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今月の珍品 / コカコーラ浮世絵ピンバッジ
中本 晋輔

浮世絵 パリの街を歩いていたとき、セーヌ川の辺にコカ・コーラのグッズを並べた店を見つけた。アメリカで生まれた飲料が世界の流行の最先端であるこの街でファッションとして受け入れられていることが妙に嬉しかったのを憶えている。コカ・コーラの名は一飲料の域をはるかに越え、いまやブランドとして確たる地位を築くまでになった。コカ・コーラのロゴの入ったグッズが売れるのも、コカ・コーラのもつ「イメージ」を受け入れているからに他ならない。そんななか、敢えてそのイメージに挑戦するようなグッズを日本で発見したので紹介しよう。

正式名称「Coca-Cola LAPEL PINS」というこのアイテム、モノはよくあるコカ・コーラブランドのピンバッジである。しかし注目すべきはそのデザイン、なんと「浮世絵」!。古今東西様々なコークグッズが世に送り出されたが、この組み合わせのものは皆無だろう。デザインのベースはおそらく「謎の浮世絵師」東州斎写楽の大首絵「美人画」と「役者絵」(役者絵のモデルは市川高麗蔵の「志賀大七」か?)。それにうまくコカ・コーラのホブル瓶を組み合わせている。原色を使った浮世絵らしい配色を金色で縁取りする事によりきらびやかで見栄えのするバッジに仕上げてある。不自然さもここまでやるとかっこいい、という大変良い見本である。

さらにこのシリーズには浮世絵の 相撲絵 や旭日をバックに「日本」と描かれた 謎の愛国デザインもの (修学旅行の土産みたい・・・。)等があり、なかなか笑かしてくれる。特に相撲バージョンは土俵の真ん中で力士が仁王立でコカ・コーラをラッパ飲みしているという恐ろしい絵である。式守伊之助に張り倒されても知らないよ。

コカ・コーラの新たな世界を切り開いた(笑)このアイテム、実は日本国内のみで販売許可が出た限定ものなのだ。コカ・コーラが嫌がったのか、それとも日本に対する誤解を助長しないための良心的配慮なのか。どちらにしろ大変興味深く、そしておもろいグッズであることには違いない。海外へのお土産はこれで決まりだっ!

発売元は(株)ユタカ。大阪本町・シモジマで305円(税抜き)で購入。


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