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![]() なかはしいちろう
というわけで、今回は奥多摩、青梅市の「昭和レトロ商品博物館」を尋ねてみた。 青梅宿は(やっぱり)雨お気付きの方も多いかもしれないが、コーラ津々浦々の書き出しは雨の光景から始まることが多い。これが筆者(なかはし)の心象風景の反映であろうことは決して否定しないが、コーラ白書の取材が雨に見舞われることは実際少なくない。というか、大抵は降る。濡れそぼるオッサンふたり旅は、相当侘しい。 そんなわけで、JR青梅の駅で降りると、辺りは雨の日独特の静謐な感じに包まれていたのだった。ああ、やっぱりか。 仕事の都合(なんか、相当ヤバいことになっているらしい)で前日から東京入りしている中本を駅前の喫茶店に発見し、自分もコーヒーを注文して向かいの席に座る。コーヒーはとても酸化していて、アセロラジュースのような味がした。 中本は眠そうな顔でノートパソコンを開き、なにやら電子メールの返事を書いているようだ。なんだか、とてもアンニュイな朝。
両側に連なる商店の軒先に、昭和期の思い出を見ながら歩く。古いテレビやラジオ、当時の風景を写した写真パネル、かつての映画看板を再現したものもいくつか掲げられている。なんでも、商店街全体が「昭和レトロ」をテーマに街おこしに取り組んでいるらしい。 平日の午前中、生憎の天気のせいもあってか、人通りは少ない。通り過ぎるのは自動車ばかりだ。全然レトロじゃない、21世紀のクルマ達。 だが、そんな感傷に浸る間もなく、右手に古い民家が見えてくる。それが「昭和レトロ商品博物館」だ。 懐かしいパッケージが溢れている
コーラの研究という意味で特筆すべき資料があったわけではないが、話に聞いた、あるいは昔良く飲んだ缶ジュースのデザインをただ眺めるだけでも楽しいものだ。周囲の見学者も、色々な缶を指差しては、思い出話に花を咲かせているようであった。 また、原好生氏によるコカ・コーラグッズのコレクションも展示されている。日米両国で収集したもののようだが、なかなかの充実ぶりだ。瓶飲料収集のコーナーでは、懐かしいデザインのペプシ瓶を見ることもできる。
なかはしも中本も昭和の終わり頃に生まれ、既に人生の半分近くを平成の中に生きたのではあるが、平成のコンビニよりも昭和の駄菓子屋に安らぎを見いだすのは一体何故であろうか。 裏路地がレトロ取材が予定より早く終わったので、辺りの裏路地を散歩してみることにした。博物館のある青梅旧街道(商店街)を挟んで、山側にはJRの線路が並走しており、谷側には閑静な住宅街が広がっている。その住宅街を、特に当てもなく歩く。 家の垣根は低く、庭や生け垣にはアジサイなど、四季折々の花。もし晴れていれば、ステテコ一枚の老人などにも出会えたのだろうか。どこかそんな予感を抱かせる街並みだ。 旧市街地は斜面の上に広がっており、緩やかに蛇行する細い坂道が美しい。所々に設置されている映画看板の復刻品がむしろ嘘臭く、残念な感じだ。 かつて青梅街道は多くの通行人で賑わい、この辺りは宿場町として栄えたのだという。そんな光景を想像しながら歩くと、雨の散歩も少し楽しい。 余談・乃木坂に新スタイルのカフェ出現そんなわけで、緊急の会議のため無理矢理大阪へ引き戻された中本と東京駅で別れた私なかはしは、翌日、乃木坂周辺で某出版社の編集氏と打ち合わせをしていたのだった。 その中でふと話が及んだのが、乃木坂に最近出来たという「変なコカ・コーラの店」。早速お願いして、連れていってもらった。 ガソリンスタンドの跡地にできたというその店は、遠めに見るとガソリンスタンドそのものだ。但し、看板は「Coca-Cola」。クルマで乗りつけて、 「ダイエット満タンで」 とか、オーダーするのだろうか。 もちろんそんな訳もなく、その奥にはカフェがあるのである。ただし、内装が普通ではない。赤。赤。赤。コカ・コーラの赤。そう、ここはコカ・コーラをテーマにしたカフェだったのだ。 店の方の話によると、東京コカ・コーラボトリングのアンテナショップという位置付けなのだという。もちろんコーラも飲めるし、コカ・コーラグッズも販売されているが、何よりこの頭がおかしくなりそうな内装が面白い。 東京メトロ千代田線、乃木坂駅すぐ。お近くへお越しの際には是非お立ち寄りを。 ■参考サイト |
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