|
![]() A Quantitative Study on Elevator-dependence Cola Price
|
販売場所 | 標高 / m | 種類 | パッケージ | 価格 / yen |
---|---|---|---|---|
須走口新五合目 | 2,000 |
コカ・コーラ |
300ml ボトル缶 |
200 |
須走口新五合目 | 2,000 |
コカ・コーラ |
500ml PET |
300 |
六合目長田山荘 | 2,400 |
コカ・コーラ |
500ml PET |
400 |
七合目大陽館 | 2,950 |
ペプシ |
500ml PET |
550 |
八合五勺御来光館 | 3,450 |
コカ・コーラ |
500ml PET |
400 |
須走口頂上 | 3,720 |
コカ・コーラ |
300ml ボトル缶 |
400 |
須走口頂上 | 3,720 |
コカ・コーラ |
500ml PET |
500 |
大阪府大阪市 | 0 |
コカ・コーラ |
300ml ボトル缶 |
120 |
大阪府大阪市 | 0 |
コカ・コーラ |
500ml PET |
150 |
大阪府大阪市 | 0 |
ペプシ |
500ml PET |
150 |
コカ・コーラ300ml・500mlとペプシ500mlそれぞれの販売価格の標高依存性をFig.1に示す。
Fig.2 各標高におけるコーラの販売価格
すべてのパッケージにおいて,価格は標高が上がるに従い上昇しており、富士山でも価格の逆フェーン現象が起きていることが分かる。また標高2950mでのペプシの価格はコカ・コーラの頂上価格より高くなっており、両者の価格上昇のメカニズムが異なる可能性が考えられる。
コカ・コーラとペプシを両方扱う山小屋はなかったが、これは相互禁制が働いているためと考えられる。
標高の上昇に伴うコーラ価格の上昇の原因として、下記のものが考えられる。
このうち1に関しては,登山中の水分補給にコーラを選ぶ人間は希であるため,供給量が少なくても影響は無視できるほどに小さいと考えられる。
ここで2が無視できるほど十分小さいと考えると、ある標高でのコーラの価格Pはその標高まで運ぶ仕事をWとを用いて次のように表される。
P = P0(1+KW) ・・・(1)
ここでP0は基底状態(標高0m)でのコーラの価格である。
通常,質量mの物体を標高0からhまで持ち上げるのに必要な仕事Wは
・・・(2)
である(gは重力加速度)。
しかし,山岳地域では酸素濃度の低下や疲労により運動能力が低下するため,物体を持ち上げるために必要な体感上の仕事が増加する。この増加分が標高hに比例すると仮定すれば,質量mの物体を標高0からhまで持ち上げるのに必要な体感上の仕事W'は次式で表される。
・・・(3)
ここでSを山岳地域におけるしんどさ係数(coefficient of Mountaineer' s Exhaust)と呼ぶことにする。
W'を式(1)に代入すると
・・・(4)
この式をコーラの質量mと基底状態のP0について規格化すると
・・・(5)
となる。
ここでKはコーラ係数(Cola Coefficient )でありコーラの容量に依存しない定数である。(ただしコーラの種類に依存する。これについては後述する)
Fig.2は富士山のコカ・コーラについて を標高に対してプロットしたものである。このプロットに対する式(4)のフィッティングを赤線で示す。曲線は実測をよく再現しており、理論式は価格上昇をうまく説明している。このフィッティングよりコカ・コーラのSおよびKは次のように求められる
Scoke = 6.344 x 10-7
Kcoke = 3.071 x 10-4
この係数を用いることにより、任意の高さのコカ・コーラの価格を予測することが可能である。例えばチョモランマ山頂(8838m)での500mlPETボトルの価格は1450円と予想される。
Fig.2 富士山におけるコカ・コーラの価格依存性
今回の調査ではペプシの値段については2点のデータしか得られなかったが、7合目の価格がコカ・コーラの山頂価格を超えるなど明らかに価格上昇に違いがあることが分かる。これはPEPSIがコカ・コーラよりコーラ係数を有するからであると考えられる。今回のデータでは正確なSpepsi を予想することは難しいが、傾きから判断するとチョモランマ山頂では3000円程度になる可能性がある。
ペプシのコーラ係数については今後の課題とする。
本研究では富士山をモデルに、各標高でのコーラ価格を測定した。またコカ・コーラについては価格の標高依存性についての定量的解析に成功した。
この手法を用いることにより新たに山頂に自販機を設置する場合や、昭和新山のような地殻変動で既存の自販機が山頂に移動してしまった場合などでも、簡便に価格を算出することが可能となった。
Copyright (C) 1997-2014 Shinsuke Nakamoto, Ichiro Nakahashi.
当ウェブサイトに記載されている会社名・商品名などは、各社の登録商標、もしくは商標です