コーラ白書
TOP四季報データベース缶コレ資料館殿堂検索ヘルプ
English

第二特集「PEPSI冬季限定缶十撰」

中本 晋輔

1931年にHaddon Sundblomが描いて以来、サンタはコカ・コーラのものであった。80年代後半になると、コカ・コーラは彼の作品を使った記念缶を毎年発売するようになると「コカ・コーラ=クリスマス」のイメージを不動のものとした。日本でも昨年こそハリーポッターに譲ったが1991年(註1)から毎年クリスマスエディションを発売している。

PEPSIも一時期サンタを起用した時期があったが大きな効果を上げることはできなかった。そこで彼らはこの時期「冬」をモチーフにした記念缶を発売してライバルに対抗してきた。Sundblomの作品にこだわったコカ・コーラと対照的に、クリスマスに捉われないPEPSIは型破りでハイレベルなウィンター缶を数多く輩出した。

今回はPEPSIとDiet PEPSIの冬季限定缶のうち、コーラ白書が選んだ「名作」10種類を紹介する。

1. Winter Wonderland


PEPSI
アメリカ
不明(1990年代前半)

1934年に作られたクリスマスの定番曲「Winter Wonderland」をモチーフにしたPEPSI缶。ディープブルーの缶一面にWinter Wonderlandの譜面を配し、その上にPEPSIグローブと雪を描いたロマンティックな一品だ。

そのしっとりした上品さはポップで動的なデザインの多いPEPSIの記念缶の中では異色の存在といえる。この曲を作者である BernardとDick Smithの名前が肩の部分にあしらわれているのも見逃せないポイント。PEPSIはとんがったイメージだけではないという良い例である。

 

2. 山小屋

上記の「Winter Wonderland缶」と同時期に発売された米PEPSIの冬缶。こちらはPEPSI本来のややポップなデザインで、同じ頃にリリースされたメCool Cansモと似た路線になっている。グローブを山小屋に見立てたおもしろい構図で、屋根のデコレーションやレンガの屋根はクリスマスイヴの夜を連想させる。

90年代前半は米PEPSIが缶全体をキャンバスに見立てたようなハイレベルなアート缶を数多く輩出した時期であった。


PEPSI
アメリカ
不明(1990年代前半)

 

3. メガネのサンタクロース


Diet PEPSI
アメリカ
不明

 

ペプシには珍しいサンタをイメージしたDiet PEPSIの冬季限定缶。同じサンタを使うのでもコカ・コーラのような王道的なものではなく、Diet PEPSIグローブの丸眼鏡をかけたサンタのどアップという構図を採用。この型破りなデザインがいかにもPEPSIらしくて気持ちいい。あまりにアップ過ぎるせいか顔のバランスが破綻していて、サンタの目の場所が中心からかなりずれているのが気になるところだ(眼鏡をとったらどんな顔になるんだ?)。

このほかにもPEPSIは短パンにアロハシャツという謎のサンタを描いたものなど、コカ・コーラが絶対真似できないサンタ缶を世に送り出している。

4. スノーマン

グラサンをかけたファンキーなスノーマン(雪だるま)を描いた作品。DIET と Caffeine Free DIETの2種類があり、間違い探しのように絵の細部が微妙に違う。特にDIETのほうはサーフボードにパーム柄のマフラーと何だかよくわからない設定だ。DIETとCFでシルクハットのバッジの位置が入れ替わっているのにも注目したい。遊び心あふれるPEPSIらしい作品である。


DIET PEPSI & Caffeine Free DIET PEPSI
不明
アメリカ

5. ペンギン


Caffeine Free DIET PEPSI
1994年
アメリカ

PEPSIは1992年に20年ぶりにロゴデザインを刷新した。これにより「PEPSI」のロゴとグローブが分離し、よりスピード感のあるデザインになった[写真]。本品はそのニューロゴをグラフィックに取り入れた記念缶。写真ではやや見えにくいが、斜めになったロゴに沿ってスキーをするペンギンが描かれている。ペンギンのクリスマス帽と蝶ネクタイがカワイイ。目がつながっているので天才○カボンの警官のようにも見えるが。

