Cola Collectibles「'06ドイツW杯 ドリンクボール」

中本 晋輔

イタリアの優勝とジダンの頭突きで幕を閉じた2006年サッカーワールドカップドイツ大会。日本では前回ほどの熱狂振りはなかったが、ドイツは国を挙げてのお祭り騒ぎだったという。スポンサーであるコカ・コーラもドイツでは多数のキャンペーンでサッカーの祭典を応援した。

なかでも話題になったのが、同じW杯スポンサーのマクドナルドとのタイアップで販売された新型PETボトル、通称「Drink-Ball(ドリンクボール)」である。

このドリンクボールは名の通り球形状をした250mlのPETボトルで、サッカーボールをモチーフにしたものだ。大会期間中ドイツとオーストリア、ハンガリー、ポーランドのマクドナルドでのみ限定発売された。コカ・コーラとマクドナルドの両方のロゴが入ったいわゆるデュアルブランドものである。

特筆すべきは球形のボトルの首から底近くまでをシュリンクフィルムで覆っている点。この方式の採用によって写真を使ったクオリティの高いデザインが可能になった。今回の優勝候補と目された6カ国(ドイツ・イギリス・オランダ・ブラジル・アルゼンチン・ポルトガル)のバージョンがある。選手ではなくサポーターをデザインに起用している点がヒネリが利いていて面白い。

しかし本品を有名にしたのはその意欲的なデザインやコンセプトではなく、ドイツ国内でのある騒動であった。このボトルにはリサイクル可能であることを示す「Mehrwegflasche」の表記があるのに、それに必要なデポジット(預かり金)を設定していないと複数の団体から突き上げられたのだ。このニュースは日本でもyahoo! Japanで流れたので、ご存知の方も多いだろう。

環境意識の高いドイツではデポジットをすべてのペットボトルに設定しリサイクルを進めているが、本品については「ファンにとってはこのボトルはお宝だから捨てない」と売りっぱなしにしていた。これがドイツの法律に違反しているとドイツ連邦飲料小売協会と環境グループDeutsche Umwelthilfe が抗議、法的処置も辞さないとしている。

コカ・コーラとマクドナルドのデュアルロゴ
問題となったリサイクルに関する記載

いくら盛り上がっても、祭りは祭り。終わってしまえばファンの心は一気に冷めて、このPETボトルも大半がゴミ箱に叩き込まれる運命だろう。詰めの甘さから折角のイメージアップの機会に心象を下げてしまったコカ・コーラに合掌。

ちなみにブラジルでも今大会を記念してサッカーボール型のPETボトル入りコカ・コーラが発売されている。こちらはお国柄からか、特に問題は起こっていないようだ。

■参考


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