コーラ白書
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コーラ津々浦々「サンフランシスコ 72時間タイムアタック」(3/3)

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三日目。二度寝をかまして起きたら10時半。事実上の最終日だというのにいきなりビハインドでのスタートになる。

前日までのリサーチでおおよそのコーラの状況は理解できたし、Diet Coke PlusとDiet PEPSI MAXの捕獲に成功している。今日の目的は残りのコーラを探し出すのみだ。サーチ・アンド・デストロイ。

まず初めにダウンタウン周辺のスーパーマーケットをチェック。こちらのデパートの多くは地下のフードコートにスーパーを隣接させる事が多く、地上からの捜索では見逃すケースが多々ある。

中でも充実ぶりが際立ったのがケーブルカーのターミナル駅の向かいにあるウエストフィールド・サンフランシスコ・センター地下だった。ここのスーパー“Bristal Farms”はオーガニック系をメインで扱っているため、Safewayなどとは品揃えが異なる。清涼飲料もコカ・コーラやペプシの箱売りコーナーより天然素材を使ったメーカーの製品に多くの面積が割かれている。

こういう所の常連といえばBlue Sky。ナチュラルソーダをこだわったアリゾナの飲料メーカーだ。まだ高麗ニンジンが飲料業界で珍しかった時期にGinseng Colaをいち早く発売するなど目が離せない存在である。ここでは主力のBlue Sly Colaはないものの、Ginseng Colaのニューパッケージと新作 New Century Natural Colaを見つけることができた。

またその上の棚には西海岸地域でよく見かけるChina Colaの黄色いラベルを発見。以前は天府可楽のアメリカ法人が製造していたが、今はReed's Inc に移っているようだ。ちなみにReedは社長の名前で、ウェブサイトにはTシャツ姿のCEOを見る事ができる

Blue Skyのシックスパック(註)からひとつずつもぎ取って、China Colaと一緒にレジに持っていく。人の良さそうな、ちょっと化粧の濃いおばちゃんのレジを打つ手がBlue Sly のところで止まった。

「あら、これ6缶分の値段になってるわ」

どうやらBlue Skyのシックスパックのバーコードは6個まとめての価格に統一されているらしい。アメリカのスーパーにおける「1缶では売らない化」はシックスパックにまで及んでいるのか。

おばちゃんはコーラ1缶の値段を調べに事務所まで行ってしまい、帰ってくる頃には私の後ろに長蛇の列が出来てしまった。こんなに大事になると思ってなくて、なんともバツが悪かった。おばちゃん、ごめんよ。

◇ ◇ ◇

お昼の混む時間前にスーパーの隣のフードコートでメキシコ料理を食べることにする。この店は新鮮な野菜と肉を使った本格的なメキシコ料理が人気のチェーン店だそうなのだが、個人的にはアメリカンでジャンクな奴のほうが好みなので少し悲しい。どこかにTaco-Bellはないのかしら。

エンチュラーダとタコスを平らげると、午後からのコースを検討する。時間が余れば金門橋やバークレーまで足を伸ばしてみようかと思っていたが、残念ながらそんな余裕はない。まだ集めきれてないコーラがいくつも残っているのだ。

ここまでくれば確率が物をいうと考えた私は、最も人口と店の集中した場所に行くことに決めた。Stocton StからChina Townを突っ切り、North Beachへ向かうコース。初日のフィッシャーマンズワーフルートから1ブロック東よりを北上するルートである。

ホテルに戻って掃除中の部屋にさっきのコーラを置くと、ユニオンスクエアを横切ってStockton Stを北上する。こちらはPowellにくらべ幾分か登りがなだらかだ。

サンフランシスコのChina Townはまさに中国の街そのものだった。町並みや標識だけではない、人や言葉、活気、匂いまでもが中国なのである。休みの日とあってメイン通りは人で溢れ、真っ直ぐ歩く事が困難なほど。前日のJapan Townとの違いを目の当たりにし、この国とだけは喧嘩してはいけないと確信する。

