コーラ白書
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苦戦するコーラRTD

2025年4月2日、日本コカ・コーラはコーラ風味のハイボールRTD飲料「Jack Daniel's & Coca-Cola」シリーズのリニューアルを発表した。これまでレギュラー(有糖)・ゼロシュガー(無糖)の2種類を揃えていたが、2023年に鳴り物入りで発売されたレギュラーが生産終了となり、また無糖もウィスキー量が引き下げられた。この参入3年目でのコカ・コーラのポートフォリオ縮小は、コーラRTDの現在の苦境を物語る。

過去コーラはチューハイの定番フレーバーであったが、2025年4月現在国内でRTDを通年販売している大手飲料メーカーは日本コカ・コーラとキリンビールの2社のみである。

2025年4月 国内の通年販売コーラRTD飲料

商品名 主要パッケージ アルコール度数  
麒麟特製コーラサワー 350ml / 500ml 缶 9%  
Jack Daniel's & Coca-Cola Zero Sugar 350ml 7%→ 5%  
Jack Daniel's & Coca-Cola 350ml (25年4月 生産終了)  

キリンビールの麒麟特選コーラサワーはチューハイ飲料、Jack Daniel's and Coca-Colaはウィスキーハイボールであるが、両製品には1) 中・高アルコール度数 2)カフェインフリーという共通点がある。

アルコール度数は麒麟特選コーラサワーが 9%, Coca-Cola and Jack Daniel'sが5% (2025年4月2月より7%から引き下げ)と、標準から高度数に設定されている。一方低アルコールRTD「ほろよい」を展開するサントリーは2022年7月にコーラを通年商品から外し、期間限定販売やコラボ企画に切り替えた。これはコーラRTDの主な消費層が中高年であり、若い世代中心の低アルコール市場では通年販売できるほどの需要が見込めないためと筆者は推測する。

市販のコーラを使ったカクテルや海外のRTDではカフェインが含まれるが、キリンと日本コカ・コーラのRTDにはカフェインが入っていない。これはカフェインとアルコールの同時摂取による健康リスクに配慮したものと考えられるが、カフェインが入っていない分飲食店で飲むアルコールコーラ飲料に比べてどうしても飲みごたえは劣る。

上記の理由からか、年率5%以上で成長すると言われるRTD市場にあってもコーラRTDは苦戦を強いられている。2025年春の新商品も果実系フレーバーや酒種にこだわったRTDが主力で、コーラRTD自体扱わない店舗も珍しくない。

 


 

嗜好の多様化や少子化などから、コーラの国内市場は縮小が続くと予想される。成熟から斜陽に向かう市場でコーラ製品の価値をいかに維持向上させるか、各社の戦略がその製品ポートフォリオから透けて見える。