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藍住美麗(寄稿)
「今日は私のメル友が来るから顔も知らないし案内してあげてね。『部長さんに会いたいのですが』って言うと思うから」 部長権限を少し利用してクラブのメンバー全員に呼びかけた。ふふ。1年以上かけて仲良くなった勇太君。初めて会う楽しみは不安を遥かに上回った。 ネットから始まる恋愛……カッコいい! 「じゃあ、各自仕事についてください。解らないことがあれば私か副部長に言うように」 その後、私は俄然忙しくなった。猫の手も借りたいとはこのことかもしれない。 時刻は1時40分。昼ご飯も食べずにほとんどぶっ通しで接客をしていた。それと、後輩からの質問に答えていっていた。 「あ……」 1年の後輩からの質問に答えた後、不意に身体の動きが止まった。 目の前が徐々に白くなっていく。急にライトを見た時に目が眩む、そんな感じだ。普段から目眩は多い。しかし、こんなに長い間続くのは久しぶりだ。 昨日2時間しか寝ていないのがいけないのか、それとも休憩をさぼっていたのがいけなかったのか……私は、部室へ一旦戻ろうとしたがとてもそれまでもちそうになかった。思わず、その場にあった椅子に座り込む。 「大丈夫ですか!?」 後輩がきいてくれているようだがどこか遠い。あ、ヤバイな……と思っていたら身体から力が抜けた。ちょっとぉ…私がいないとこのあとメール友達が来るのに……あぁ……あと20分で2時じゃない…… 力が抜けた後、目の前も思考も真っ白になった。 「……さん、佐奈さん……」 誰かの声がして私は目を覚ました。目に入ったのは見慣れた保健室の天井。 「今。何時?」 どれくらい倒れていたのだろう? クラブの方、放っておいたらまずいのに! 「あ、目、覚めました? 大丈夫ですか? あ、今2時3分です」 友達の声ではない。後輩の声でもない。……誰? そこには白い花柄のワンピースを着た同い年くらいの女の子が座っていた。制服ではないので外部の人らしい。こんな知り合い、いただろうか? 人目でお嬢様と解るような…… 「はじめまして。里見嶺香と言います」 「あ……加藤佐奈です。えっと……」 嶺香さんが笑う。品のある笑顔で笑うと同時に長い髪が揺れた。どこの御令嬢さんだう? 「多分、佐奈さんには勇太と言った方がわかりやすいと思いますけど」 私は一瞬、目が点になった。 「え?」 「炭酸飲料は飲めます? コーラを買ってきたんですけど冷えてて気つけにはいいと思いますよ」 差し出されたコーラを一気に飲み干す。 なるほど、彼女は私を騙していたのか。そう思ったが腹は立たなかった。ピリピリとーラが喉元を刺激する。 「怒ってます?」 心配そうに彼女が私の顔を覗き込む。私はクスっと笑って見せた。 「コーラに免じて許してあげるよ」 彼女も笑った。 ネットから始まる恋もいいけど友情も悪くはないんじゃない? いや、ネットからというよりはコーラからというべきかしら? ■作者のプロフィールハンドルネーム:藍住美麗誕生日:19??年7月14日(夏です) 血液型:B型(おおらか?) 職業:オンライン小説家(自称)・学生(本来) 趣味:小説執筆・手芸・HPづくり(他にもたくさんあるのですが・・・時間が無く て) e-mail: aiaiai@kitaoka-honten.co.jp ホームページ:「美麗の本棚」 応援メール、HPカキコ、よろしくおねがいします。 [四季報 1999年10月号] [コーラ白書] [HELP] - [English Top] Copyright (C) 1997-2000 Shinsuke Nakamoto, Ichiro Nakahashi. |