キリンビール/キリンビバレッジ
前述のコーラ大手二社と異なり、現在キリングループはコーラ単独でのブランドを持たない。同社のコーラはすべて他の飲料ブランドの中の一商品という位置づけになっている。 2012年に発売された史上初のトクホコーラ「メッツコーラ」と2016年発売の自販機限定「メッツブラック」は、共にキリンの強炭酸飲料「メッツ」ブランドの下にある。またキリンビールの麒麟特製コーラサワーは、同社のストロング系チューハイブランド「麒麟特製」の一員として、主力のレモンサワーと並んで販売されている。 キリングループのコーラのラインナップはシンプルで、全方位作戦のコーラ大手とは対照的に勝てるニッチなマーケットにリソースを集中している印象を受ける。入れ替わりの激しいコーラ業界でキリン製品にロングセラーが多いのも、それぞれの市場でしっかり差別化がなされているからだろう。同社は2022年にキリンメッツコーラ10周年を記念する特設サイトを公開するなどブラッシュアップしながらもブランドを大事に育てる姿勢が伺える。
ダイドードリンコダイドードリンコは自販機を中心に「復刻堂コーラ」を販売する。復刻堂は「懐かしいけどどこか新しい、時代・世代を超えてみんなに愛されるおいしさのブランド」」をコンセプトとしたブランドで、他にフルーツオ・レとミスティオジンジャエールがラインナップされている。 興味深いのは同社のジンジャエールが刺激感がウリの「ミスティオ」とのダブルブランドであるのに対し、コーラは復刻堂単独ブランドである点。過去ダイドーは超炭酸・超刺激を謳うミスティオコーラを販売していたが、レトロ感を全面に押し出した本品が現在のコーラ飲料の立ち位置を物語る。 これは筆者の感想だが、ダイドーの復刻堂コーラは他の自販機コーラに比べて価格が強気に設定されていることが多いように感じる。シェアを追わず、自社でコントロール可能な市場で高収益率を目指す戦略なのかもしれない。
なお国内飲料大手のアサヒホールディングスとサッポロホールディングスは、2025年4月現在コーラの通年販売は行っていない。
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