コーラ白書
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第2特集「さよならJolt Cola」

中本 晋輔

個性派がまたひとり日本から姿を消した。上島珈琲(UCC)はライセンスを取得していたJOLT COLA(米WetPlanet社)の生産を終了した。賞味期限から見ても現在市場に残っているものが最後の国産ジョルトとなる。

UCCがジョルトを始めて日本で発売したのが1990年。この年ジョルトは「カフェイン2倍」をウリに、それまでコカ・コーラが綿々と築いてきた「コーラ=爽やか」のイメージを覆す強烈なキャンペーンを展開した。発売当初の「ジョルト党キャンペーン」には北野たけしを起用、そのCMは後々まで語り継がれた。[参考記事→コーラ四季報2001夏・今月の珍品]

発売当時のバージョンは米ジョルトと同じフォーミュラが採用されており、そのアルカロイド系の鋭いテイストは日本でも一部のファンに熱狂的に受け入れられた。缶には当時のアメリカのものと同じ赤と黒のグラデーションのグラフィックを使用し、Caffeine×2を全面に押し出した攻撃的なデザインを採用。裏の「ジョルトコーラには一般のコーラの約二倍のカフェインが入っています」の注意書きが誇らしげだった。

しかしそのシャープさゆえジョルトは一般にはなかなか浸透しなかったようで、コーラ市場では苦戦を強いられる。そこでUCCは95年にフォーミュラをよりマイルドなものに変更、UCCのオリジナルともいえるジョルトを作り上げた。カフェインは2倍のまま(UCC消費者センターによる)だがアルカロイド系の攻撃的なテイストは薄くなり、ずいぶんと飲みやすくなった。同時に缶のグラフィックもロゴを横向けにレイアウトされるなどUCC独自のものに変更された。カフェイン2倍に関する表記が消え、替わって「Quality by UCC」となったのが全てを物語っている。

リニューアルで起死回生を期したジョルトだったが市場の反応はいまいち。その後もUCCも熱が冷めたのか大きなキャンペーンをすることもなく、細々と売られる状況が続いた。大阪などではここ数年ジョルトを探し出すのが極端に難しくなっていて「そろそろ駄目か?」と思ってきたが、昨年の生産をもってついにのそ歴史に幕を下ろした。

これに対して本家アメリカのジョルトはここ数年で大躍進をとげる。99年のチェリーコーラ「JOLT CHERRY BOMB」の発売を皮切りに新作を立て続けに発表し、現在5種類を擁する一大ブランドへと成長した。歴史に「もし」は禁物だが、UCCがジョルト本来の路線を貫いていたら・・・などとつい考えてしまう。

UCCは今年からコーヒーコーラ「Cafe LA SHOWER」を投入、その斬新さで巻き返しを狙う。ぜひともジョルトの敵をとってもらいたいものだ。

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