中本 晋輔

海からの風が心地よい。2月の寒さだとコンシェルジュはこぼすが、新年を迎えてもセーターが要らないのは寒がりの私にとっては有り難い。例年並なら、外のテーブルでも良かったくらいだ。

「Moon Shell」は宮古島東急リゾートのダイニングバーだ。離れになった建物の1階にあり、大きな窓からプールと海を臨む開放的な雰囲気。ホテルのバー特有の隠れ家的な雰囲気は全くない。ホタテの貝殻をつなぎ合わせた巨大なシャンデリアと島の石を積み上げた内装がいかにも南国的で嬉しくなる。

予約無しで夕食が取れるリゾート唯一のレストランとあって、人はそれなりに多い。メニューは「ゴーヤーチャンプル」から始まり、カクテルはその次の頁だ。今日のゴルフのスコアを語る人や家族連れなどで、どこかアットホームな雰囲気が漂う。

キューバリブレは載っていなかったが、頼んでみると問題なく通る。褐色のトールグラスの淵には輪切りのライムが、緑色のコサージュのように添えられている。貝を模った金色のマドラーは随分と使われてきたようで、やや色褪せていた。

ややラムの勝った、少し重めのキューバリブレ。気が向いて台所で作ったキューバリブレのような素朴な味は、このバーの雰囲気を良く映していた。

ふと、聞き覚えのある三糸のメロディが流れてくる。曲名を思いつくより早く、隣のテーブルの女の子が父親に嬉しそうに話し掛けた。「これ島唄や!」

 


今月のキューバ・リブレ

宮古島東急リゾート
「MOON SHELL」(ムーンシェル)

920円

Total 3280 (2名)


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