四季報
特集
コミケ
津々浦々
Collectibles
珍品
小説
お便り
バックナンバー
連載記事
小説募集中
コーラ津々浦々 / 万博公園・フリーマーケット編
中本 晋輔

万博公園 いらなくなった物を持ち寄って開かれる市、フリーマーケット。一昔前までは馴染みがうすく、誤ってFree Market:自由市場などと紹介されることが多かった(正解はFlea Market:蚤の市)このイベントも、ここ数年で「フリマ」の愛称と共にずいぶん定着した感がある。今回は大阪万博記念公園で催されるとあって、早速遊びに行って来た。今回同行してくれたのは コーラ四季報12月号の表紙 を飾った、非炭酸飲料ミーハー研究家&青い瓶コレクターの二宮久美子さん(仮)である。

北急の終点・千里中央からモノレールに揺られる事約5分、我々は万博公園に到着した。当日は秋晴れで絶好の行楽日和、そのためか駅は怒涛のごとき人々で溢れかえっていた。その人々の半分以上が我々と同じ目的地を目指してた事が判明するのはそれからすぐの事であった。橋を渡ってすぐのゲートで入場料150円を払い中に入ると目の前に巨大なモニュメントが威嚇するかのようにそびえている。隣で二宮(仮)が「岡本太郎の像や!」と叫んでいたが、それはちょっと違うぞ (註1)

はたして我々の向かう会場「おまつり広場」はその巨大モニュメントの裏側にあった。いつもは寂れた駐車場のような広場には柵が張りめぐらされ、中はブース(店)と買い物客でごった返していた。入り口には30mくらいの列ができていていらちな私はいきなり挫けそうになったが、流れはスムーズですぐにレジにたどり着いた。入場料350円を払い、中にはいる。と、すぐ横の売店で CONTINENTAL COLA が市価の5倍ぐらいの値段で売られているのが目に入り、少し心が痛んだ。

気をとり直して歩きだしてみる。 とにかく凄い店の数である。 資料によると今回参加のブースは約300、そのへんの百貨店よりずっと多い。店の種類もさまざまで、家の粗大ゴミをかき集めてきたようなとこから膨大な量の衣類を並べた本格的な店までまさに何でもあり状態である。ここには「定価」や「生産コスト」といった言葉の居場所はなく、純粋な需要と供給のバランスですべてのものの値段が決められている。欲しいものが少し高いと思えばフリマの醍醐味、値段交渉を楽しむこともできる。中にはとんでもない掘り出し物もあるわけで、そういう我々も品物との一期一会の出会いを求めて来たわけだ。

しばらく流していると、ある雑貨系ブースのガラクタ箱の中にコカ・コーラのロゴを見つけた。良く見てみるとそれはずしりと重い真鍮製のキーホルダーで、裏にコカ・コーラ生誕100周年のマークの彫られているノベルティグッズらしい。値段を聞くと50円とのことで、すぐに購入。幸先のよいスタートとなった。

ピンズ それから中古のダッフルコートを見たりBoseのスピーカー6000円に惹かれたり売れ残りの自動林檎皮むき機を冷やかしたりしながら回っていると、飲料ブランドグッズ専門のブースにたどり着いた。コークやペプシ、バドワイザーなどのアルミ看板やバックル、グッズなどが所狭しと並べられている。ただそれらのほとんどが一般に市販されているものでノベルティはなく、がっかりしかけたとき隅のほうに置かれたちびTが目に止まった。正確にはその上に付けられていたバッジである。ボトルの蓋にピンを付けた自家製のアクセサリであるそれは、TaB や Moxie, Lotta など今では入手の困難なコーラの王冠でつくられていたのだ。そのうえ裏にコルクが張られていて、これは1960年代以前に製造された本物の王冠であることを示す証拠である。これは是非ほしい。値段を聞いてみると一個800円、さすがにいい値段である。店のおばちゃんとしばらく交渉した末、3個2000円でOKがでた。

さらにその横の雑貨ブースでずっと探していた コカ・コーラ1リットルのガラスボトル を発見。値段は1500円と激しくインフレしていたが、欲しいものはしょうがない。値切りに値切って1000円で購入。隣でやや退屈そうな二ノ宮(仮)を尻目に私は貴重なコーラグッズを入手することができて大満足であった。

その他今回の収穫は次のようなものであった。

コカ・コーラグラス
一昔前まで喫茶店でよく見かけた逆ラッパ型のグラス(正式名称は不明)。シンプルなロゴがかっこいい。100円で購入。
コカ・コーラ絵皿
一体いつのものかわからないコカ・コーラのキャンペーン景品。陶器製で、おそらく観賞用。下のほうにコカ・コーラのロゴが入っている。150円で購入。
COCA-COLA スーパーレコード
「NOT FOR SALE」の文字が躍る、コカ・コーラのロゴ入りレコード。内容は The Doobie Brothers の "CAN'T LET IT GET AWAY" という曲。ちなみに私は知らない。一体いつ頃製造されたものか全く分からない。これについては引き続き調査したい。100円。

おばちゃん 気がつけば午後5時、フリマ終了の時間になっていた。いつのまにか二ノ宮(仮)もお目当てのアイロン(200円)とポット(300円)をゲットしたようで大変ご満悦な様子。よかったよかった。

思いもよらないものが思いもよらない値段で手に入るフリーマーケット。この規模のものであれば丸一日十分楽しめてしまう。最近は結構頻繁に開催されているので、貴方もモノとの運命の出会いを求めて一度足を運んでみてはいかがだろうか? ただし、帰りの切符は先に買っておいたほうがいいぞ。


註1:「太陽の塔」が正解で、岡本太郎は製作者である。「誤差範囲やろ、似てるし。」とは中橋の弁。
[四季報 1999年1月号] [コーラ白書] [HELP] - [English Top]
Copyright (C) 1997-2000 Shinsuke Nakamoto, Ichiro Nakahashi.