中橋 一朗
1998年頃からダイエーとローソンでひっそりと売られていたVirgin
Colaは、1999年4月、ポッカとの提携の元で大々的な再デビューを果たした。
渋谷での発売記念イベントでは、中本に約束をすっぽかされた私が独り寂しく「あの、コーラ白書と申します」と報道受付に名乗り出て怪訝な顔をされたりとか、傍若無人も甚だしいテレビクルーに場所を占領されつつも写真を撮りまくって周囲から注目されてみたりとか、比較的涙ぐましい努力をした記憶がある。その辺の顛末は「新宿・Virgin Cola イベント編」に詳しいので、是非とも読んで私の悲しみを偲んで欲しい。
というわけで、Virgin Colaは私にとってやや特別な存在だ。だから500ml缶が100円で叩き売られているのを発見したときはちょっと悲しかったし、最近買える場所が少なくなってきていることも、ほんの少し悲しい。ポッカは名門Royal Crownを袖にしてVirginを選んだのだから、せめて最後まで添い遂げて欲しいものだ(ちなみに、ポッカに振られたRC子は傷心の旅に出た)。
前置きが長くなったが、今回紹介するのはVirgin Colaのプロモーション用ポストカードだ。これは中本がインターネットオークションで落札したもので、その出所については不詳。恐らくは再デビュー時、関係者に配付されたものと思われる。カードは10枚組で、紙のケースの中に収められている。
それぞれのカードの裏面には、短いキャッチコピーと、それに関連するデザインの絵柄が描かれている。表面は葉書の体裁をとっているが、下半分には裏面のキャッチコピーに関する解説が記述されている。例えば、写真の例では裏面には
Do you know Sir Richard Branson?
表面には
起業冒険家。
<ヴァージングループ会長、リチャード・ブランソン>
23才でレコード会社を設立し、数々のトップアーティストを世に送り出す。その後、持ち前のベンチャースピリットを発揮して、大企業に戦いを挑み、次々に成功を獲得する。英国ベンチャー企業のけん引役として貢献したことが評価され、栄誉あるナイトの称号を受賞。受賞時、ブランソン会長はバケーション中で、自身が所有するネッカー・アイランドで受賞の報告を受け、コメントを発表。熱気球で世界一周に挑む冒険家としても有名だ。
という具合だ。
各カードの解説を読んでいると、当時のポッカ、Virginの熱意が伝わってくると同時に、空回りの予感というか、統計的なマーケティング戦略にありがちな勘違いの空気が感じられる。
というわけで、「自由な発送のアンチなコーラ」は、今日のところはまだ、「常識破り、ヴァージン旋風」を巻き起こすには至っていない。