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井口 進
10年ほど前の話だが,コカ・コーラやペプシ以外の「どこのメーカーか判らないが,見た目から判断するとコーラ」というコーラが街中で見掛けられるようになった。バブルがはじけてすぐの頃か。当時,私は九州のとある大学生だった。ちょうど在籍していた研究室にK助手という,今では別の某大学で助教授をされている方がいたのだが,2人で「見た目がコーラ」を集めることにハマっていた。コカ・コーラやペプシコーラ,メジャーな飲料メーカーが製造するコーラではなく,いわゆるマイナーなコーラの無限の可能性に心躍らせたものであった。
そんなある日,K助手の愕然とした姿を研究室で発見した。インターネットの検索エンジンでこの「コーラ白書」のホームページを発見し,そのコレクションの多さに愕然としていたのであった。当時,すでに200種類を超えていたと思う。世の中には色々なコレクターアイテムがあるのと同様に,当然,その数以上に懲りに凝ったコレクターもいるものだと驚いた。コーラ白書では,すでに「見た目がコーラ」がデータベース化されており,写真はともかく,製造会社やバーコード番号,さらには実際に飲んだ感想までが記され,K助手とともに圧倒された。 当時,K助手はこのショックでしばらくは立ち直れないだろう,コレクションもやめるのではないか?と思われていたのだが,「見た目がコーラ」の収集は逆に加速し,私が気付いた時には,このコーラ白書に自分のコレクションの一部を提供するまでに至っていた。 その後,私は関東に就職したためK助手とは離ればなれになり,私も社会人になったこともあり,一時期「見た目がコーラ」探しに注力していなかった。ところがある日,街中を歩いていると,道ばたに色褪せて錆が発生し,少し傾いている古い自動販売機を見つけた。足を進めると,果たしてそこには奇妙なコーラが格納されていた。しかも安い60円。思わず小銭入れからの白銅貨を投入し,気付けばコーラ白書主宰者宛に宅急便にてそのコーラを送付していたのであった。 私の「見た目がコーラ」探しは,K助手のいなくなった後,個人的に集めるようになり,友人が海外(特にマイナーな国)に行く際には,お土産に「見た目がコーラ」なコーラを買ってくるようお願いしたりするようになった。値段は安いがホントに重いお土産で,友人らにはご迷惑をお掛けしている。 「見た目がコーラ」なコーラは世界中にある「見た目がコーラ」は,国内ですでに多く発見され,このホームページにも蓄積されている。特に地方の飲料水会社が独自ブランドとして開発したコーラの流通範囲はごく限られているため,地方に出向いた時には,このようなコーラをついつい探してしまう癖がついてしまった。
次に,海外に目を向けてみよう。まず,欧州で「見た目がコーラ」を目にする機会が非常に少ない。欧州ではコーラなど,炭酸飲料水がメジャーではないのだろうか,コカ・コーラかペプシコーラの独占状態にあるように思える。スイスやドイツ,イタリアでスーパーの幾つかを巡ったが,「見た目がコーラ」を入手することはできなかった。ディスカウントショップのような店そのものが少ないようにも思う。そんな中,オーストリアのウィーンで,ついに「見た目がコーラ」に出会った。ウィーン市内のスーパーで,雑然と積み上げられた飲料水の中にコーラ色が輝いていた。名前は「Teddy Cola」。明らかに子供向け飲料水であった。「見た目がコーラ」は,そのほか数種類あったが,ペットボトルの「Teddy Cola」のみ購入して帰国した。その後「Teddy Cola」は保管中に突如爆発し,内容物が噴出する事故が発生した…。幸い,ペットボトル自体は無事であったので,全体写真とラベルはデジタル化しておくことにした。
爆発事故の末助け出した「Teddy Cola」のラベル
一方,コーラ大国アメリカはどうだろうか。アメリカ西海岸,メキシコ国境近くのサンディエゴに行く機会があったので,報告したい。 ご存じのように,アメリカはスケールがでかい。ミネラルウォーターもスーパーマーケットで,ガロン単位で購入していく。当然,清涼飲料水も巨大なペットボトルが主で,缶ジュースは圧倒的に少ない。サンディエゴ近郊UCSDの近くにある,「Whole Food」というスーパーマーケットも例外ではなく,巨大なペットボトル群が陳列されていた。それぞれは,ほとんどが原色で,赤いコーラ類はすぐに発見できた。その中には「見た目がコーラ」も幾つか確認できる。ここはいち早く購入して,調査報告をしなくてはならないところであるが,これほど大きなペットボトルは持ち帰れない。宿に持って帰ることすら困難である。泣く泣く,写真に納めるにとどめた。写真も,バシャバシャ撮ってると何を言われるか分からないので,すばやく盗撮風に撮った。
結局,缶の「見た目がコーラ」3種類のみを購入し,ホテルに持ち帰った。ホテルの部屋では,白い背景で缶の写真を撮り,それぞれ1本ずつ味見をし,感想や所定?の記録をした。そもそも仕事でサンディエゴに来ているのに,私のメモ帳の一角には,下のような記録が残っていたりする。 メモ帳に残る「見た目がコーラ」3種 では,以降に海外の「見た目がコーラ」達の顔ぶれを紹介しよう。いずれも,店内の飲料水売り場に整然と並べられているのを撮影したものである。
アメリカンスタイルのコーラの山積み オランダのチェーンスーパー「ch」のオリジナルコーラ 「見た目がコーラ」なコーラは永遠なり結局,世界各国でいかほどの「見た目がコーラ」が生産されているかは知る術もないが,これほどまでに「見た目がコーラ」というものが,マイナーな製造会社で作られているということは,「コーラ」が既に「オレンジ」やら「サイダー」,「コーヒー」以上に飲料水の味付けの代表となっていることの証であろう。日本国内のみならず世界各地に「見た目がコーラ」は我々と出会う日を待っているのかも知れない。 世界を代表する「見た目がコーラ」は,人類永遠の飲み物であると信じている。 以上
井口氏 - コーラウォッチャー。国内外のPBやマイナーコーラ、通称「見た目がコーラ」に詳しい。
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