コーラ津々浦々 サンフランシスコ・ヨセミテ編
中本晋輔

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2004/09/11 8:30-

予想以上に入国審査にてこずる。今日は1年でアメリカに入国するに最も適さない日に違いない。指紋をとられなかっただけでも良しとしよう。

サンフランシスコはからりとした秋晴れで、夏服では少し肌寒い。タクシードライバーから、The Embarcaderoで今夜イベントがあることを教えられる。「行くならジャケットを用意しろよ」とメキシコ訛りで付け加える。「フォーマルでなくてもいいが、冷えるからな」。

こちらのタクシーには客と運転手を隔てる分厚いポリカーボネートのパーティションがなく、マンハッタンのそれのような閉塞感はない。その代わりミラーの上に小さなカメラがあって、窓に“You Are On Camera”の黄色いステッカーが貼られている。防犯対策としてはこちらのほうがいくぶんかスマートだ。

2004/09/11 11:00-

うまい具合に部屋の準備ができていて、すぐにHoliday-Inn Fisherman's Warfの別館にチェックインする。曰く、この地区は高さの制限が厳しいので、ホテルは横に広がって別館が多いのだそうだ。半時間ほどベッドに倒れた後、少しでも体を慣らすため顔を洗って外に出る。 

もともとイタリア系移民の漁村だったこの地区も今はSF有数の観光スポットだ。特にPier 39はショップやレストランが立ち並び、桟橋自体がひとつのモールのよう。またレトロなトロリーが走るThe Embarcaderoの向かいには地名入りTシャツやアルカトラズグッズを扱う土産物屋が軒を連ねている。

Pier39の小さなホットドッグスタンドでディズニーの記念ボトルを見つけた。最近流行りのシュリンクフィルムを使ったやつで、インパクトはないが卒のないデザインにまとまっている。これが氷と一緒に店先に並べられている様は、どんな巧みな広告よりも心に訴えるものがある。

ステレオタイプな観光地の雰囲気に少し飽きて、通りの外れのセブンイレブンに避難する。アメリカンスタイルの中央カウンターを抜けて飲料棚を覗くと、いくつかの新顔に出会えた。まずPEPSIの対C2コーラのPEPSI EDGE.。シルバーとブルーのシャープなグラフィックだ。またエナジードリンクのコーナーにはRock Star Cola なる未知のコーラを発見。アメリカでは珍しい450ml缶で、$2.25とかなり強気な値段。こちらはどこでも買えるというわけではなさそうなので、早速押さえておく。

同じ通りのリカーショップ"Worf Liquors"には、入ってすぐの所にコカ・コーラやペプシの記念缶が壁一面にディスプレイされていた。店員曰く、酒屋ながらオーナーの趣味で集めているとのことだ。一部は$3.95で販売していたがとりたてて興味深いものはなく、適当な酒を買って写真を撮らせてもらう。

2004/09/11 13:00-

Sea Lion's Cafeで小一時間アシカの生態を観測したあと、Minu Metro F Lineで東へ向かう。この路線は世界中から古い路面電車を集めて運行しているそうで、この時は椅子と床が木製のノスタルジックな車両だった。Ferry Building駅で降りて、Pia2のAmtrakのオフィスで明日からのチケットを受け取る。Greyhoundsを使わないあたり、やはり私の何処かに鉄分が含まれているのだろう。

外に出ると、時計台のある白い建物の前でバザーが開かれていた。秋の日差しで真っ白に輝く壁と色とりどりの果物や花とのコントラストは、異国の港町にいることを思い起こさせてくれる。 

後から知るところによるとこのFerry Building Market Placeは様々な「食」をテーマにした、今ベイエリアで人気の高いモールらしい。開放的な吹き抜けホールの両側にレストランやオーガニック食材店・マッシュルーム専門店など様々な店が並ぶ洒落た空間だ。

中でも気に入ったのがVillage Market。ワインからホットソースまで瓶入りの食材が充実していて、見ているだけでも楽しい。清涼飲料水は主力商品ではないようで、店の一番奥に置かれた冷蔵庫には様々な瓶入りソーダが詰め込まれていた。アメリカでは珍しいボトル入りのCoke, PEPSIや、懐かしいAfri Colaに並んで、Diet Boylan ColaやCricket Colaといった個性的なコーラに出会う。

もう少し探索できるかと思ったが、思ったよりに時差ボケが酷い。年のせいかしらんと思いながら、Pier 42でサワーブレッドに入ったクラムチャウダーを買って帰る。未だにこのパンを全部食べるものなのか分からないが、旨くて残さず平らげる。

2004/09/11 19:00-

夜、冷えてきたので窓際の暖房機の動かすと、焦げ臭い煙が吹き出して慌ててスイッチを切る。スイッチの隣にはうちの会社のロゴマークが入っていた。

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