コーラ白書
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100年の邂逅

少し時間ができたので、パヤータイ通りのMBKセンターに行ってみた。MBKセンターはサイアム地区でも古くからあるショッピングモールで、中には雑貨屋や衣料品店、お土産が雑然と並ぶ。その1階にあるのがスーパーマーケット「Tops Market」だ。

TOPSは前述のBIG-Cよりやや高級路線のスーパーで、品揃えが豊富で店内も整然としている。特に飲料コーナーは小規模なが主要飲料メーカーはほぼフルラインナップで扱う充実ぶり。シュエップスやシンハーのカラフルなソーダが一堂に並ぶのは壮観だ。

コーラの種類も豊富で、コカ・コーラブランドだけでもCoca-Cola (通常缶+マーベリック缶)、Cola-Cola Light, Cola-Cola Zero Sugar, 新発売のZero Sugar Limeに加え、期間限定のCoca-Cola K-Wave まで揃える。ペプシも他の店舗で取り扱いのないLime Flavorがあるし、エス・コーラのガラスボトルもある。

またタイでは珍しいコーラフレーバーのアルコールRTD も販売されていた。平仮名で「ほし」という謎のブランド名だが、正真正銘のタイ国産のハイボールだ。アルコール度数は7%と高めで、現地の若者よりは日本の駐在さんとターゲットにした商品かもしれない。

何気なくコカ・コーラの6パックの棚を見ていると、ふと見たことのない黒い商品が目に留まった。Coca-Cola Zero Sugarだが、よく見るとオレオのイラストが入っている。はじめは記念缶の種類かとも思ったが、Coca-Cola Creationのゴロをが入っている。あ、限定フレーバーだ!

Coca-Cola Creationは同社の若者世代向け開発プラットフォームで、従来のコカ・コーラの枠を越えた様々な限定フレーバーやアニメ・ゲームとのコラボ企画を世に送り出している。しかしオレオのような食品ブランド、それも100年以上の歴史のあるグローバルブランドとのコラボは類がない。両ブランドに共通する黒と白をベースにした、両社のアイコンを取り入れた完成度の高いデザインにはコカ・コーラの意気込みを感じる。

初日に見たコカ・コーラとオレオのデジタルサイネージは、この新商品の伏線的なマーケティングだったのだろう。

全く予期しないコーラとの出会いは、旅の醍醐味である。

スラウォン通りの日は暮れて

シーロムで夕食を取り、そのあとでスラウォン通りで2件目を探した。

このあたりはバンコクのビジネスや観光の中心地の一つで、レストランやホテル、マッサージ店などが軒を連ねる。日本人街やナイトマーケットも近く、夜でも賑やかだ。

通りから少し奥に入った瀟洒なタイレストランに落ち着いた。

ドリンクだけと伝えると、小さなメニューを渡された。この店の薦めるカクテルと、そのレシピが並んでいる。バンコクの蒸し暑さに、ついコーラベースのカクテルを探すと、Long Island Iced Teaが目に留まった。

あっ、と小さい声が出た。レシピの最期にEst Colaを見つけたからだ。他はすべて材料名や酒種なのに、ここだけがColaでもなく、CokeでもPepsi でもなく、Est Colaが商品名で指名されているのだ。

Long Island Iced Tea は1970年代にペプシのお膝元、アメリカ・ニューヨーク州ロングアイランドで誕生したとされるカクテルだ。公式にペプシを使うという決まりはないが、ここにタイ地元のコーラを使うという発想は新鮮だ。

私はタイの文化に明るいわけではないが、このレシピにあえてEst Colaの名を示したことにタイの矜持を感じずにはいられなかった。思えばタイではコカ・コーラもペプシもグローバルロゴの導入に抵抗し、アジア圏では最後まで自国語ロゴを使い続けた。ロゴ以外全部タイ語にした新発売のCoca-Cola Zero Limeも、本社への意趣返と思うと痛快だ。

そんなことに想いを馳せなが頂く、スラウォンのLong Island Iced Teaは格別であった。

 


 

今回出会った新しいコーラは下記の4種類。ただそれ以上にタイのコーラ文化について多くの学びのある旅だった。

 

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