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![]() そして誰もいなかった「篭坊温泉」というくらいだから,バスを降りれば温泉宿が何軒か並んでいて,湯治客なんかも少しくらいウロウロしているのだろう,と高を括っていたのだが,それは見事に裏切られた。地名に「温泉」が付かなければ,そこが温泉地であることなど気付きようもない,そんな感じだ。 ![]() 生活感 小さな温泉旅館が2軒程あるが,人の気配はない。周囲の人家には生活感こそあるものの,人影は見当たらない。源泉? ありゃしない。誰かに聞こうにも,聞く相手もいない。その上,時間がないときたもんだ(折り返しのバスを逃すと2時間待ちになり,その後の予定がとんでもないことに)。 気ばかりが焦るが,とりあえず足で探すしかない。うろうろしている間に,川沿いに公園のような,広場のような,そんな場所を発見した。隅の方には柵で囲まれた一角が。 「あれだ!」 ![]() ボタン鍋,じゃなくてイノシシ 走り寄ってのぞき込んだら,それはイノシシ小屋だった。そういえば,ボタン鍋がこの辺の名産だった。 「とりあえずオチはゲットしたな〜。」 などと打算を働かせていると, 「あそこ,あそこ!」 と中本が叫んだ。小屋と石碑。間違いない。 再び走って近付くと,確かにそれが篭坊の源泉だった。碑には昭和41年まで炭酸ガスの採集を行っていたと記されている。平野の三ツ矢記念館と比べると随分と簡素な印象だが,それだけにより真実味があるとも言える。 小屋の中では,パイプから噴き出す水が勢い良く音を立てている。小屋から伸びたパイプが旅館の方へ向かっているから,篭坊温泉はこの鉱泉を加熱したものなのだろう。もう一本のパイプが傍らの蛇口に繋がっていたが,残念ながらハンドルが取り外されており,味見(?)をすることはできなかった。 なお,この篭坊温泉であるが,土日やボタン鍋のシーズンにはそれなりに賑わうそうである。 |
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