コーラ白書
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特集「夏だ! 500ml&16オンス缶大特集」

コーラの美味しい季節となりましたが、皆さんいかがお過ごしですか?コーラの夏の風物詩といえば、やっぱ500ml缶。ただでさえのどの渇くこの季節、同じ値段でいつもより多く飲めるなんてなかなかの配慮じゃないですか!「要するにコーラの中身はタダみたいなもん、てことやろ」などというヒネた意見はさておき、今回はこの500ml缶+16オンス缶(米国サイズ)をどどーんと特集だ!

爽快!・・なのか?

勢いよく書き出してみたものの、「夏は暑い→のどが渇く→500ml」という理論ははたして正しいのだろうか。実は私はこれについて以前から疑問を抱いている。のどが渇いて思わず500ml缶を選んでしまい、残り150mlくらいで妙に生ぬるくなって炭酸も抜けて「これやったら350mlでよかったのに」と敗北感を味わいながら残りを飲んだ経験のあるのは私だけではあるまい。

温度変化真夏に500mlをおいしく飲める限界はどれくらいなのだろうか?そこで我々は簡単な実験をしてみた。冷蔵庫で冷やしたコーラ500mlを32℃の環境に置いて、コーラの温度変化を追跡した。その結果を右図に示す。はじめ6.5℃であったコーラは時間と共に線形に上昇し、20分後には20℃を超えていることがわかる。ここまでくるとコーラはもはや冷たい飲み物ではなくなってしまう。

注意してほしいのはこの実験はコーラ量を一定にしている、という点である。実際は飲むためコーラの残量はどんどん減っていき、それに伴い温度上昇率も大きくなる。実質炎天下でコーラをおいしく飲めるのは冷蔵庫から取り出して10分以内くらいになるだろう。よほどノドが渇いていないと10分で500mlはきついかも。

意外と夏には250ml缶あたりがちょうどなのかもしれない。

500ml缶大国・日本

夏になると毎年発売される日本は、世界的に見ても500ml缶発売量でトップクラスの国である。特に日本コカ・コーラは夏缶やグラフィックが更新させるたびに新しい500ml缶をリリースするなど、このクラスに力を入れている。また戦前からのコカ・コーラ王国であるドイツでも比較的頻繁に500ml缶が発売されているようだ。

本場・アメリカには500ml缶代わりに16オンス(473ml)缶なるものが存在するが、これはそれほどメジャーではない。米国で16オンス缶はむしろ記念缶に用いられることが多いようだ。コーラ消費量世界最大のこの国で大きなサイズの缶が一般的でないのは意外なようだが、日本に比べPETボトルやレストランでの販売などの比重が高いことを考えると大きいサイズの缶の需要は少ないのかもしれない。

レイアウトの変遷

500ml缶(および16oz缶)のデザインは350ml缶のグラフィックを少し変更したものがほとんどだが、その方向性は時代やメーカーによって大きく異なる。

例えば90年代中期に作られたコカ・コーラの缶では「150ml増量」を積極的にアピールしたものが数多く見られる。写真左に示した94年製の500ml缶では上150ml分が白で色分けされており、増量を強調したデザインになっていることがわかるだろう。当時はアメリカでも同様の缶が作られていた(アメリカでは「+4oz」という表現である)。

これが98年ごろになるとこの露骨な表現は控えられ、代わってグラフィックを大きくした訴求力の高い缶が登場する。今年のNo Reason缶(写真右)では「+150ml」の表記はずいぶんと小さくなっている。これは消費者が量より質を重視しはじめたことと無縁ではないだろう。

これに対して日本のペプシは350mlと同じシンプルなデザインのものが多い。大規模なキャンペーンが行われる場合には500ml記念缶が発売されるが増量をアピールするものは少なく、演出好きのペプシにしては珍しくスマートなストラテジーをとっている。


500ml缶が消える?

