コーラ白書
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中本 晋輔

 

植え替えの成果

慌しい植え替えから2週間。植木鉢は大きくなったもののコラノキは相変わらず細い幹の先に青々と6枚の葉を茂らせている。慣れない植え替えで根を傷つけてしまうのが心配だったが、今まで枯れていないということは大丈夫なのだろう。

もう秋に入ったとはいえ、まだまだ日中の気温は高い。毎日欠かさず水遣りを続けていると、ある日幹の先端に新しい芽ができているのを見つけた。以前の5号鉢でいったん止まっていた成長が、大きな鉢になって再開したようだ。頑張った甲斐があったというものだ。

この頂芽は5センチほど伸び、そこでほどけるように先端が3つに分かれた。しばらくするとそれぞれの先端に葉脈が現れ、小さいながらも葉っぱの形になってくるから不思議だ。

(左) ほどけてきた頂芽
(右) 葉っぱらしくなってきた

葉はまだ黄色がかった薄緑色で、透けるほどに薄い。まだ柔らかいので成長した葉っぱのような張りはなく、ぺろんと下に垂れている。

この新たな3枚の葉はやたら育ちが良く、これまでのどの葉よりも大きくなってしまった。そのうちの1枚は20cm近い長さに。幹は相変わらず細いままなので、バランスが悪くちょっとした風でふらふらしている。故郷では20m超の巨木になるらしいが、本当なのだろうか?

植え替えによる成長も、この3枚が元服した後はまたピタリと止まった。もう11月も半ばなので、今年はこれで終わりということなのだろう。

寒波来襲


いくら暖冬傾向とはいえ、11月下旬になると気温はぐっと下がる。コラノキにとって初めての冬がやってくるのだ。

コラノキは熱帯植物なので、寒さには弱い。詳しい資料がないのでどの程度の耐寒性があるのか分からないが、コーヒーの木と同じとすれば10℃度以下になるとヤバい。葉が縮れたり、最悪枯れてしまうこともあるのだ。

現在コラノキは日当たりの良い1階リビングの床においてある。真冬になれば寒さ対策が必要だろうなあぁと薄々感じながらも、コラノキが元気そうなのでとりあえず放置していた。

12月の中旬。それまで平年を上回っていた平均気温が急激に落ち込み始めた。この冬一番の寒波到来である。週間天気予報の温度の欄は真っ青で、最高気温が一桁の日が1週間ほど続くという。

現在コラノキは1Fのリビングの床に置かれている。室内なので天気予報の温度よりは高いはずだが、この部屋は夜になると結構冷え込む。とりあえずデータロガーで数日間の温度と湿度をモニターしてみることにした。

・ ・・あっさり10℃を割っているではないか。特に冷え込みの厳しかった18日以降は日中でも室温は10度程度。夜間には8℃にまで下がっており、これは熱帯の植物にとってかなり厳しい環境だ。そういえば葉っぱがちょっとしんなりしている気もする!

ここで急遽「コラノキ越冬プロジェクト」対策本部(本部長オレ)が発足。問題が起きてから対応するあたりがコーラ白書クオリティ。

 

プロジェクト始動

といってもどうやって植物を暖めてやるのが良いのか、よく分からない。理想は温室のような設備を導入することなのだろうが、それは空間的にも金額的にも厳しい。なんとか局所的な装置で対応したいところだが、ネットを探してもこれといったアイテムがない。爬虫類用のPCTヒーターとかでいいのかしら?

こんなときは牛乳・・・ではなく師匠に相談だ。

「和歌山に土地を買え」という師匠のアドバイスを軽くスルーして、実現可能な対策を教えてもらう。そもそも植物の耐寒温度とは根っこの周りの温度であり、鉢を冷やさないことが重要だという。かといってヒーターなどで加温するのは危険。植物は温度調整ができないので過剰に暖めてしまうと逆に枯れてしまうこともあるのだ。

つまるところ

・ 部屋を温かくする、又は暖かいところに置く
・ 鉢を大きくする
・ 鉢を断熱材などで覆う
・床から離す

といった、地味な対策を積み重ねるしかないようだ。

師匠曰く、最低限の保温をしつつ寒さに耐えさせることも植物にとって重要なのだという。甘やかしすぎると駄目になるのは人間と同じだ。

 



まずはコラノキの設置場所を変更する。これまで日当たりで選んでいた1Fのリビングは前述のように夜間かなり冷え込むので、夜に暖房を入れる2階の寝室へと移動。結局人間のいる場所が一番快適なのだ。

そしてエアコン暖房による空気の乾燥対策として加湿器を設置することにした。超音波式は雑菌が繁殖しやすいらしいので、ハイブリッド気化式のダイニチHD-RX508をコラノキの横に配備。育て主のインフルエンザ対策にもなり一石二鳥である。

さらにIKEAでステンレス製のキャスターつき植木鉢台(2980円)を購入。床から浮かすことで少しでも温度を上げようという魂胆だ。これはリビングに比べ日当たりの悪い寝室で、陽だまりにあわせて鉢を移動させるのにも役立つスグレモノだ。

こうしてコーラ白書流・コラノキの越冬対策が一応完成したのだ。

 

この程度で効果があるのかは疑問だったが、対策をしてから数日経つと葉っぱがちょっと元気になってきた様子。単に水が足りなかった気もするのだが、とりあえず12月の寒波は乗り切ることができた。

しかし本格的な冬の到来はこれから。果たしてこの泥縄装備で乗り切れるのか、不安は募るばかりである。

 ⇒コーラ育成期?(四季報2010年春号)へ続く