特集 「2005 春コーラレビュー」

中本 晋輔

今年の春は凄い。花粉の話ではない。停滞が懸念される日本のコーラ市場において、5種類ものコーラが発売されたのだ。そのうち2種類は完全な新製品という、近年稀に見る豊作ぶり。またコカ・コーラもキャンペーンに記念缶を投入するなど、騒がしくも嬉しい春となった。

今回はこの春デビューを飾ったコーラをレビューしたい。

PEPSI Twist &Diet PEPSI Twist (サントリー)

日本ではペプシのフラッグシップブランドと言っても過言ではないPEPSI Twistが、3月18日にリニューアル発売された。

PEPSI Twistdiet PEPSI Twist

サントリーによると、今回は「レモンとコーラのバランスを調整することにより、さらに爽やかさをUPした」という。原材料や果汁の表記は以前のものと同じなので、果汁が加えられた昨年のリフォーミュレーションほど大きな変更ではなさそう。また旧製品の回収もなかったことから、リランチによる話題集めが目的との見方もできる。

発売前の3月12・13日には東京・大阪・名古屋で先行試飲イベントが開催された。会場ではロゴ入りジャケットに身を包んだキャンペーンガール(一部男性も)によるペプシ・ダイエットペプシの160ml試飲缶が配布され、一部の不運な参加者には突撃感想インタビューなども行なわれた。

試飲イベントの写真(05年3月12日・大阪心斎橋 JOYSOUND前) [→Topics!]

COCKTAIL PARTNER SPARK ドライラム&コーラ (アサヒ)

地味に進化を続けるカクテルパートナーの「コーラ&ラム」も、3月8日よりニューアル発売された。ただしその変化はTwistとは対照的で、かなりひっそりとしたものだ。

まず商品名が「Cocktail Partner Super Ram and Cola」から 「Cocktail Partner Spark Dry Ram and Cola」に変更。これまでの同ブランドから炭酸の入ったものを「Cocktail Partner Spark」として分けたのだろうが、ロゴが小さすぎて気づかれないのではと心配になる。

グラフィックの写真も差し替えられているが、構図は何故か同じ。色が赤からベージュ系に、集中線も消滅し、微妙に地味になっている。

カクテルパートナー ラム&コーラ カクテルパートナー スーパー ラム&コーラ カクテルパートナー ドライ ラム&コーラ
2004年前半 2004年後半 2005年春
歴代のカクテルパートナー「Rum & Cola」のグラフィック比較

毎回写真を取り直しているあたりにこだわりを感じるが、これでは気づかれなくても文句は言えまい。

KAKU COLA SHOT(サントリー)

KAKU COLA SHOTサントリーは同社のウィスキー「角瓶」とコーラをプレミックスした「KAKU COLA SHOT」を発売した。160mlで98円という絶妙な価格設定で、手軽にウィスキーのコーラ割りを楽しめるのはファンには嬉しいところだ。

同社では同時に角瓶のキャンペーンとして「KAKU Half Rock(註1)」を提案しており、角瓶にトニックウォーターやペプシツイストのお試し缶をオンパックにして販売している。

だとすれば、このKAKU Cola Shotこそ「角瓶+ペプシ(ツイスト)」というサントリーブランドの集大成なのだろうか? と思ってサントリーに確認してみると、そうではないらしい。

「ええと、色々とはいっているので、ご自分で作られるのとは違ったものになりますね・・・」(サントリーお客様相談室) 

察するにこの「kaku Cola Shot」は、角瓶に炭酸とコーラフレーバーを付けたものらしい。

ってかお客様相談室のCSって、商品の組成見れるんだ!色々って、何!?

乳酸飲料コーラ(日清ヨーク)

乳酸飲料コーラこの春最も話題を集めたコーラといえば、間違いなく本品であろう。発売元は「ピナクル」などの乳性飲料で知られる日清ヨーク。日清グループながらホームページがないのがちょっとショックだった。

本品は平たく言えばコーラフレーバーを付けた乳性飲料である。無炭酸のため、ピナクルと同じ350ml牛乳パックに入ってる。普通の缶コーラに慣れた目には、パステルブラウンのパッケージにカタカナの「コーラ」のロゴは凄いインパクトに映る。取り扱い注意の「よく振ってからお召し上がり下さい」にはカルチャーショックさえ覚える。

これまで乳酸飲料+コーラの試みとしては、カルピスの「CALPIS SODA COLA」や「やわらかCALPSI SODA COLA」などがあるが、無炭酸ものはおそらく日本初。紙パック入りも東欧で一部見られる程度で、非常に珍しい。

側面には「飲んでみて、おいしくてビックリ 思わずだれかに教えたくなる不思議なドリンクです」のキャッチが光る。「おいしくて」の部分に議論の余地はあるが、この春一番の話題性のあるコーラであることは間違いない。

ちなみに某大手コンビニの店員に聞いてみると「それなりに売れてたんですけど、本部から切られちゃったみたいで・・・」とのこと。頑張れ。

コカ・コーラ キャンペーン記念缶

コカ・コーラ 記念缶「つながる瞬間に。Coca-Cola」キャンペーンを展開する日本コカ・コーラも、今年は特別デザインボトルを投入している。最近恒例であるクリスマス缶さえ放棄しているだけに、同社がこの時期に記念缶を投入したのには正直驚いた。

現行のダイナミックリボンを外し、ロゴとコンツールボトルを中央に配したデザインは一世代前のグラフィックを彷彿とさせる。「つながる」からの連想かバックには世界地図が描かれ、各国のロゴがその国の言葉で書かれている。

しかし近年コカ・コーラはロゴの世界統一化を進めており、ここに載っているロゴのほとんどは既に絶滅している。(日本語のコカ・コーラのロゴも見なくなって久しい)デザインとしては20年前くらいのセンス(註2) で、「何故今頃このデザイン?」というのが正直なところだ。

近年稀に見る豊作となった05年春の国内コーラ市場。この勢いが続くことを祈りたい。


註1:サントリーが提案する新しい角瓶の飲み方。氷を入れたグラスにウィスキーと同量のコーラなどを加える、要するに割ってロックにしたもの。[詳細:サントリーホームページ]

註2:20年位前に、各国のロゴを使ったコップやノベルティがたくさん作られた時期があった。


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