Lombardの奇跡

人ごみを半時間ほど掻き分けつつChina Townを抜けさらに北に進むと、白いコロニアル風の建物がならぶ閑静な住宅街へと変わる。先ほどの喧騒が嘘のような落ち着いた街並みと、坂を登り切ると一気に眼下に広がるサンフランシスコ湾の眺望はまさにこの街を象徴するかのような美しい風景だ。しかし悲しいかな私の目は青く輝く海より先に、一軒の個人商店を捉えていた。

LOMBARD HEIGHTS MARKET。その名の通りLombard St.との交差する角にあるその店は、前日にテンダーロインでよく見た個人商店とは少し印象が違った。薄暗いが整頓された店内にはフルーツやデリが並び、健全な地元の食料品店といった趣。明るいクリーム色の庇にはGURMET WINE & SANDWICHESとややハイソ(?)な文句が並ぶ。

そして何よりも気になったのが、店頭のネクタリンの入れ物がCoca-Cola BlaKの空き箱であった点だった。この規模の店はばら売りが基本。BlaKのようなマイナーコーラの箱があるということは、他のマイナーコーラも扱っているかもしれないのだ。

LOMBARD HEIGHTS MARKET BlaKの空き箱

果たして、その読みは正しかった。

北側の壁一面に設置された大型の飲料棚には、膨大な数の355ml缶がきちんとカテゴリー別に並べられていた。そしてその中には私が探し続けてきたコーラたちの姿もあった。Coca-Cola Zero Cherry やdiet PEPSI wild cherry、PEPSI ONE等、初日にSafe wayで見たものはほとんど網羅されている。その上絶滅が危惧されるRCのマイナーコーラ、Cherry RCやDiet RCの姿もある。これらがPETボトルではなく缶で揃っているのは奇跡といっても過言ではない。

この素晴らしい店との出会いに感謝しつつ、6缶を購入。店員の感じもよくて、とても幸せな気持ちで店を出ることができた。

魔物棲まう棚

LOMBART通りは丘の東西の稜線上に伸びているので、ここからStockton Stは下り坂になる。リュックはかなりの重さに達していたが、目標のコーラを全て購入できた達成感から足取りは軽い。眼下のサンフランシスコ湾からの海風を感じながら、すこし観光でもしてやろうかと海に向かって降りていった。

と、その途中で見覚えのあるSafewayの看板が目に留まる。初日にあまりのコーラの種類に圧倒させられた、あの店だ。犯人は必ず現場に戻ってくるというが、何か自分の戦果を確認したい衝動に駆られ再びこのスーパーを訪れた。

2日前に絶望の壁と映った巨大な飲料棚には、今や既に購入済みのコーラが並んでいるだけだった。一部未購入のプライベートブランドコーラの姿もあったが、今回のミッションの目的には入っていないので今回はパス。この手のコーラならまたどこかで入手できるだろう。

達成感に浸りながら箱積みされたコーラを見ているうちに、思わず「あっ」と声が出てしまった。2日前にはなかった、Diet Coca-Cola Plusの12缶入りが新たに登場しているではないか。PlusはPETボトルで入手していたが、355ml缶はさっきの食料品店でも扱っていなかった。本来中身が飲めればそれでいいのだが、アルミ缶独特の光沢を生かしたミニマルなパッケージが私の心を捉えた。

Safewayの西から2番目の棚には魔物が棲んでいる。私はこの箱を前に、買うか買わざるかを悩み続けた。重さ、輸送、写真の撮りやすさ(註)、この商品の寿命などあらゆる事を考慮に入れて何度もシミュレーションを繰り返した。何度か黒人店員の怪訝な視線を感じながら、10分以上棚の前にいただろうか。

 

 

 

 

 

 

 

Diet Coke Plus

・・・買っちゃいました。

お値段税込み$6.30。到底丘を越えて持ち帰れる重さではないことを理解した私はこの旅ではじめてタクシーを捕まえてユニオンスクェアに帰還。歯を食いしばってホテルの部屋まで運んだ後、翌日の出発までひたすらこの新製品を飲み続ける破目となった。

本日のジュース
Coca-Cola(日本)

帰りの便のエコノミークラスが満席のため、ビジネスクラスにアップグレードしてくれた。広々とした席で飲むコカ・コーラはちょっとエクゼクティヴな味がした(プラセボ)。ありがとうANA!

ビジネスクラスのCoke