コーラ白書
TOP 四季報 データベース 缶コレ 資料館 殿堂 検索 ヘルプ


想定外の「高さ」

看板の写真を撮りながら、大島を抜けて伯方島へと向かう。しかし楽勝だと思われたサイクリングの予想を狂わせたのが、橋の「高さ」だった。

大型船が多く航行する瀬戸内では、橋はかなり高いところに架けられる。しまなみ海道では橋の高さは海面から40〜50m。その高低差を橋ごとに自転車で上らなくてはならない。これはギア数の少ないママチャリには結構厳しい。

40mといえば10階建のビルの高さ。その高さを立ち漕ぎ気味で上るのだから、大島伯方大橋のたもとに着く頃にはバテバテだ。でもしんどい思いをしたあとで橋から臨む瀬戸内の景色は心に染みた。

:::

2つの橋を抜けて伯方島へ。長い下り道を下りながらエネルギー保存則について考えるが、摩擦力がある以上不可能であるという当然の結論に達する。それ以前に走りながらだと写真撮れないし。

伯方島の街並みは、大島のそれよりさらにのどかな印象。人や自動車は少ないが、道はきちんと整備されていて自転車が気持ちよく走れる。

ここはビーチや造船所、「伯方の塩」を使った有名なラーメン屋など多くの見どころがある島として有名だ。しかしサイクリングコースが島の南西をかすめて次の島に向かうルートであるため、先を急ぐ身としてはほとんど何も見ることができなかった。残念。

上り坂途中にベンチ。そこには優しさがある。

またひたすら坂道を上って、アーチ型の大三島橋で鼻栗瀬戸を渡る。大三島に上陸する頃には膝がガクガクである。

伝説のコーラ・アイランドか?

大三島は「国宝とロマンの島」と謳われる、愛媛県最大の島。県の最北に位置し、今治からの北上ルートだと四国最後の島ということになる。

この島も道路がよく整備されていて、自転車での走行はかなり快適。ただ地味なアップダウンがあり、消耗した足腰にボディーブローのように効いてくる。

海沿いを走っていると、右手に多々羅大橋が姿を現す。白鳥が翼を広げた姿にも喩えられる美しい橋だが、それよりも気になるのが橋の高さ。またあそこまで登るんですか?

気持ちが折れそうなところに、「道の駅 多々羅しまなみ公園」の看板が。レストランやお土産屋さんのある複合施設である。足に疲労と乳酸が溜まりお腹も空いた私はフラフラとそちらに吸い寄せられていった。

道の駅多々羅しまなみ公園に入って、驚いた。パラソルやベンチなど、あらゆる所にコカ・コーラのロゴが入っているのだ。自販機もほとんどコカ・コーラだし、売店もコカ・コーラ製品一色。道の駅全体が赤く染まって見えるほどだ。

 

ここが伝説のコーラアイランドなのか・・・・

そして売店の中には、なんと190mlガラス瓶用の自販機が設置されていた。それもボトル全盛期の旧式モデルではなく、サンデン製のセパレートコラム式の新型機である。喉が渇いた時、冷えたガラス瓶から飲むコカ・コーラは実に魅力的だ。早速購入し、自販機側面の栓抜きで王冠を空ける。このギミックも実に良い。

多々羅大橋を望むロゴ入りベンチでコーラを飲みながら思った。四国コカ・コーラボトリングは古くから瀬戸内の島々で地道なプロモーションを重ね、この地でのプレゼンスを増してきた。しまなみ海道が開通した今もその姿勢は変わらず、そしてサイクリングで渇いた人々に冷えたコーラのボトルがどう映るのか、よく理解しているのだ。

ペプシやサントリーの派手さはないが、着実に人々に浸透するマーケティング。コカ・コーラの強さの一端を大三島で見たような気がした。

四季報の表紙に使えそうな写真。奥が多々羅大橋。

 

道の終わり

食事と休憩でかなり回復した後、満を持して多々羅大橋へと望む。坂道を立ちこぎで登り、途中でちょっと歩いたけれど何とか橋まで到着した。お約束の鳴き龍に柏手を打ち、橋からの瀬戸内の景色を堪能しながら広島県に突入する。

生口島に上陸すると、状況は一変した。四国側の島々にあれほどあったコカ・コーラの看板がぱったりとなくなったのだ。自動販売機の比率もサントリーとコカ・コーラは半々になり、(コーラ的な意味で)普通の町の光景となってしまった。

そしてついにペプシのロゴを発見。この廃屋に貼られた色褪せたステッカーからは、かなりの年数を感じる。ロゴから判断するに、1980年代に貼られたものだろう。今治から大三島まででは全く見かけなかっただけに、なんだか新鮮に感じられた。

生口島の廃屋。選挙ポスター用のべニア板がいい味を醸す

その後因島と向島でいくつかコカ・コーラの看板を発見したが、寡占的な状況は見られなかった。むしろ、愛媛の島々にいかにコカ・コーラのロゴが多いか改めて実感させられた。

 


 

ちなみに私はその後、因島で足をつるアクシデントに見舞われながらも18時前になんとか尾道に到着したのだった。

今度はもう少し余裕のある旅程と、もう少しギア段数の多い自転車で各島をじっくり周ってみたいなと思った。

尾道にて

*参考

SHIMAP しまなみ海道観光マップ しまなみ海道の公式サイト。地図やサイクリングコースの高低表など、かなり充実した内容。

三菱重工鉄構エンジニアリング│技術情報│多々羅大橋 鳴き龍現象 

多々羅大橋の鳴き龍現象をシミュレーションを用いて解析。本気度が素敵。