ここんところ夏になると必ず発売されていた500mlだが、今年はちょっと情勢に変化があった。500ml缶に強力なライバルが出現し、自販機で見かける機会がめっきり少なくなっているのだ。

このライバルとは、この春にテスト投入された新型缶「ボトル缶」である。ボトル缶は容量が400mlと手ごろなうえ再栓が可能という大きなメリットがあり、500ml缶の最大の弱点であった携帯性の低さをカバーした「強敵」だ。ボトル缶の売れ行き次第では競合を防ぐため500ml缶廃止の可能性もあるだろう(現に大阪地区では500ml缶を見つけるのは困難になりつつある)。これからの展開に注目したい。

500ml缶ギャラリー

内外を問わずこれまでに様々な500ml缶がマーケットを賑わせてきた。ここではそのうち興味深いものをいくつか紹介したい。

1.Coca-Cola "the big can for lovers of Coke"缶

製造国 アメリカ合衆国
内容量 16 oz (474ml)

コカ・コーラの16オンス缶の中でおそらく最も知名度が高いのが缶だろう。本品は70年代に製造されたアメリカの初代16オンス缶で、上部には"the big can for the lovers of coke"という心憎いメッセージが添えられている。メタリックレッドのボディとシングルのコンツールカーブが当時を偲ばせる。また容量の表記にパイントという単位が使われていたり(1 PINT = 16 Oz)、缶にわざわざ「All-Aluminum Can」と書いてあるなどアンティーク的な魅力も高い。そのメッセージどおり、現在でも多くの"lovers of Coke"に愛されている缶である。


2.Coca-Cola / Diet Coke "1994 NCAA FINAL FOUR"缶

製造国 アメリカ合衆国
内容量 16 oz (474ml)

1994年にノースキャロライナ州シャーロットで開催されたバスケットボール大会"FINAL FOUR"の記念缶。NCAA(National Collegiate Athletic Association)主催なので、多分大学のチャンピオンシップだと思う(詳しくは知らない。すまん)。なんといってもデザインが秀逸。燃えるロゴ入りボールや紫をベースにした配色がカッコ良すぎである。またコカ・コーラとダイエットコークのセットになっている点も高得点。完成度の高い16Oz缶といえる。


3.Coca-Cola "To Celebrate the launch of Always"缶

製造国 オーストラリア
内容量 500ml

1993年に世界同時スタートした"ALWAYS Coca-Cola"キャンペーン。それを記念してオーストラリアで作られたのが本品である。キャンペーンのトレードマークであるALWAYS アイコン中心にしたレイアウトで、その下には"We're giving you MORE of the great taste of Coca-Cola"と入る。
増量分の記述も日本と違いパーセントで示してある(オーストラリアは普通の缶が375mlなので+33%で正解)。その下には「375ml缶の希望小売価格に基づいて」というかなり細かい注釈がついている。


4.Coca-Cola "You Can't Beat the Feeling"缶

製造国 ドイツ
内容量 500ml

90年代前半のドイツの500ml缶。ヨーロッパではリットルが主流なせいか、この缶の容量も500mlではなく0.5Literと書かれている。裏の"You Can't Beat the Feeling"(ローカルキャンペーンの標語か?)以外は普通の330ml缶のグラフィックがそのまま使用されていて、図体に比べロゴが小さく見える。


4.Coca-Cola 90年 夏缶

製造国 日本
内容量 500ml

ドイツのものとは対照的に、缶の大きさにあわせてロゴを目いっぱい大きくしたのが90年発売の本缶だ。単にでかいだけなのにやたらインパクトがある。当時のコカ・コーラの缶には表に「Coca-Cola」,裏に「Coke」のロゴが入っていた。



5.Coca-Cola 「たっぷりトクだぜ!! 500ml」缶

製造国 日本
内容量 500ml

91年(92年?)に発売された夏用500ml缶。デザインはなんとあの漫画家、鳥山明さん(読者・梅木さんからの情報)。どおりで見たことある画風だと思った。

このイラストに特に設定はないそうだが、なんだか想像力をかきたてられる。前の少年の前髪も妙だが、背後でモヒカン野郎の指が光っているのも気になる。ビームでもでるのか。逃げろ、少年!



