今月の一冊「THE PARTY」
なかはしいちろう

1986年5月,コカ・コーラ社は全世界のボトラーをアトランタに招待し,大々的な式典を開催した。彼らの至宝コカ・コーラの誕生100周年を祝ってのことだ。その時に米国の清涼飲料水業界誌「BEVERAGE WORLD」が増刊号として発行したのが,本書というわけだ。

ホチキス綴じの簡素な装丁とはいえ,ページ数はフルカラーで100ページを超える。当時の祝祭ムードが物量を通じて伝わってくる感じだ。

ページをめくってみると,記事は写真を中心としたグラフ形式になっており,眺めているだけで一応の雰囲気は掴むことができた。紙面のほぼ半分が各関連企業の協賛広告で占められている点は業界誌らしい。

一応,全体のストーリーとしてはこういうことらしい。1986年5月,世界各地から16,000人を超えるボトラー(各地域における製造・販売業者)関係者がアトランタに集結,同7日にオムニ・アリーナにて記念式典が挙行された。ゴイズエタ社長をはじめとするコカ・コーラ社幹部がボトラーに感謝の言葉を述べ,更なる邁進に向けて鼓舞激励。さまざまなステージ・アトラクションも盛り込んだ盛大な「パーティー」である。

具体的なところは不明だが,記念行事は数日間に及んだようだ。最終日にはアトランタ中心部を記念パレードが行進。日本では阪神と近鉄が日本シリーズを戦ってもこれほどのお祭り騒ぎにはならないだろう。まさにアトランタはコカ・コーラの聖地。そしてコカ・コーラはアメリカ人にとっての聖典なのだ。

次は2086年。世界は,そしてコカ・コーラはどのように変わっているだろうか。見てみたい気もするが,さすがにそれまでは生きていられそうにない。


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