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![]() 中本 晋輔
Classic Cooking with Coca-Cola Graham - Roberts 著 Celebrity Books ISBN 1-58029-021-3 「料理の基本はさしすせそ」と謳い素材の味を大事にする日本料理の中には、近くの自販機で120円で買ってきた得体の知れない黒い液体を素材と一緒に鍋にぶちまけるといった概念は存在しない。しかしアメリカにはそれがあるのである。今回紹介するのはCoca-Colaを使った料理本「Classic Cooking with Coca-Cola」である。 アメリカにおけるコーラ料理の歴史は意外と古い。1932年には米Coca-Cola社がコーラ料理のレシピを書いた冊子を無料で配布したという記述が残っている。しかしながらこの手の料理が広く浸透したかというとそんな訳はなく、たまに本や料理番組で取り上げられる程度の「Nice Try!」系なものであったようだ。 この本の凄いのは、そんな決して実用的とは言いがたいCoca-Colaを使った料理のレシピを300以上も集めてしまったところだ。彼らはCoca-Cola本社やAtlantaをはじめ各地の図書館、そしてインターネットを駆使して情報を集め、全て実際に作ってみたと言うのだから恐れ入る。一体彼らをここまで駆り立てたものは何だったのだ? 本編はMEATS, EGGS, SEAFOOD, MAIN DISHES, VEGETABLES, SOUP, SALADA, BREAD, FRUITS, DESSERTS, CANDIES, BEGERAGES, MICROWAVE(電子レンジ料理), MISCELLANEOUSの14種類に分かれており、それぞれに正確なレシピが記述されている。難易度も3種類の材料から作る簡単"Babecued Chiken" から14種類の素材を使った本格的な"Lobster Noodle Casserole"まで様々。実用度はともかくかなり完成度の高い料理本である。 この本の著者の一人は女性で、名を"Elizabeth Candler Graham"という。この名前を聞いて「もしや」と思った貴方はかなり鋭い。このエリザベスさん、実はCoca-Cola発展の父・Asa Candlerのひひ孫にあたる人なのだ。そう思うとこの本に満ちるもの凄い情熱もなんとなく理解できるような気がする。 Coca-Colaへの情熱が作り上げたアメリカならではの凄い本である。実際作るかどうかは別として、コーク・ファンなら必読の一冊だ。そういえばPEPSIがこれに対抗して料理本を製作中らしいが、果たして2匹目の泥鰌はいるのだろうか? [四季報 2000年7月号] [コーラ白書] [HELP] - [English Top] Copyright (C) 1997-2000 Shinsuke Nakamoto, Ichiro Nakahashi. |