ぐらいの長さに成長している。成長はやいな!

そして屈光性というやつであろうか、健気にも窓に向って曲がって伸びている。かわいい。

芽の様子も分かるようになってきた。淡い緑色の芽の表面は短い毛のような凹凸があって、ちょっとザラザラした感じ。頂芽の先端は二つに割れていて鍋つかみみたいな形状だ。

先生によるとこの時期は水と日光を十分に与えることが重要という。とりあえず南向きの窓際に置いて水をやることにする。

ここ数日で大きな変化が見れそうなのだが、こんなときに限って明日から出張が入っている。それも2泊3日という、今の職場では珍しい連泊。家の人に水やりをお願いして、泣く泣くコラノキに別れを告げる。

3日後、家に帰ってきてみると・・・

 ・・・アスパラかよ!

3日留守にしただけで、この伸びっぷり。頼りなかった芽がちょっと立派になり、すっくと天に向かって伸びているではないか。うちの子すごい!でもちょっと徒長気味かしら?

子供のいるお母さんの気分が分かったような気がした。

その後もコラノキはすくすくと育ち、1週間で20センチを超えるまでになった。あの無愛想な種にこんな生命力が詰まっていた事に改めて驚きを感じる。しかし芽ばっかり伸びて、肝心の葉が出ないなぁ。

本当にアスパラなんじゃないかと思い始めた頃、頂芽に変化が現れはじめた。鍋つかみだった先端から薄緑色のループ状のものができている。明らかに茎の部分と質感の違うそれは、まるで窮屈な場所から脱出しようとしているようだ。

そして翌日・・・・

葉っぱデター! 

葉っぱの成長も茎に負けず劣らず早い。初めは薄緑で弱々しかった葉も日を追うごとに大きく、また色が濃くなってくるのが分かる。わずか5日で立派な2枚の葉が出現したのだ。やっほーい。

葉は単葉全縁形で、先端が急に尖った形状をしている。長さは12cmくらい。若葉のころは薄い黄緑色だが、数日で深い緑色に変るようだ。表面には光沢があり、薄い割には結構硬くしっかりしている。

ネットで調べたコラノキの特徴と良く似てるので、きっとこいつはコラノキなのだろう。ここにきてようやく確認ができて一安心。

裏目の親心

葉っぱがあれば光合成ができる。そうなると少しでも明るいところに置きたくなるのが親心というものだ。

よく晴れた8月の週末、コラノキを外に出して日光浴をさせることにした。コラノキにとっては初めての屋外である。夏の強い日差しを浴びてどんどん光合成をしてくれるに違いない。

午前中に庭に出して経過観察。お昼ごろに確認した時には特に変化がなかったので、そのまま難波へお買い物に行ってしまった。そして夕方帰ってきてみてみると・・・

葉っぱが変形している!

予想外の事態にうろたえる中本。よくみると葉っぱの真ん中が茶色く変色しているではないか!そこを折り目にするように葉っぱが変形していたのだ。ああぁぁぁ!

後日ひょう先生に話を聞くとと、過剰な光で葉っぱがダメージを受ける「葉焼け」という現象なのだそうだ。特に今まで箱入りで育てていたので、いきなり大量の光を浴びて葉が耐えられなかったのだろう。元々はアフリカの熱帯地方の日向で育つ植物のハズだが、ちょっと過保護に育て過ぎていたのだろうか・・。

幸い葉焼けを起こしたのは1枚だけで、もう一方の葉は無事で成長に支障をきたすほどではなかった。しかしその後も葉焼けの葉っぱは回復せず、その痛々しい姿を見るたびに中本は後悔の念にさいなまれることになった。

植え替え大作戦

葉焼け事件などもありつつもコラノキはその後もスクスクと育ち、8月の終わりには葉っぱ6枚を擁するまでに成長した。高さも40センチを超え、3号鉢がいかにも狭くなってきた。そろそろ引っ越しを考えねばならない。

先生によると、植え替えは根にダメージを与えないことが重要だという。物理的な切断はもちろん、植え替え中に根が乾燥してしまってもダメなのだ。だから真夏よりは少し気温が下がった9月中旬以降の、湿度の高い日がよいとのことだ。

しかし9月に入ると、コラノキの成長がパッタリと止まった。いままで勢いよく伸びていた芽の生長が止まり、新しい葉っぱができなくなった。いくら水をやっても変化がないので、ふと鉢の底を見てみると・・

なんと、ぶっとい根っこが底の穴から出ているではないか!

これ以上放置して根っこがどんどん底から出てくると、植え替えに支障をきたす可能性がある。やや時期は早いが、植え替えをやってしまおう。急いで近所のコーナンへと自転車を走らせた。

今回の作戦用に用意した物資は以下の通り

・9号鉢
・観葉植物の土


植え替え用樹脂スコップ(ポリカ製)

3号鉢から一気に9号鉢へジャンプアップ。これだけ広ければ当分根詰まりを起こすことはないだろう。観葉植物の土には「パキラ、ドラセナ、ポトス、ゴムノキ、アジアンタム等」と呪文のような言葉が書かれている。ゼオライト様が根腐れから守ってくださるので安心だ。

ポリカのスコップは少しでも根を傷めないようという配慮である。レキサンの半分は優しさでできているのだ。

9月に入ったとはいえ、まだ外は暑い。日が暮れて気温が少し下がり始めたころを見計らって、植え替え作業を開始した。

まず9号鉢の底に土流出防止のネットを置いて、その上に観賞植物用の土を8割くらいまで入れる。水を入れて洗浄した後、中央にコラノキが入るくぼみを作る。これで受け入れ側の準備は完了だ。

そして肝心のコラノキ側だ。スコップを鉢のヘリに沿って入れて隙間をつくり、底から出た根っこを注意しながら穴に押し込む。そして緊張しながら鉢をひっくり返すと、意外なほど簡単にスポッと土が外れた。

土の底をよく見ると、やはり根っこがネットを貫通している。予想はしていたが、実際見てみると驚くほどの成長力だ。すでに引っ張っても抜けないほど根が成長してしまっている。

これからの成長を考えると、ネットを貫通したままでは具合が悪い。黄昏の中、おぼつかない手つきでネットをハサミで切断する。間違って根っこを切ったら大変なので、ものすごく緊張する作業だ。

5分くらいかかって、なんとか根を傷めずネットの切除に成功。思わず安堵のため息が漏れた。

あとは軽く土をほぐして、9号鉢に植えつけて作業完了だ。

なんとういことでしょうー!ビフォーアフターの鉢の大きさの差は一目瞭然。いかに3号の小さかったことか。新しい9号鉢は現状やや大きすぎるようにもみえるが、いずれさらに大きな鉢が必要になるくらい育ってほしいものだ。

 ⇒コーラ育成期?(四季報2010年春号)へ続く