少子化や嗜好の多様化により低成長が続く日本のコーラ飲料業界。成熟した市場で利益を最大化するには、新製品を含めどのような製品を揃えどのように売るか、という「ポートフォリオ戦略」がより重要さを増してくる。今回は2025年4月時点での国内の上場主要清涼飲料の家庭向け通年販売・非限定商品のコーラ飲料の製品ポートフォリオを切り取り、各社の販売戦略を比較してみたい。 コカ・コーラジャパン国内コーラ市場トップシェアのコカ・コーラジャパンは、フラグシップのCoca-Colaを中心に手堅いポートフォリオを展開する。清涼飲料はCoca-ColaとCoca-Cola Zero, Cola-Cola Zero Caffeineと、特定保健用食品のCoca-Cola Plusの4種類のみ。これにアルコールRTD飲料のJack Daniel's and Coca-Cola Zero Sugarが加わる。 北米や東南アジアで人気の高いCherryやVanillaなどのフレーバー付加商品Coca-Cola Flavorsは国内では限定販売に止まり、通年販売はされていない。 プロダクトの構成は比較的シンプルであるが、日本コカ・コーラはパッケージサイズを顧客のニーズに合わせて細やかに調整している。コンビニや自販機で500mlPETを主軸に据える一方で、スーパーでは一人前を350mlと定義し、350mlや700mlPETを展開する。イベント会場や娯楽施設で販売される190ml瓶を含め家庭・一般向けCoca-Colaだけで15種類ものパッケージが存在する。
サントリーフーズ国内のペプシコーラのマスターフランチャイズ権を持つサントリーは、傘下のサントリーフーズがペプシコーラの製造販売とマーケティングを担当する。 国内のペプシコーラのポートフォリオの特筆すべきは、日本で独自に開発したオリジナルコーラ「ペプシ<生>」をフラグシップに据える点だ。これはペプシコーラをフラグシップとする北米や他の地域と戦略が大きく異なる。2021年発売の<生>シリーズは国内で人気の「クラフトコーラ」のスパイス感と量産性を両立させたブランドで、25年4月現在ペプシ<生> BIG COLA・ペプシ<生>BIG ZERO・ペプシ<生>BIG ZERO LEMONの3種類が通年販売されている。 一方で昔ながらのペプシコーラも販売を継続しているが、こちらは<生>に対して影が薄い。スーパーやコンビニなどCoca-Colaと直接競合する市場では<生>が主力で、ペプシコーラは自販機や特定のコンビニ、レストラン等のB2Bなどに限られる。併売される場合はサイズで棲み分けをしていて、自動販売機では<生>は340ml缶,、ペプシコーラは500ml缶を展開する。 先述のコカ・コーラとは対照的に1商品ごとのパッケージサイズのバリエーションは3〜4種類と少ない。スーパー・コンビニ向けの<生>シリーズには600mlPETを採用し、コカ・コーラに対して容量でも差別化を図る。また同じシリーズの中でも ペプシ<生>には480ml PET、 ペプシ<生>ゼロには1500ml lPETを設定するなど、各商品ごとにサイズがl緻密に計算されているのがサントリーらしい。 これらの主力のペプシ群に加え、小容量でカフェインを強化したショットタイプのペプシリフレッシュショットと特定保健用食品のPEPSI Specialの6種類のコーラを展開している。
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