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5月― 我が家のコラノキは春の日差しの中で9枚の葉っぱを青々と茂らせていた。暖かい寝室が良かったのか、耐寒性がさほど低くなかったのか定かでないが、とりあえず初めての冬を乗り切ってくれて一安心である。しかし少し気になることがないでもなかった。 なんかバランス悪い・・・ 発芽から半年を経て高さ*50cmまで成長したが、そのわりに幹が細く頼りない感じなのだ。原産地では20mを超える巨木になる子なのだからもう少し太くしっかりしてもよいハズなのに、幹は今だにアスパラのような緑色。幹というより茎といった感じだ。
また去年最後に生えた葉っぱがやたら大きく、これがアンバランスさに拍車をかけている。ものすごくひ弱な印象だ。同じ頃に植えた庭の梅の木がメキメキと育っているのを見ながら、「よそはよそ。うちはうち」と自分に言い聞かせる。
6月。随分と暖かくなってきた。コラノキもようやく目を覚ましたようで、頂芽から新たな葉っぱが出てきた。はじめは黄緑の薄い葉っぱが、徐々に色濃い緑色に変わっていく様子はいつ見も飽きないものだ。
これでコラノキも本気になっただろうと思ったのだが、そのあとがどうも続かない。葉っぱはそれ以降増えないし、幹(茎?)も細いままだ。やはり室内で育てているのが問題なのだろうか? 試しにベランダに出してやると、少しの風でものすごく煽られる。幹が細すぎるせいか、折れるんじゃないかというくらいもみくちゃにされるのだ。これは駄目だとあわてて室内に戻す。 そしてさらにショッキングだったのが、葉っぱの変化。去年に生えた葉っぱの先端が茶色く枯れているではないか!去年の夏の葉焼けとは違い、徐々に枯れているような感じなのだ。
これは大変だと、師匠に(飲み会の席で)相談することにした。 携帯の写真を見るなり師匠はエビマヨを食べながら「あー、徒長っぽいですね。日照量足りてないんじゃないですか」とコメント。・・・確かに思い当たる節はある。 この冬のコラノキ越冬プロジェクトの際、少しでも暖かい2階寝室にコラノキを移動させていたのだ。寝室はリビングに比べて日照量が少ない。そして暖かくなってからもリビングに戻すのをすっかり忘れていたのだ。 翌日、さっそくコラノキを1階のリビングに移動。閉めっぱなしだったシャッターを開けて、できるだけ日光が入るようにする。リビングが外から丸見えだが、コラノキの成長のためにはプライバシーの喪失など安いものだ。
この梅雨明けを機にコラノキにも変化が見られるようになった。頂芽から新しい葉が次々と顔を出し始めたのだ。日照量と気温の上昇がトリガーになったのか、わずが2週間で4枚の葉っぱが新たに生えてきた。また幹の根元も心なしか太くなり、茶色い樹皮の面積が増えた(ような気がする)。 まさにコラノキ飛躍の時。植物を育てる中で一番楽しい時期かもしれない。
「絶対に水切れさせないように」と師匠にきつく言われていたので、毎日土の状態をチェック。乾いてきたところで十分な水を与える。なんだか園芸ができる人のような気分になってきた。 そんなことをしているうちに師匠から新たな指令が。 「再び成長してきたら、そろそろ栄養をあげてもいいかもですねえ」
早速チャリで近所のコーナンへと向かう。植物コーナーにはコーナンPBの液体肥料がやたら安価で並んでいたが、師匠の指示通り安心のハイポネックスブランドを選択する。 このハイポネックスという液体肥料、希釈せずに原液を与えると植物を枯らしてしまうという。きっと空腹の人間にステーキ300枚食わせるようなものなのだろう(違う?)。万が一希釈を間違うと大変なので、希釈済みの「ハイポネックスキュート」を購入。見た目は屋台のマヨネーズ容器だが、手を汚さずに肥料をやれるスグレモノだ。 帰ってきて早速コラノキに投入。さすがにキャスト2秒とはいかないが、これがさらなる成長をもたらしてくれるに違いない。
天気予報によると、今年の残暑はかなり厳しいらしい。涼しくなるまでにコラノキがどこまで成長してくれるのか、今から楽しみである。 ⇒ コラノキ育成記?(コーラ四季報2010秋号)につづく |