コーラ白書
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中本晋輔

日本におけるコーラの販促キャンペーンの歴史は比較的長く、ガラス瓶が主役だった70年代から行われてきた。当時は王冠の裏側に「あたり」や絵柄を書き込んだ「ラッキーキャップ」方式で、子供たちは夢中で王冠を集めたという。この種のキャンペーンではコカ・コーラのスーパーカー100種類が有名だが、先にキャップの裏に目をつけたのはペプシであったとされる。

今回紹介するのは、ペプシの王冠キャンペーン第二弾・世界のコインコレクションの冊子である。

9x12cmのこの小さい冊子はこう始まる

「世界はひとつ・・・言葉や国境を越えて、世界中がどしどし交流する時代になっています。いろいろな国の金貨や銀貨をみる機会も、ますますふえてきます」

兌換通貨制を彷彿とさせる大胆な未来予想図。そしてページをめくると現れるのがアフガニスタンのコイン。

・・・当時の子供たちの途方に暮れる様子が目に浮かぶようだ。

この冊子には上記のような情報が、王冠のコインコレクションと同じ64カ国について列挙されている。下のコメントには国の情報だけでなく珍しい記念コインについても触れられていて、蘊蓄度は高い。先の空回り気味の前書きにも子供の知的好奇心を掻き立てようという姿勢が伺える

この冊子の最後ではラッキーキャップの本当の「当たり」であるキャッシュバックについて触れられている。あたり王冠には500円・100円・10円・ペプシもう一本の4種類があり、ペプシ販売店で交換してもらえるシステムだったようだ。

1ドルが308.00円とあるので、実施時期は昭和46年12月のスミソニアン協定直後だろう。当時の公務員の初任給が4万円なので、500円は今の2500円くらいの価値があったはず。これが店頭ですぐもらえるのだから子供たちにはさぞ魅力的だったことだろう。串間氏の「チビッコ三面記事」によるとあたり王冠をめぐって中学生による窃盗事件まで発生したそうだが、それも納得がいく。

ちなみに後発コカ・コーラの「当たり」王冠の最高額は10円。その50倍のキャッシュバックに加え冊子まで作成してしまうところに当時のペプシの意気込みを感じる。

 

 ペプシコーラ 世界コイン百科全集

 68ページ 昭和47年頃作成

 

 

 

 

 

 

 

参考

・ チビッコ三面記事 第15回「子どもが大好きな 王冠」の巻 結局このペプシの500円キャッシュバックは景表法違反で摘発されてしまったらしい。歴史は繰り返すのか。