Cola Collectibles 「PEPSI ロゴ木版」

中本 晋輔

今や写植やオフセットが大勢を占める商業印刷だが、その起源は16世紀の活版印刷まで遡る。世界3大発明の1つに挙げられるこの手法は文字や絵の凸版を組み合わせることによって、柔軟かつ大量の印刷を可能とした。

宣伝の投資が直接売上に繋がるコーラ業界には、19世紀末より新聞へ積極的に宣伝を掲載してきた歴史がある。なかでもあまり変らないロゴには、使いまわしの利く「木版」が利用されることが多かったようだ。

今回のCollectiblesはそんな時代のアイテムである。

PEPSIロゴ木版大きさは印刷面は1.5cm x 4cm、奥行きが2cmほど。硬い木の台に金属の版が貼り付けられている。

大きさは消しゴムくらいだが、分厚い銅版とインクの染み込んだ木台には長年使い込まれたもの特有の存在感がある。

ロゴも良い。PEPSIとColaの間にコロンの入ったこの「ダブルドット」は、第二次世界大戦以前に使われていたものだ。ペプシ創生期のイメージを残す優雅なロゴが、活版印刷全盛の時代を偲ばせる。

インクをつけてスタンプの要領で紙に押し当ててみる。少し掠れてはしまったが、古い新聞に見るような味のあるペプシのロゴマークが現われる。目の前で半世紀以上昔のロゴが紙の上に蘇ったことに小さな感動すら覚える。

このような印刷木版が初期のコーラ市場を支えていたのだろう。そう思うと、この小さなブロックに宿る貫禄にも頷けるような気がした。


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