6.Coca-Cola 「夏男」「夏女」缶

製造国 日本
内容量 500ml

コカ・コーラ95年の夏季キャンペーン「夏男夏女」の記念500ml缶。「夏祭り」をイメージしたデザインは清涼感があり、大胆な縦長のレイアウトも効果的。夏用の缶のなかでもトップクラスの完成度といえるだろう。「夏サイズ」の呼称もわかりやすくて良い。生産量が少なかったのか、見かける機会は少ない。


7.Coca-Cola サッカーワールドカップ記念缶

製造国 日本
内容量 500ml

98年サッカーワールドカップの記念缶。この年は日本が初めてW杯進出を果たした年であり、その熱気は缶からも伝わってくる。アイコンのタームには「すべてのファンへ」が追加され、その上には「感動サイズ」(?)という変な呼び名が書いてある。上部+150ml部分にはW杯予選3試合の対戦国と試合日、試合場所まで記載されており、コレクティブルとしても価値は高い。



8.PEPSI Resealable Can

製造国 アメリカ
内容量 500ml

80年代に試作として作られたPEPSIの缶。上部に再栓可能なプラスチック製の蓋がついていて、概念的にはボトル缶に近いものがある。結局実用化されることはなかった幻の缶である。
米国製にしては珍しく容量がリットルの単位で書かれている。ただこれではピンと来ないのか、裏には丁寧に"16.9オンス入り"という表記がある。アメリカの単位事情は複雑だ。



9.PEPSI / Diet PEPSI "The Slam Can"

製造国 アメリカ
内容量 16oz (474ml)

コークの「Big Can for the lovers of Coke」と並んで有名なPEPSIの16オンス缶。"The SLAM CAN" と呼ばれるこのシリーズは95年にリリースされたアート缶で、スプラッシュデザインにハンドライティング風のフォントが特徴。いかにも米PEPSIらしいラディカルなイメージで好感が持てる。ここで紹介したPEPSI, Diet PEPSIのほかにMountain Dew のものも発売されている。


10.PEPSI マイケル・ジャクソン来日記念特別缶

製造国 日本
内容量 500ml
マイケル・ジャクソンは92-93年にかけて世界ツアー「DANGEROUS WORLD TOUR」を敢行、ペプシはそのスポンサーとしてこのツアーを全面的にバックアップした。このときマイケル・ジャクソンの来日を記念して発売された缶が本品だ。裏面にはこのツアーのエンブレムマークと開催国名"JAPAN"の文字が入っている。このデザインの記念缶はツアー開催国のほとんどで発売されているが、このサイズのものはあまり見られない。


11. PEPSI ラズベリーコーラ

製造国 日本
内容量 500ml

95年に発売されたペプシのテストプロダクト「PEPSI Raspberry Cola」。フルーツで香り付けされた濃いめのコーラで、そのためか通常は280mlサイズで販売されていた。しかし後に何故か500ml缶(本品)がリリースされ、我々を震撼させた。ちなみに350mlサイズは発売されていない。
普通のペプシでさえ500はキビシいことを考えると本品を炎天下で飲みきるのは至難の業といえよう。


12.PEPSI STAR WARS / PLANET OF THE APES 記念缶

ペプシと提携した98年よりサントリーはこれまで500ml缶を2回リリースしているが、これはどちらも映画とタイアップしたキャンペーンがらみ。コカ・コーラが「500ml=夏」にこだわるのに対しペプシはあくまでキャンペーン記念缶の1つという位置付けをしている[裏面]

現在展開中の「猿の惑星」キャンペーンではATTAR, LEO, THADEの3種類がリリースされている。ただPEPSIの500缶を扱う店は意外と少ないので、場所によっては運を頼んで自販機でGETするしかない(こんなとき普通のペプシがでてきたりすると本気でムカつく)。


13. Virgin Cola

製造国 日本
内容量 500ml

昨年夏に発売されたVirgin Colaの500ml缶。グラフィックの背景に"more"の文字が20個ぐらい入った少々くどいデザインで、具体的な増量は示していないものの量の多さをしっかりアピールしている。売っている場所が少ないせいか目にする機会がほとんどなく、本気でVirginの行く末を心配したものだ。今年は作ってないらしい。


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夏の自販機の華ともいえる500ml缶だが、彼らは秋に入るとドラッグストア100円以下でダンピングされる運命にある。それは夏の終わりの蝉にも似た、ちょっと物悲しい風景である。真夏の太陽の下で一気に飲み干す、それが彼らとの正しい付き合い方だろう。

おいしく飲めるかはともかく、やはり夏には500ml缶がよく似合う。

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