ミリエンダはコーラとバナナで「第1回 コーラ大国フィリピン」

なかはしいちろう

読者の皆様、こんにちは。人生色々なことが起こるもので、去る4月から青年海外協力隊の隊員としてフィリピンで暮らしています。といっても、村人と一緒に井戸を掘って汗を流したり、目のキラキラした子供たちに理科を教えたりしている、というわけではありません。ある政府機関の地方事務所でシステム開発の手伝いをするという、それだけ見れば日本と変わらないような仕事です。

そんなわけで、任期中の約2年間にわたり、コーラ白書の視点から見たフィリピンの姿を皆さんにお伝えしていきたいと考えています。フィリピンは実は日本のお隣さん(領海を接しています)。本連載を通じてこの国をより身近に感じていただくことも、狙いのひとつです。

フィリピン人はコーラ好き

私がフィリピンに赴任したのは3月末のこと。最初は文字通り右も左も分からない状態で、しかも「マニラは犯罪が多い!」と散々脅かされていたものですから、緊張のあまり毎日クタクタになっていたものでした。

Batan島で見つけたトラック
いい味のトラックを見つけた(Batan島)

そんな状況で、もしコーラが希少品だったりしたら、私はちょっと耐えられなかったかもしれません。でも大丈夫。フィリピン人はコーラ好き。安くて手軽な嗜好品として大変普及しています。

例えばその辺の食堂を覗いてみましょう。庶民的なメニューの典型は、豚肉や鳥肉の料理を1品、炊いたご飯におまけのスープといったところですが、半分近い人がソフトドリンクを注文しているようです。大抵はCoke、Sprite、そしてRoyalというオレンジジュース。8オンス(約240ml)のガラス瓶をひとり1本か、日本では昔懐かしい1リットルのガラス瓶を仲間で分けて飲みます。

誰かの家を訪問したら、やっぱり必ずと言っていいほどCokeが出てきます。これも1リットルのガラス瓶。茶菓子はクラッカーやビスケット、時にはバナナなど。昼時や夕食時であれば食事をご馳走になることも少なくありません(そうなるとコーラよりビールやジンですが)。

そして何といってもミリエンダ。10時と3時のおやつの習慣です。多くの人がこの習慣を忠実に守っています。時間になったら仕事はすっぱり中断し、お菓子やパン、フルーツなどを食べます。パンシットという焼きそばのようなもの、ハンバーガー、ピザ、スパゲティなど、ほとんど食事と変わらないメニューのこともありますが、フィリピン人に言わせると

「ライスがなければおやつ」

なのだそうです。もちろんここでもコーラは欠かせません。

ガラス瓶について考える

一応この国にも缶コーラはありますが、あまり一般的ではありません。何故かというと、高いから。よほどの田舎でない限りCokeの8オンス瓶1本は8〜10ペソ(約20円)で買えますが、350mlの缶だと20ペソ(約40円)と、全然お得ではない。

小用専用公衆便所
カフェインには利尿作用がある。こちらは公衆便所、但し男性小用専用。

この国では人件費は安く、工業製品は高くつきます(輸入原料が高価だからです)。重くて取扱いの不便なガラス瓶を再利用した方が、高価なアルミ缶を使い捨てるよりも安くつくのでしょう。そういえば、この国には自動ドアがほとんどありません。そのかわり、ドアのところにガードマンや店員が張り付いていて、開け閉めしてくれます。

1.5Lのペットボトルは35ペソと割安なので、比較的良く流通しています。しかし、500mlのペットボトルは1本25ペソ程度と、やはり割高です。ちなみにこれらのペットボトルは日本のものより肉厚が薄く、手に持つと簡単に変形します。原料費を節約するためでしょうか。

国道では、コーラのガラス瓶を満載した巨大なトラック(たぶん30t以上)が黒煙を吐いて走り去るのをよく見かけます。工場から流通基地への輸送なのでしょう。各地の基地からは小さなトラックで商店や食堂へ運ばれ、Tシャツ、短パン、サンダル履きの男達が汗みずくになって2ダース入りのケースを運んでいます。

日本ではちょっとノスタルジックなガラス瓶。フィリピンではまだまだ現役を謳歌しそうです。

次回は、フィリピンで入手可能なコーラの銘柄についてお話ししたいと思います。それではまた。


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