コーラ白書
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第二特集 「キャラクターコーラ十撰」

中本 晋輔

商品を若年層に訴求する有効な方法の一つにキャラクターの利用が挙げられる。商品と直接関係のない(註1)キャラが入った菓子やカレーはライセンス料を十分回収できるほどの人気商品であり、メーカーは子供用食品にこぞって人気アニメのキャラを登用する。

日本では子供向きとされないためかキャラクタもののコーラを目にすることは少ないが、コーラが広く受け入れられているアメリカやオーストラリアなどではこの手のものがいくつか確認されている。このようなコーラは現地の子供の流行をダイレクトに反映していてなかなか興味深い。

キャラクタを登用したコーラには大きく分けて2種類ある。一つはコカ・コーラやペプシといった既存のブランドがキャラクタをデザインに取り入れた記念缶タイプ。もう一つはキャラの関連商品の一つとして製造されるキャラクタ依存タイプで、こちらは味より外観をウリにしている。前者がコーラコレクターに人気があるのに対し、後者はアニメファンに人気が高い傾向にあるようだ。

今回はそんな「キャラクターコーラ」について、海外のものを中心に紹介していきたい。

1.美少女戦士セーラームーンRコーラ

一時期日本にも輸入され話題になったゴールデンイーグル社の日本アニメ3部作の1つ。タイトルが日本語なので国産のようにも見えるが、裏面にNutrition Factsを掲載するなど完全に米国仕様になっている。ゴールデンイーグルは廉価コーラのOEM元として知られており、本シリーズも何かのイベント用に作られた可能性が高い。(アメリカ)


2.Trunks Cola

こちらはドラゴンボールをフィーチャーしたもの。品名はトランクスコーラだが、グラフィックは悟飯のような気がする。はて?(アメリカ)


3.クレヨンしんちゃんコーラ

アニメ三部作のとりをつとめるのはクレヨンしんちゃんだ。上記の2つがアメリカで人気なのは分かるとしても、しんちゃんの笑いは海外で正しく理解されているのだろうか?ややパチものくさい3作品だが、全て版元のライセンス下で製造されている。(アメリカ)


4.The Flintstones STEGOSAURUS COLA

日本でも有名な米国のアニメ「ザ・フリンストンズ」のコーラ。The Flintstones Sodaシリーズにはそれぞれ一人ずつ登場人物が当てられており、本品はBETTYである。中身は普通のコーラであった。(アメリカ)


5.The Flintstones CHERRY ROCK-COLA

こちらはThe Flintstones Sodaシリーズのチェリーコーラバージョン。グラフィックには主人公の妻WILMAが採用されている。子供向けに作られたためか、やたら甘くてチェリーシロップを飲んでいるようだった。上記のコーラとは同じシリーズながら製造者は異なる。(アメリカ)


6.Krusty Yellow Cola

米国で絶大なる支持を集めるアニメ「ザ・シンプソンズ」のキャラクターコーラ。「90% Safe」や「9 out of10 children canユt tell the difference」といったハイテンションなキャッチが光りいかにもアメリカらしといセンスと思いきや、実はイギリス製だったりする。このシリーズは全4種類で、Krustyの他にHomer, Bart, Lisaのソーダもある。中身は本当に黄色い。Krusty the Crownは個人的にかなりお気に入りのキャラなので、本品を見つけたときはかなり嬉しかった。(イギリス)


7.Bart Simpson CLEAR COLA

こちらはオーストラリアで発売されたシンプソンズのキャラクターコーラ。こちらはBARTを起用したクリアーコーラ(透明コーラ)である。“Time for refreshing, man”という意味のない台詞がいかにもBARTらしい。 上記のKrustyといい、シンプソンズのコーラには何かひとひねりがあって面白い。(オーストラリア)


8. Raphael Cola

オーストラリアには個性的なキャラクターコーラが数多く存在するようで、本品もその一つ。「Teenage Mutant Ninja Turtles」をモチーフにしたかなり厳しい一品だ。「ティーンエイジ〜」の主人公は4人の忍者亀なのでおそらくこれ以外に3種類あるのだろうが、詳しくは不明。いつ頃作られたかもハッキリしない、なんだか謎の多いコーラである。(オーストラリア)


9.PEPSI マリオ缶

1990年前半にオランダで発売されたPEPSIのマリオ記念缶。PEPSIのグローブを廃し、ロゴの間にマリオの絵と[NINTENDO]を入れただけの非常にシンプルな構図になっている。イラストの微妙さとバックの余白の多さでなんだかパチものくさいが、ちゃんと任天堂と契約して生産しているようだ。最近「ポケモン缶」なども発売されたらしい。(オランダ)


10. Coca-Colaコカ・コーラキッド500ml缶

以前500ml缶特集でも紹介した91年製のコカ・コーラ記念缶。イラストはゲーム「コカ・コーラキッド」のキャラを元に鳥山明氏が書き下ろしたもので、この手の記念缶は世界的に見ても珍しい。人気の高い80- 90年代前半のコカ・コーラ国産記念缶の中でも特に評価の高い逸品である。(日本)


番外編 Clinton Cola

本品をキャラクターコーラと呼ぶのは気が引けるので、番外編として紹介したい。これは97年の米大統領選の際にクリントン陣営が配布した選挙用のプロモーションコーラなのだ。再選を狙うクリントン側のものだけあって "One Taste To Come Back 4 more" というハイセンスなキャッチが光る。当時バッジやステッカーなど様々なクリントングッズが世に出たことを思うと。これも立派な「キャラクターコーラ」と言えるかもしれない。



(註1) ビーフカレーにはビーフ入りカレーだが、ポケモンカレーにはピカチュウは使用されていない。

(註2) 駄菓子屋のチューペットタイプのものには子供向けデザインのものがある。