 

6. ゲレンデ

カナダで94年に発売された冬季限定版。DIET PEPSIロゴの斜線をゲレンデに見立てたユニークなデザインで、シュプールを描くスキーヤーが秀逸。またロゴやグローブに雪が積もっているなどなかなか芸が細かい。既存のデザインをうまくアレンジした作品である。

DIET PEPSI
1994年
カナダ

7. 雪合戦するスノーマン(日本)

PEPSI
1995年
日本

日本ペプシコインクがはじめて発売したPEPSIのウィンター缶。当時のロゴの間に雪合戦する雪だるまの姿が軽いタッチで描かれている。アルミの色をそのまま利用することで冬らしい雰囲気を演出している。同じスノーマンを描いたものでもアメリカのもの(上記No.4)がポップ路線なのに対し、こちらはどこかしっとりした上品さがある。

8. スノボ・ペプシマン1


PEPSI
1996年
日本

数ある日本のペプシ記念缶の中でも個人的に一番気に入っているのが1996年に発売された本品だ。この年ペプシマンのCM第4弾でスノボに乗るペプシマンが登場、これが大人気だったことから冬缶に再登場したものと思われる。

本品の特徴はなんと言ってもその構図。缶の半分以上を使ってペプシマンのジャンプ-180。スピンから「キメ」のポーズまでの一連の動きがコマ送りのように描かれているのだ。これまで日本の記念缶は上記のような静的なイメージが強かったが、本品はアメリカ90年代のものにも決して引けを取らないほどダイナミック。日本でこのような缶が発売されたのは正直驚きであった。

9. スノボ・ペプシマン2

PEPSI
1997年
日本

96年の缶が私の一番のお気に入りとすれば、一番度肝を抜かれた記念缶がこれである。テーマは前年と同じだが、これまでのクール路線を一転、明らかなギャグテイスト作品になっている。あのかっこよかったPEPSI-MANは2頭身になり、その上笑ってる(怖っ!)。また裏面には頭から雪に突っ込む姿が描かれるなど、以前とのあまりのギャップには目眩さえおぼえる。

実はこれが作られた1997年12月、サントリーと米ペプシが提携し、発売元「ペプシコ・インク・ジャパン」は解散する直前であった。サントリーはペプシコインクジャパンからPEPSIのブランドのみを引き継ぐ意向で、PEPSI-MANが消滅する可能性があったらしい(註2)。最後にひと花との思いで作られたとすれば、本品を見る目も変わってくる。

10. SNOOPY クリスマスボトル缶

PEPSI 2種類
Diet PEPSI 2種類
2001年
日本

昨年末発売されたサントリー初のPEPSIウィンター缶。PEPSIとDiet PEPSIがそれぞれ2種類ずつの豪華なラインナップで、スヌーピーやチャーリーブラウンなど漫画「PEANUT」のキャラクターたちが織り成すクリスマスの情景が描かれている。アメリカでも話題になったようで、海外のオークションなどでも頻繁に取引されていた。
PEPSIの2缶にはロゴの下に MERRY CHRISTMAS FROM "SNOOPY" というクリスマスメッセージが入っている。PEPSIが冬缶に「CHRISTMAS」という言葉を用いるのは日本では初めてで、世界的に見ても稀。これからもハイレベルなウィンター缶を期待したい。


註1 日本ではじめてクリスマス缶が登場したのは1990年。当時はマクドナルドの景品として供与された非売品だった。

註2 結局サントリーはPEPSI-MANを引き継いだが、その年のPEPSIの缶デザイン統一を受けてボディを青色に変更した。

Copyright (C) 1997-2014 Shinsuke Nakamoto, Ichiro Nakahashi.
当ウェブサイトに記載されている会社名・商品名などは、各社の登録商標、もしくは商標です